市場動向調査会社である米IDCは3月18日(米国時間)、新型コロナウイルス感染拡大の世界的な半導体市場への影響について起こりうる4つのシナリオを示し、2020年の半導体市場は前年比で3~6%程度のマイナス成長となる確率がもっとも高いとの予測を公表した。
IDCは、シナリオを絞り切れない理由を「感染拡大の危機はまだ始まったばかりであり、変数が多すぎるため、すぐに単一の予測を作成することはできない。起こり得る4つのシナリオを通じて市場への影響を評価するためのフレームワークを提供することにした」としている。
4つのシナリオは以下のとおりである。
- 半導体産業は12%以上のマイナス成長:サプライチェーンは1~3か月で回復するが、世界経済や需要や幅広い産業の回復に9~12か月あるいはそれ以上かかる場合
- 半導体産業は3~6%のマイナス成長:サプライチェーンおよび世界経済や需要や幅広い産業の回復に3~9か月かかる場合
- 半導体産業は2%程度のプラス成長:サプライチェーンは1~3か月で回復するが、世界経済や需要や幅広い産業の回復に3~9か月かかる場合
- 半導体産業は6%以上のプレス成長:サプライチェーンおよび世界経済や需要や幅広い産業が1~3か月で回復する場合
2020年に半導体産業が大きくプラス成長する確率は20%、逆に大きくマイナス成長する確率も20%で、もっとも確率の高いシナリオ2は54%だという。このシナリオによると、サプライチェーンはまもなく回復し始め、夏までには検疫と旅行の禁止が緩和される。世界の半導体市場への影響は258億ドル程度にとどまる。ウイルスの影響は一年を通して感じられるが、さまざまな公衆衛生の取り組みにより、被害がある程度緩和される。短期的には電子システムの需要が低くなり、半導体部品の需要も影響を受けるが、回復が始まれば市場に成長が戻るとIDCは予測している。