GWF-D1000ARRは「見た瞬間にカッコいい!」

牛山氏:この時計は太陽発電で動いているので、どうしても電力に限りがあります。そこで、お客さまに販売している商品は、潜水中に方位計のボタンを押してから60秒経つと計測をストップするんですね。

ですが、ROV専用機ではボタンを押してから無限に計測するようにしました。その代わりに太陽発電をちゃんとしないと、中の電池を使い切って動かなくなっちゃいますよ、と。しっかりと日光を当てて充電をしながら使ってくださいねということをお願いしました。

それから先ほどの話にあった富山での試験などを経て、2017年11月に後藤先生が南極に向けて出発、2018年3月に帰ってこられた。先生から、南極でも無事に使えましたよというお話をいただいて。おぉ、いい話だということになり、これにちなんで作ったのが、FROGMAN(GWF-D1000)と南極探査用ROVコラボモデル、GWF-D1000ARRというわけです。ちなみに、ARRとは「Antarctic Research Rov」の略です。

  • 後藤先生の研究はマスコミにも大きく取り上げられました。カシオ社内の反響も大きく、これが研究の新たなステージへとつながっていきます

牛山氏:このときに我々のデザイナーやエンジニアが東京海洋大学にお伺いして、ROVの実物を見て、それをデザインに落としこみました。この赤がやっぱりポイントでして、ROVのメインフレーム、これがキレイな赤なんですよね。これを再現したかった。

それから、ROVに使われている浮力体ですよね。浮力体のオレンジ。これをベゼル上の文字とバンド基部にあしらって、あとはスラスターですね。ROVには前進後退用と、浮上、潜航用と4つの水色のスクリューが付いてるんですけど、それを時計の4カ所にデザインしました。

G-SHOCKのFROGMANっていうのは、G-SHOCKの中でも特に人気のシリーズなんです。さらに「南極」っていうのが、これまた非常にパワーワードである、と。FROGMANと南極のコンビネーションは、極めて強いメッセージ性を持っていると思っています。

  • 南極探査ROVのエッセンスをデザインに込めたGWF-D1000ARRが誕生!

FROGMANのGWF-D1000ARRについて、後藤先生も次のようにコメントしています。


後藤先生:デザイナーやエンジニアの方々がいらしてから1カ月後には、このデザインが上がってきたんです。見た瞬間にカッコいい! しかない。うわ、今すぐ欲しい! ってなりました。

そのさらに1カ月後にはモックアップができてきた。これ本当にね、ただの模型なんですが、まるで本物のように見えるんですよ。僕も最初に見たときは、えっ、本物じゃないの? って思った。もう、すぐにでも腕に着けたい!

あと、箱もデザインしなきゃいけません。スペシャルボックス。実はここに置いてあるんですけども、この箱のデザインもカシオさんがこだわってデザインしてくださいました。しかも、とてもありがたいことに大学のロゴも入れてくださった。海洋大っていうロゴも英語で入っています。

海洋大のロゴは商標登録されているので、使うとなると文科省にお伺いを立てなきゃいけない。そのためにカシオさんが大学にわざわざ来てくださって、大学側も許可を出してくれました。そんなやりとりを重ねていく中で、ようやく発売日が決まって、初めて皆さんにご紹介できたんです。


なお、後藤先生も、この南極探査用ROVコラボモデルの売れ行きがかなり気になるようで……。

後藤先生:GWF-D1000ARRは9月25日に正式発表されました。カシオさんの公式フェイスブックを見たら、いいね! が大量に。で、予約販売がスタートして、実際どれぐらい売れるのか、関わった本人としてすごく気になっていたんです。

色んな販売サイトを見てたんですけど(笑)、一番早かった量販店は7分で完売。次の量販店は11分。ほかもネット販売はほぼ即すべて完売。友人知人からどこで買えますか、ってLINEも来ました。今なら〇〇〇〇でまだ買えますなんてやりとりして(笑)。中には、アクセスが殺到して、サーバーにつながらなくなったお店もあったとか。無事に手に入れていただいた皆さん、おめでとうございます。そして、ありがとうございました!