市場動向調査会社Gartnerの日本法人であるガートナー ジャパンは、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を公表し、デジタルビジネスを推進する上で特に注目すべきテクノロジーとそのトレンドを明らかにした。
ハイプ・サイクル(Hype cycle)とは、Gartnerの造語で、特定の技術の成熟度や実用化への過程を示す図である。この図により、新技術の登場によって生じる過度の興奮や誇張(hype)、そしてそれに続く失望や幻滅、その時期を克服して回復し利益を生む安定生産までのサイクルを示す。Gartnerは、現実から誇張(ハイプ)を切り離すことにより、企業が特定技術の採用可否を判断できるようにするための指針である説明している。
今回公表されたハイプ・サイクルでは、2019年の日本ICT市場においてITリーダーがデジタル・ビジネスを推進するにあたって重要な役割を担う、代表的な40のキーワード(テクノロジ、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど)を、2018年版から見直しを図り、新たに選出したという。
それによると、IoTセキュリティが黎明期から過度な期待の時期へと入りつつあるほか、5Gが過度な期待のピーク期を迎えようとしている。また、ブロックチェーンや人工知能については、幻滅期に入り、ウェアラブル・デバイスは幻滅期から啓蒙活動期へと移行しようとしている。
また、人工知能やブロックチェーンのほか、IoTおよびIoTプラットフォームも幻滅期に差し掛かっており、これらの技術は、PoCなどを各社が期待を抱いて実行する時期を経て、その活用が思っている以上に難しいという意識が見えてきたことを意味するとガートナーでは説明しているが、それは決して悪いことではなく、そうした時期だからこそ、冷静に基本に立ち返ってテクノロジの真価や導入のタイミングであったり、採用/導入領域を見極めるタイミングであるといえるとしており、が訪れているとしている。
なお、まだ本格的な商用展開が始まっていない5Gについて、過度な期待のピーク期に入ったことについて同社では、新たなテクノロジの活用とその普及がもたらし得るさらなる破壊に対する期待が影響した結果と説明している。