ひろがる事業の今、自動車関連の存在感強まる

続けて紹介したのが、2つのパートナーシップの取り組みだ。

ひとつめは、ディズニーである。

パナソニックは、ディズニーと数年に渡るパートナーシップを組んでおり、パナソニックの高輝度プロジェクターなどが、ウォルトディズニーワールドリゾートやディズニーランドリゾートの公式プロジェクション技術として採用。パナソニックの4Kレーザープロジェクションテクノロジーなどを活用した「スターウォーズ:Galaxy’s Edge」や「ミレニアムファルコン:スマグラーズ・ラン」といったアトラクションが人気だという。

会見では、ウォルトディズニーイマジニアリングのテクニカルディレクターであるポール・ベイリー氏が登壇して説明。すると、スターウォーズに登場するストームトルーパーが現れ、ディズニーのアトラクションのような状況を演出。最後には、BB-8も登場し、会場を沸かせた。

  • ウォルトディズニーイマジニアリングのテクニカルディレクターであるポール・ベイリー氏

  • スターウォーズのストームトルーパーが現れた

  • BB-8も登場して会場を沸かせた

もうひとつの例は、プリンセスクルーズとの協業だ。船上で没入感があるエンターテインメント体験を乗船客に提供するものであり、5万ルーメンの明るさと、ネイティブ4K解像度を備えた世界最小のレーザープロジェクターを設置したという。これは、2万時間のメンテナンスフリーでの投影が可能な信頼性もあり、「2年以上にわたり、メンテナンスが不要になる」と自信をみせた。

一方で、航空機向けエンタテイメントシステムなどのアビオニクス事業についても説明した。

同事業は、過去40年間に渡って同社が取り組んでいるもので、年間27億人以上の乗客がパナソニックのアビオニクスソリューションを使用しているという。

パナソニックノースアメリカのモスコウィッツCEOは、「航空会社と協力により、機内エンターテイメントおよびコミュニケーションシステムのすべての要素を通じて、顧客満足度を最大限に高めることができる。また、新たな『Arcインフライトマッププラットフォーム』は、4K解像度で表示するだけでなく、パーソナライズとインタラクションをもたらすフライト体験を実現する。さらに、パナソニックは、エンターテイメントだけでなく、ウェルネスまでを提供。プレミアムシート照明は、カスタマイズやプログラムが可能な照明を実現する。こうした取り組みにより、乗客体験を再定義していくことになる」とした。

また、自動車関連事業についても説明。パナソニックオートモーティブシステムズカンパニーオブアメリカのスコット・キルヒナー社長は、Klipsch、Tropos Motersのほか、ユタ州運輸省などと連携し、モビリティ事業を推進していることに触れ、「パナソニックは、世界をリードする自動車用バッテリーのサプライヤーではなく、エンドツーエンドモビリティを提供する信頼できるプロバイダーである」と発言。Klipschとの協業では、オーディオマニア品質のサウンドを提供していること、フェンダーやELSなどとともに、モビリティの未来を形づくるエコシステムを構築していることを紹介した。

  • パナソニックオートモーティブシステムズカンパニーオブアメリカのスコット・キルヒナー社長

GoogleのAndroid Automotive OS、Android 10で実行する次世代インフォテイメントシステム「SkipGen 3.0」、次世代コックピット「SPYDR」、Karma AutomotiveのSC1ビジョンコンセプトなどを紹介。また、Tropos Motorsとの協業では、小型ユーティリティビークルで様々な作業を行う事例を紹介した。

Tropos Motorsの創設者兼CEOであるジョン・バティスタ氏は、「Tropos ABLEは、コンパクトでありながら、大きな積載量と牽引能力を持つ電気自動車である。小型商用車として様々なニーズに対応できる」とした。ステージ横には、Tropos ABLEによる消防車が展示されていた。

  • Tropos Motorsの創設者兼CEOであるジョン・バティスタ氏

  • Tropos ABLEによる消防車

さらに、ユタ州運輸省のエグゼクティブディレクターであるカルロス・ブラセラス氏は、「米国では、年間約4万人が交通事故で亡くなっている。ユタ州の人口は爆発的に増えており、それにあわせて車が増えると、安全性がさらに重要になる。ユタ州では、Zero Fatalitiesイニシアチブを立ち上げ、それを実現するために、コネクテッドビークルインフラストラクチャーを構築した。ここに、パナソニックのCIRRUSを生かすことができる。交通渋滞の影響を軽減し、ユタ州の生活の質を向上させることができる」と発言。一緒に登壇したパナソニックノースアメリカのクリス・アームストロング バイスプレジデントは、「パナソニックはこの3年間で、米国最大のインテリジェント交通データネットワークであるCIRRUSプラットフォームを構築し、コロラド州とジョージア州で導入した。そして、ユタ州にも導入されることになる。パナソニックは、交通環境を次のレベルへ移行することを支援しており、車両やインフラストラクチャー、道路、交通事業者間のリアルタイムデータを活用することで、道路での事故と死亡者数を劇的に削減できる可能性がある」と述べた。

  • ユタ州運輸省のエグゼクティブディレクターであるカルロス・ブラセラス氏

  • パナソニックノースアメリカのクリス・アームストロング バイスプレジデント

ユタ州では、2020年5月までに、最初のフェーズのテストを開始する予定であり、30台の車両にセンシングと通信技術を装備。約40の沿道に機器を設置するという。また、今後は、220の場所への機器の設置と、最大2000台の車両にまで対象を拡張するという。

ユタ州運輸省のブラセラス氏は、「スマートカーの到来に対応する準備が整い、ユタ州の道路での死者ゼロとリアルタイムの状況認識という目標に近づくことができる」とした。