遊環に刻まれた「あの文字」が示唆するもの
後藤先生:さて、ここまでお話してきましたが、ひとつお伝えしたいことがあります。この南極の調査を成功できたのはカシオさん、中でも、このFROGMAN(GWF-D1000)がROVに使えると判断してくださった牛山さんのおかげです。牛山さんがいなかったら、本当に何も始まらなかった。もうこの場をお借りしてですけども、本当に心から感謝しています。
牛山氏:こちらこそ、ありがとうございます。
(一同拍手)
後藤先生:そして、科学バーに来てくださってた皆さん、そのうち出るよ。コラボモデル出るかもしれないよと言い続けてきました。まだ出るとも何とも決まってないころから。で、出ると決まったら喋らなくなったんです(笑)。気づいていた皆さんもいるかもしれないけど。とりあえず、出る出る詐欺で終わらずにすみました。今までお付き合いいただいて、ありがとうございました。
(一同拍手)
後藤先生:と、これで終わると思った? 甘いっすよ。このFROGMAN(GWF-D1000)、遊環に刻まれた文字をご覧ください。実物をお持ちの皆さんは、ぜひお手元の製品を。「AR-ROV01」と「AR-ROV02」という文字が書かれていますね。つまり、次の調査の準備はすでに始まっていますということなんです。
(おぉ! と驚嘆の声)
牛山氏:今回南極に行ったモデル、我々はバージョン1と呼んでいますが、先ほど方位計測が無制限になっているというお話をしました。これには続きがありまして、現在、先生とはバージョン2の話をしています。実は今日持ってきて先生にお渡ししたんですけど、バージョン2では温度と水深と方位を常に無制限に表示する仕様になっています。これを次の研究や調査で使っていただけたら、また何か新しい扉が開くと思います。
なんと、予期せぬROV専用機バージョン2の存在と仕様のお話まで飛び出しました。ちょっぴりお酒が入ったせいでしょうか(違います)。それはそうと、バージョン2では、今まで話題に上らなかった温度計測の話が出ました。その意味するところは?
後藤先生:生物の調査において、その生物がいる場所の深度と方位だけでなく、水温もわかるようになる。この意味が大きいと思います。もともと温度はFROGMANが持っているトリプルセンサーで測れるのですが、今までは測ってなかったんですよね。優先順位の中で、やっぱり方位と水深と潜水時間かなと思っていたので……。今回、その水温という視点がまた別に役に立ちそうです。
牛山氏:以前のモデルは、温度センサーが時計の中に付いていたせいで、体温の影響が残ってしまい、なかなか外気温を計測できるようになりませんでした。最近のモデルは温度センサーが一番外側に付いているので、けっこう早いタイミングで外気を計測できるようになるんです。水中だとさらに早く、かつ高精度に測れると思います。
「ということは、南極探査用ROVコラボモデルの後継機も出るのですか?」などと、参加者からはちょっと気の早い質問もありました。
牛山氏:このバージョン2が南極に行って帰ってきたら、ぜひやりたいですね。そこは次の目標です。実際には何年かあと、それ以上の未来かもしれません。でもやりたい。
そのためのメッセージが、遊環に刻まれた「AR-ROV02」なんです。バージョン1が行ってきてこれができた。そして、バージョン2が行って帰ってきたときに次のモデルができるんだよ、っていうのがそのメッセージなんですよね。
じゃあ、もうやること自体は決まりじゃないですか(笑)。
牛山氏:いやいや、私の力では南極にROVを送り込めませんから。そこは後藤先生がやってくれないと。
でも、「02」って彫っちゃいましたし。
牛山氏:彫っちゃったんですよね(笑)。
参加者からの濃い質問や思いがけない新しいアイディア、そして何より笑い声と拍手が絶えなかった今回の科学バー。今後の予定や参加費用は、KIWIラボのWebページで確認できます。科学好きでお話好きなあなた、一度足を運んでみてはいかがですか?