国内外のeスポーツシーンで盛り上がりを見せるバトルロイヤルゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)。2017年にスタートした『PUBG』のeスポーツシーンは、バトルロイヤルゲームの競技シーンとしてベストな形を模索しながら、進化を続けています。

直近では、国内リーグ「PUBG JAPAN SERIES」(以下、PJS)を主催するDMM GAMESが、2020年における大会の実施方針を発表。グローバルの方針に沿って発表された内容には、従来から大きく変化した部分も含まれ、コミュニティからはさまざまな声が挙がりました。

グローバル全体、そして日本国内の『PUBG』eスポーツシーンは、現在どのような姿を目指しているのでしょうか。PUBG JAPAN General Managerの井上洋⼀郎⽒にお話を伺いました。

  • PUBG JAPAN General Managerの井上洋⼀郎⽒

    PUBG JAPAN General Managerの井上洋⼀郎⽒

グローバルのさらなる盛り上がりを目指して進める大会のオープン化

――2020年の『PUBG』eスポーツシーンについて、まずはグローバルでどういった方針が掲げられているのか教えてください。

井上洋一郎氏(以下、井上):2019年に開催されたグローバル大会「PUBG Nations Cup」や「PUBG Global Championship」(以下、PGC)の盛り上がりを踏まえて、それらに一層フォーカスを当てられる仕組みづくりに取り組むのが2020年の方針です。

『PUBG』のeスポーツシーンでは、世界の各地域でリーグを開催してきました。その盛り上がりをもっとグローバル大会に集約させるため、そしてより多くの選手が参加できるようにするためにはどうすべきか――。議論の結果、導き出された答えの1つが、より「オープン」であることでした。プロチームに限らず、アマチュアチームにもチャンスがある状況を作り、いま以上に多くのチームや選手が大会に参加するようになれば、頂点であるグローバル大会の注目度をより高められるのではないかと考えたのです。

なので、世界の各地域で実施される大会は、「PUBG Global Series」(以下、PGS)の予選として新たな形式の大会になるとともに、「オープン参加形式」であることが条件になりました。

しかし、日本におけるPJSの盛り上がりは高く評価されていて、本社からも「残すべきではないか」というコメントがあったほど。こうした背景から、日本ではPJSを残しつつPGS予選を行えるようコミュニケーションを進めた結果、リーグを維持する方向で決まったのです。

――グローバルで見れば、PJSを残した日本がイレギュラーなのでしょうか。

井上:はい。PJSについては、ここまで育ってきたものをリセットするのではなく、必要に応じて変化させていく方向で、DMM GAMESさんと話を進めています。どういった形がベストなのか、議論すべきことはまだまだたくさんありますから、皆さんの声を聞きながら、よりよいPJSの形を模索していきたいですね。

――オープンな参加形式にするために、各地域の大会はどのように変更されたのでしょうか?

井上:リーグではなく、トーナメント方式に変更されました。オープンな予選からスタートし、勝ち抜いたチームが次のステージに進み、最終的にファイナルで競い合う形式です。

トーナメント形式にすることで、幅広いチームが出場できるようになるでしょう。たとえアマチュアチームであっても、本当に実力のある強いチームならば、PGCで2億円以上の優勝賞金を獲得できるチャンスが生まれるわけです。

また、大会の開催期間も短縮されます。オープン予選を勝ち抜いたチームが戦うセミファイナルとファイナルは合わせて2週間。各週末に2~3日間、1日に5~6試合ずつ実施する予定です。

――2019年11月に行われたPGCに近い形式で、各地域で予選大会が行われるイメージですね。開催期間を短くすることには、どういった意図があるのでしょうか?

井上:2020年はグローバル大会の開催時期が4月、7月、10月、11月と決まっています。3回のPGSと、その集大成のPGCですね。

それぞれの予選大会とグローバル大会の期間中は、サードパーティー大会を開催できず、プロ選手もほかの大会に出場できません。これは、選手活動や大会の視聴者など、すべてをグローバルにフォーカスさせるためです。このブロック期間が短ければ短いほど、サードパーティーが大会を開催しやすくなるんです。

  • PUBG Global Series 2020のイメージ。グローバル大会は年4回開催される(スケジュールは変動する可能性がある)

――つまり、選手にとっては大会スケジュールが重なることなく、視聴者にとってもより多くの大会を楽しめるようになると。

井上:そうです。例えば、エイサーさんが主催する「Predator League」のようなサードパーティー大会を、より多く開催されるようにしていきたい。そのためにも、我々がスケジュールをコントロールしていくという考えです。

サードパーティーのグローバル大会において、一定の条件を満たすと我々から資金援助を受けられるような仕組みについても、現在検討が進められています。