パナソニックの「Let'snote QV8」シリーズは、A4用紙よりもコンパクトな筐体に12.0型の液晶ディスプレイを搭載した2in1モバイルPCだ。書類が見やすい横縦比3:2のアスペクト比を採用。フリップ式(回転式)とすることで、タブレットスタイルに簡単にチェンジできる。
1996年の発売以来、「軽量」、「長時間」、「頑丈(タフ)」、「高性能」というコンセプトを進化させてきたLet'snoteの新たな提案が「Let'snote QV8」。この製品は、どんな狙いで開発されたのか。
「Let'snote QV8」を開発したパナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部開発センター プロジェクトマネジメント部レッツノート総括の坂田厚志氏、同上田大プロジェクトリーダー、同マーケティングセンター商品企画部の小林俊夫氏に聞いた。
Let'snote QV8は誰のためのPC?
――「Let'snote QV8」の開発は、どんな経緯からはじまったのでしょうか。
小林 2019年5月にクラムシェルタイプの12.0型モバイルPC「XZシリーズ」を発売し、さらに、光学ドライブを搭載した「SVシリーズ」や「LVシリーズ」を進化させる一方、2in1では、10.1型の「RZシリーズ」に加えて、新たなモデルを用意することで、ラインナップを強化することを目指しました。
調査会社の予測でも、今後、2in1の市場成長が期待されており、そこに対して、ターゲットを明確に想定した製品を投入したのが、今回の「QVシリーズ」ということになります。
坂田 Let'snoteは1996年の発売以来、「軽量」、「長時間」、「頑丈(タフ)」、「高性能」というコンセプトを進化させてきました。そして、業務革新に貢献するという観点からみた、我々のひとつの回答が“お客様の仕事を止めないPC”。今回のQVシリーズは、一瞬のビジネスチャンスを逃したくない人、また、そういう機会が多い人に使ってもらうことを想定して開発した製品です。
――具体的には、どんなユーザー層を狙っているのですか。
小林 テレワークの環境で仕事をする人、PCを持ち出す機会が多い人、そして、出張が多い人がターゲットとなりますが、そのなかでも、移動する時間が多かったり、場所にとらわれずに作業をしたり、持つことができる荷物に制限があるといった人を意識しています。たとえば、ルート営業をしている人やMR(医薬情報担当者)といった人たちは、会議室で打ち合わせをするというのではなく、立ったまま、その場でPCを開いて、すぐに製品を紹介したり、プレゼンをしたりといったケースがあります。そのとき、軽くて、コンパクトで、パッと開いて使える製品を目指しました。
――12.0型で、3:2のアスペクト比の液晶ディスプレイを採用した狙いも、こうした利用を想定したものですか。
上田 はい、そうです。16:9などの一般的な横長のディスプレイは、画面に書類を表示したとき余白が出るという課題があります。書類を閲覧したり、相手に見せたりという際には、使い勝手の点でも、3:2のディスプレイが最適なアスペクト比です。
文書の閲覧が多い人にとって、3:2のディスプレイは見やすいというメリットがありますし、プレゼンでも全体を表示できます。そして、書類の表示に不要な部分を削れば、小さくなり、軽くなり、持ち運びやカバンに入れる際、取り出す際にもプラスに働きます。ユーザーの利用シーンを想定して、開発初期の段階からこの比率を決めました。
小林 常に持ち歩く人にとっては、よりコンパクトにしてほしい、ほかの荷物と一緒に持つのでもっと軽くしてほしいという声があります。そうしたユーザーが利用することを考えた結果、3:2というアスペクト比を提案しました。12.0型の3:2のディスプレイは標準的なものではありませんが、このアスペクト比にこだわった理由はここにあります。
――今後、Let'snoteでは3:2というアスペクト比の製品が増えていきますか。
上田 すべての製品のディスプレイを、3:2のアスペクト比にするということは考えていません。QV8シリーズがターゲットとしているユーザーや用途において、最適な解を目指して採用したのが3:2のアスペクト比であったと捉えてください。