米国ラスベガスで1月に開催された、世界最大級の家電・テクノロジー見本市「CES 2020」。筆者にとっては初めての海外取材で、注目のブース情報を集めたり諸々のスケジュール調整に明け暮れたりと羽田空港を発つ直前まで忙しく過ごしていたのだが、実はあることで思い悩んでいた。それは「乗り継ぎも入れて片道10時間以上もかかる未知の長時間フライト、いったいどうやって乗り切ればいいのか?」

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    “最強のネックバンド型NCイヤホン”こと「WI-1000XM2」と約10日ほどラスベガスで共に過ごした

飛行機内では避けられないエンジンの轟音で気分を悪くしたり、上手く眠れずに体調不良を起こしたりしては元も子もない。耳栓でやりすごすのが一番安上がりではあるが、どうせ耳を塞ぐモノなら好きな音楽が聞けるほうがいいし、ノイズキャンセリング(NC)対応であれば安眠にもつながりそうだ。そこで、ソニーから発売されたばかりの「WI-1000XM2」を海外出張のお供として使ってみることにした。

ネックバンド型ワイヤレスイヤホンで業界最高クラスのNC性能をうたうWI-1000XM2の実力は、結論から言うと非常に高く、ノイズ抑制にも音質にも満足。ラスベガス取材の道中とても心強い相棒になってくれた。

ネックバンド型「WI-1000XM2」を選んだわけ

今回紹介するWI-1000XM2は、2019年12月7日に発売された製品。ソニーでは「ハイレゾ高音質と首掛けワイヤレスの開放感を兼ね備えた1000Xシリーズのオールラウンドモデル」と位置づけている。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色があり、今回はブラックをお借りした。

1000Xシリーズにはヘッドホン「WH-1000XM3」(2018年発売)と完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」(2019年発売)もある。筆者が今回WI-1000XM2を選んだ理由はシンプルで、「ネックバンドタイプはヘッドホンより扱いが楽で、完全ワイヤレスイヤホンよりも紛失しにくい」からだ。

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    WI-1000XM2(ブラック)

ヘッドホンのWH-1000XM3に搭載されている高音質NCプロセッサー「QN1」とデュアルNC技術を備え、初代機「WI-1000X」(2017年発売)から機能強化されている。LDACコーデックによるハイレゾ級ワイヤレス再生や、イヤホン本体の遮音性を高める構造も特徴だ。

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    WI-1000XM2のネックバンドはシリコン素材で、片手でくるっとコンパクトにまとめられる。2017年発売の初代機「WI-1000X」は硬質なネックバンドで折りたためなかったが、柔らかいシリコンになったことで持ち運びやすくなった

イヤホン部には、WI-1000Xと同様のHDハイブリッドドライバーシステムを搭載。XBA-N3と同じバランスド・アーマチュア(BA)と、9mmのダイナミック型ユニットで構成し、「低音から鮮やかできめ細かい高音まで、広帯域再生を実現する」という。

ハウジングのゴールドカラーのパーツがお洒落で、ビジネスユースで持ち歩いていても違和感を与えなさそうなデザインが気に入った。実は、WI-1000XM2のキモとなるNC技術は、このゴールドカラーのパーツの奥にある。具体的には、フィードフォワードマイク(外の音を取り込むマイク)と、フィードバックマイク(内側のノイズを取り込むマイク)、両マイクで拾った音を統合して高精度にノイズを除去する「デュアルノイズセンサーテクノロジー」。これで不要なノイズを打ち消し、クリアな音楽再生を可能にした。

耳への装着性については、角度をつけたアングルドイヤーピース方式によってフィット感を高めている。左右のハウジングには磁石を内蔵しており、使わないときに左右イヤホンをくっつけてまとめられるのは便利だ。

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    左右のイヤホン部。磁石を内蔵し、使わないときはくっつけてまとめられる

Bluetoothのコーデックは、LDACにほかにAAC、SBCもサポート。ネックバンドの右側にはNFCマークがあり、対応するウォークマンやスマートフォンをかざすとBluetoothペアリングが行える。

ネックバンドの左側から左イヤホンにつながるケーブルの途中にはリモコンマイクがあり、音量調整ボタンと再生操作ボタンに加えて、アプリ上で好きな機能を割り当てられるカスタムボタンを装備する(デフォルトはNC機能/外音取り込みのモード切り替え)。内蔵マイクを使ってハンズフリー通話もできる。ちなみに、電源ボタンだけはリモコンボタン部ではなく、ネックバンド本体にある。

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    ネックバンドの右側にNFCマークがある

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    WI-1000XM2のリモコン部

NCオン時の連続再生時間は最大10時間で、NCオフでは最大15時間音楽を聴ける。長時間のフライトでも、うまくやりくりすれば充電なしで乗り切れるだろう。実際、今回の出張で使っていてバッテリー切れで困ったことはなかった。

充電端子はUSB Type-C。充電時間は約3.5時間で、数字だけを見ると少し長くかかる印象だが、ホテルで寝ているときに充電すれば実用上は問題なく、もしバッテリーを切らしても10分の急速充電で約80分再生できるので、スタミナに関してはあまり心配しなくていい。ちなみに、WI-1000XM2とオーディオプレーヤーを付属のステレオミニケーブルでつなぐと有線のハイレゾイヤホンとしても使える。

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    USB-C充電に対応

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    付属のステレオミニケーブルをつなぐと、有線のハイレゾイヤホンとして使える

スポーツイヤホンとして使うことは想定されていないようで、防水性能は備えていない。重さも58gとワイヤレスイヤホンの中では少し重いほうだが、首に掛けていて気になるほどではない。さまざまな耳のサイズにフィットするよう、SS/S/M/Lの4サイズのハイブリッドイヤーピースと、S/M/Lの3サイズのトリプルコンフォートイヤーピースが用意されており、高級機らしい配慮を感じる。航空機用プラグアダプターや、USB-Cケーブルなども付属する。

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    付属のケースに折りたたんで収納したところ

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    WI-1000XM2の製品内容