エアレースがさっそく復活する模様だ。昨年の千葉大会を最後に終了したレッドブル・エアレース(RBAR)が、新たなスポンサーを得て年内に再開される見込みだと、複数の海外メディアが報じている。
2019年で終了したRBARだが、スポンサーのレッドブル社はその理由を「他のイベントと比べて、関心を引くことができなかった」と説明していた。実のところ、RBARの開催費用を賄うレッドブル社の広告宣伝費が継続されなかったことが、中止の理由だったようだ。RBARが世界最大の民間航空レース大会であって、絶大な人気を得てきたことには変わりがない。
マルタの航空専門Webサイト「オープン・ザ・ハンガードア」は、新しい「ワールド・チャンピオンシップ・エアレース(WCAR)」のCEOであるマイケル・レオン氏のインタビューを掲載した。レオン氏によれば、レオン氏は昨年9月のRBAR千葉大会にも来場しており、大会終了後に組織活動を開始したという。RBARのスタッフやパイロット、開催都市とは良好な関係を築いており、2020年第3四半期のレース再開へ向けて準備中とのことだ。また大会をフェスティバルのようなイベントにすること、電動飛行機やドローンによるレースを導入することも検討しているという。
レオン氏は香港の銀行家で、ビジネスジェットなどの航空事業にも関与している。WCARはレオン氏のファンドだけでなく、複数のスポンサーを募っているようだ。
昨年9月、最後のRBARとなった千葉大会で、筆者は何人かの国際スタッフに「今回で最後ですね」と質問したが、どのスタッフも暗い顔はせず「どうなるかはわからないよ」といった曖昧な回答をしていた。本来、年間8大会開催されるRBARを5回目の千葉で終了したのも、レッドブル主催の大会が終わらないと次のスポンサーとの正式な交渉が開始できないことが理由では、という推測も流れていた。レオン氏がすでに千葉大会に来ていたことを考えると、非公式な接触は千葉大会前から始まっていて、それを念頭に置いて語っていたのだろう。
RBARのレガシーはほぼWCARに引き継がれるようだ。RBARはスカイスポーツの国際機関である国際航空連盟(FAI)公認の大会だったが、WCARがその後継としてFAIの公認を得るに際して、RBAR関係者の協力があったという。またマスタークラスパイロットの多くはRBAR用にチューンされたレース専用機を引き続き保有している。レースのルールも含めて、今年の大会はほぼRBARを踏襲するものになりそうだ。
WCARについて、現時点では日本の室屋義秀選手はコメントしていない。しかし、昨年の千葉大会後に室屋選手は自身のレース機「エッジ540V3」について、「速い飛行機に仕上がっているので、性能を活かせる使い方を考えたい」とコメントしている。WCARに参戦しないとは考えにくい。
2015年から5年連続して大会を誘致し、RBARの代表的開催地として定着した千葉市もWCARに名乗りを上げるだろう。WCAR開催は第3四半期以降とのことだが、今年は幕張メッセが東京オリンピック・パラリンピックの屋内競技場として使われることを考えると、もともと第2四半期のエアレース開催は困難だった。パラリンピック終了後、千葉市で「6年連続」のエアレースが開催されるのか、公式発表を待ちたい。
出典
・オープン・ザ・ハンガードアによるマイケル・レオン氏のインタビュー
・This is Flightのレッドブル・エアレース復活に関する記事