ハイエンドなNobleの設計ノウハウを投入
FALCONの開発には約2年をかけ、Noble Audioの創業者にしてオーディオロジスト(聴覚学者)でもある、ジョン・モールトン博士が音をチューニング。ワイヤレスイヤホンに起きやすい、音の途切れを無くす「接続品質(の高さ)」と、ハイエンドメーカーであるNoble Audioにふさわしく、同社の有線イヤホンに匹敵する「音質」、ユーザーにストレスを感じさせない「使いやすさ」を追求したという。
ワイヤレス接続の品質を高めるため、クアルコムのチップ「QCC3020」を採用。他の完全ワイヤレスイヤホンでも採用例の多いチップだが、FALCONは最新の制御用ソフトを導入。さらに、独自のアンテナ設計技術「High Precision Connect Technology」を組み合わせて、スマホなどのBluetoothデバイスとの接続安定性を向上させた。具体的には、イヤホンを耳に装着したときのアンテナの位置や角度などを最適化し、アンテナ基板の取り付け位置にもこだわった。これにより、混雑した駅構内など電波干渉の多い状況でも、スマホなどのデバイスとFALCONの接続を切れにくくしている。
6mm径のダイナミック型ドライバー「D.L.C.Driver」は振動板に工夫があり、PETの樹脂層の上にカーボンファイバー層を重ねて接着した特殊な二層構造となっている。分割振動や機械的な変形など音質への影響を排除し、既存の完全ワイヤレスイヤホンで採用例が多いグラフェン系ドライバーと比べて歪みを約半分に抑えつつ、伸びやかな高域表現を可能にするという。また、このドライバーによって完全防水設計が可能になり、水没にも耐えるIPX7の防水性能を備えている。
新開発のドライバーの特性を生かし、最適なアコースティックダンパーを選んで音圧の強さなど物理的なチューニングを実施。また、Noble Audioの有線イヤホンの特性を計測したデータを元に、クアルコムが用意したツールを用いてDSPの信号処理によるチューニングも行った。このアコースティックダンパーとソフト処理の掛け合わせによって「理想的な特性」を目指した。
そしてサウンドの最終的なチューニングは、モールトン博士がオーディオロジー(聴覚学)の知識に基づいて行った。発表会で流れたビデオメッセージの中で、モールトン博士は「『マスクキングの上方拡大』という現象があり、低音のレベルが大きくなるほど、高域までの幅広い帯域の音がマスキングされる(聴こえづらくなる)。多くの完全ワイヤレスイヤホンを含む音響機器でこの現象が見受けられ、私はそれを『音の濁り』と呼んでいる。FALCONではこれを回避するために超低域をかなりシャープに減衰させ、音の明瞭度への影響を抑えた」と説明した。
付属のイヤーピースは、完全ワイヤレスイヤホン用に設計されたePro audio製「Horn-Shaped Tips」。ドライバーの音を効率的に外耳道に届ける、特殊な形状を内部に採用しており、耳から外れて落ちないようフィット感も高めている。
使い勝手の面では、イヤホン単体で約10時間聴けるロングバッテリーライフや、15分の充電で約2時間使える急速充電対応、前述したIPX7防水性能などを実現。さらに、FALCON専用のiOS/Androidアプリを年内に提供予定で、イヤホンのハウジングに備えた物理ボタンの機能割り当て変更や、イコライザー調整が可能になるという。将来の機能追加も可能なOTAファームウェアアップデート機能に対応する。
FALCONを取り扱うエミライでは、国内展開にあたってユーザーのサポート体制を整えた。まず、「紛失安心補償サービス」(税別8,000円)を購入者に提供し、左右のイヤホン本体やケースのいずれかを無くしても、新品1セットと交換できるようにする。また、FALCON専用のコールセンターを発売前の10月23日に開設し、ユーザーからの使い方の問い合わせや、修理などの相談に乗れるようにする。