PCゲームなどのプラットフォーム「Steam」を運営するValve社は、日本代理店デジカを通じて、VR向けのオープンプラットフォーム「SteamVR」に対応するヘッドマウントディスプレイ(HMD)「VALVE INDEX」を11月28日10時に発売する。それに先立ち、11月22日10時から予約受付を開始した。

また、Valveより発表された新作VRゲーム『Half-Life: Alyx』が、後日VALVE INDEXの購入者に特典として配布される予定だ。

価格は、Valve INDEX、左右のコントローラー、ベースステーション×2を同梱した「VR KIT」が125,800円、VALVE INDEX、左右のコントローラーのセットが94,800円、Valve INDEX単体が62,800円、左右のコントローラーが35,800円、ベースステーション×1が19,800円(すべて税別)。

  • VR KIT。Valveは、ゲームプラットフォーム「Steam」を運営している実績だけでなく、VRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」をHTC社と共同開発した実績を持つ

  • 箱から取り出した状態

VALVE INDEXは、ディスプレイに「1,440×1,600ドットのRGB LCD」を2枚搭載。通常120Hzで動作するが、80Hz、90Hzの互換性と、開発用の144Hzモードを用意している。左右のディスプレイが外に5度ずつ傾いていることで、130度の視野角を実現した。応答速度は0.33~0.53ms(フレームレートによる)。

  • VALVE INDEXのディスプレイ部分。前面のクッション部分はマグネットで固定されているので、簡単に取り外しできる

そして、HMDの特徴的な部分の1つが「オフイヤースタイル」のスピーカーだ。耳のすぐ横にスピーカーが位置するようになっているが、直接接することはないため、頭や耳の形状にとらわれることなく、日常の音のような自然な音響体験ができるようになっている。

  • オフイヤースタイルのスピーカー部分

コントローラーについても自然な環境にこだわった。左右それぞれに87個のセンサーを搭載しており、手の位置、指の位置、動き、圧力など、手の状況を細かく認識。また、ハンドストラップを採用したことによって、手を広げた状態でもコントローラーが落ちないため、物体をつかんだり、投げたりといった操作が、リアルと同じ動作で行える。

コントローラーのメインボディには、握力を感知するセンサーと振動ユニットが、表面にはボタンとタッチセンサーを内蔵したトラックパッド、スクロールホイール、各種ボタンが備えられており、VALVE INDEX対応タイトルだけでなく、既存のVRタイトルにも対応した。

  • コントローラーには87個のセンサーを搭載。ストラップで固定しているので、手を開いている状態にしても落ちない

ベースステーションは、赤外線のレーザーを100回/秒 照射してユーザーの動きを把握。カメラによる認識ではないため、体勢を問わず的確に動きをとらえることができるという。KITに同梱されている2つのベースステーションでは7×7mのエリアをカバー。4つのベースステーションを使えば、最大10×10mのプレイエリアを確保できる。

  • KITに2つ同梱されているベースステーション。赤外線で動きをとらえるので、後ろを向いたり、手が体と重なったりしても認識してくれる

そのほかHMDの主な仕様は、ディスプレイが1,440×1,600ドットのRGB LCD×2、対応フレームレートが80 / 90 / 120 / 144Hz、視野角が最大約130度、瞳孔間距離(IPD)が58~70mmの範囲の物理的調整。インターフェースが5mテザー、1mブレークアウェイトライデントコネクタ、USB 3.0、DisplayPort 1.2、12V電源アダプタなど。

推奨のシステム要件は、OSがWindows 10、SteamOS、Linux、RAMが8GB、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 970以上、またはAMD Radeon RX480以上、DisplayPort(version1.2以上)+USB(2.0以上)、HDMIはサポートされていない。CPUがクアッド・コア以上、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 1070以上、インターフェースがUSB 3.0以上。システム要件判定ツールとして、「Are You Ready for Valve Index?」や「SteamVR Performance Test」を用意する。

実際に体験してみた

今回、VALVE INDEXを試す機会があったので、その様子も簡単にお伝えする。まずはルームセットアップから。HMDを装着して動く範囲を指定するために、プレイエリアを確立する必要がある。コントローラーのトリガーを押しながらプレイ範囲を移動するか、利用可能なスペースの角でトリガーをクリックして確定する。セットアップは一度行えば、基本的には再設定不要。毎回設定する必要はない。

  • まずはプレイエリアの確保。トラッキングを確立したあと、モニターの位置、床の位置を定める

  • 次に、コントローラーでスペースをトレースしてプレイエリアを設定。なお、ベースステーションはユーザーの身長より少し高いところに設置するのが好ましいという。赤外線センサーの認識は水平160度、垂直115度

続いて、VALVE INDEXを使ってデモゲームに挑戦。内容は、VR上において、VALVE INDEXのコントローラー特性を活かしたさまざまなアクションを行うというもの。コンピューターとじゃんけんしたり、握手したりと、簡単な内容ながら、自然な動作でVR上のアクションができることに驚かされる。

特に、仮想空間内で「引き出しを開け、封筒を取り出し、封を切り、なかに入っているカギを指定の場所に差し込む」のアクションを実行する場面があったのだが、そこに“コントローラー的な操作”は一切なく、すべてリアルの動作と同じ要領で行うことができた。しかも、使った封筒を投げたり拾ったりといったアクションも、リアルと同じ動作で実行可能。もちろん実際には何も持っていないので、重さは感じないのだが、「封筒を投げる」動作によって、ちゃんと「VR上の封筒が飛んでいく」ことが、やたらリアルに感じられた。

  • VALVE INDEXを装着

  • コントローラーはストラップで固定されているので手を開いても落ちない

  • ゲーム内で封筒を開けている様子

  • ゲーム内でカギを回している様子

また、オフイヤースタイルのスピーカーについては、初めて見るタイプだったこともあり、音をしっかり届けてくれるのか不安だったが、イヤホンやヘッドセットと同等かそれ以上の迫力あるサウンドを提供してくれた。デモ体験中、デジカの担当者がゲーム内容を説明してくれていたようだが、近づいて大きな声を出してくれなければ何も聞こえないくらい、音に集中できる環境だった。ちなみに、HMDを装着していた筆者にはわからなかったが、装着していない人からすると「別の部屋で誰かがテレビを見ているくらいの音漏れ」程度の音が聞こえるという。

  • HMD装着時、スピーカーと耳は接しないが音はしっかり届く

販売チャネルは、Degica FAN、ドスパラ、ツクモ、パソコン工房、ビックカメラグループなど。

(C) 2019 Valve Corporation.All rights reserved.