年末の風物詩となった冬のコミケ(コミックマーケット)がいよいよ開幕しました。「新刊を用意できたけど、時間がなくてギリギリで大変だった…」という同人作家さんも多かったのではないでしょうか?
そのような忙しい作家さんの間で密かに話題になっているのが、キヤノンが無料で提供している「おうちでつくる同人誌」のサービス。コミケの直前まで自宅のインクジェット複合機で同人誌が簡単に印刷できるとあって、注目を集めています。満足できる内容なのかどうか、本業の傍ら趣味で同人誌を作っている筆者が実際に試してみました。
「あなたのおうちが印刷所」になる
イベントカタログのサークルカットに堂々と書かれた「新刊あります!」の文字。しかし、日々の雑務に追われ、時間的に余裕があったはずのイベントが気付くと目前に迫っている……ということも少なくありません。そのようなお尻に火がついた状況でも、「印刷所に入稿する時間はないけれど、オンリーイベント(内容を限定して実施する即売会)だし何とか新刊を出したい!」「初ジャンルだし部数も読めないから、最初はコピー本で……」「ノベルティとしてオマケ本を作ろう!」と考える同人作家さんも多いはず。そのような作家さんの心強いミカタとなるのが、家庭用インクジェット複合機(インクジェットプリンター)を使った同人誌製作です。
プリンターメーカーはいくつかありますが、同人作家活動を積極的にプッシュしているのが「PIXUS」シリーズでおなじみのキヤノン。同社のWebサイト内に「おうちでつくる同人誌」という特設サイトを設け、PIXUSを使って簡単&高品質に同人誌が作れる、ということを解説した独自のプロジェクト&サービスを展開しています。
2018年からスタートしたこのプロジェクトでは、同人誌の編集ソフト「Booklet Print」(Windows専用)を無料で提供しているほか、イベントでの告知に最適な「お品書き」や「値札」、オマケ本に最適な「折り本」など、さまざまなテンプレートも用意。イベントに出展する作家さんにとって、うれしいサービスやコンテンツがぎゅっと詰まっています。
筆者は、ライター業の傍ら、わが家の猫との生活や、旅先で出会った猫との思い出を綴った写真&エッセイの同人誌を作って、コミックマーケットやデザインフェスタなどのイベントに出展しています。写真や文章、イラストの位置まで、1からデザインして同人誌を作る作業は、普段の仕事とは違う楽しみがあります。
ふだんは印刷業者に依頼してオフセット印刷の同人誌を注文していますが、Booklet PrintとPIXUSを使った同人誌づくりがどれほど実用的にできるのか、挑戦してみました。