ドイツ・ベルリンで開催されたコンシューマーエレクトロニクスショーの「IFA 2019」。最新の家電製品やスマートフォン、デジタルガジェットなどがこれでもかと展示されますが、ここでは掃除機のトレンドや気になった製品をまとめます。

ミーレから初のコードレススティック掃除機が登場

IFA開幕前のプレスカンファレンスで新しい掃除機を発表したのが、ドイツの老舗、ミーレです。日本国内では、洗濯機や乾燥機、食器洗い洗浄機で知られていると思いますが、欧州では掃除機などより幅広い家電製品を手がけています。

  • TriFlex HX1

    ミーレのプレスカンファレンスで発表されたコードレススティック掃除機「TriFlex HX1」。カラーバリエーションも充実

今回、ミーレでは初となるコードレススティック掃除機「TriFlex HX1」を発表しました。ミーレによると、現在の欧州圏で掃除機を購入するユーザーの3分の1はコードレスタイプを選ぶそうです。ミーレとしても市場ニーズに沿った格好でしょう。

一番の特徴は、モーターやダストボックスを搭載する本体部分にて、パワーユニットの位置を使い方に合わせて変更できる3-in-1コンセプトを採用していること。

例えば、パイプをパワーユニットの下部に装着し、その先にヘッドをつければ、一般的なスティッククリーナーに。手元に重心があるため、ヘッドを交換すれば高い位置の掃除にも対応できます。また、ホースを外してパワーユニット先端にアタッチメントを取り付けると、ハンディクリーナーとして使えます。

  • TriFlex HX1

    奥の赤いモデルが、パワーユニットを下部に取り付けた状態。中央の黒いモデルが、パワーユニット手元に配置した状態です

TriFlex HX1で面白いのは、さらにもう一つのモードに変形することです。パワーユニット上部の取っ手が着脱式になっており、取っ手を外してホースを取り付け、ホースの先に取っ手という構成にします。すると、重たいパワーユニットが床近くに位置し、動かしやすいスタイルになるというわけです。

  • TriFlex HX1

    ホースを取り外すとハンディクリーナー

このスタイルは掃除機の重心が低くなるため、特に広い部屋を掃除するとき、負担が軽くなります。また、単体で自立できるのも便利です。バッテリーは2つ付属しており、最大で120分のバッテリー駆動時間となっています。コードレススティック掃除機としては、かなり長い部類です。TriFlex HX1は、2019年9月からドイツで発売を予定しており、日本への投入も検討中とのことでした。

ボッシュ、コンパクトで軽い新スティック掃除機はマキタキラーに?

ドイツのボッシュも、コードレススティック掃除機の新型モデルを発表。日本では電動工具のメーカーとして有名でしょう。欧州では冷蔵庫や洗濯機などの家電製品も数多く展開しています。

  • Unlimited Series 6

    よりコンパクトで軽量になったボッシュの「Unlimited Series 6」。全長が短いのもわかります

コードレススティック掃除機の新モデルは、ボッシュの電動工具と同じバッテリーが使える「Unlimited」ブランドの製品。このうち「Unlimited Series 6」は、日本でも発売されている「Series 8」の掃除機と比べて、よりコンパクトで軽量なのが特徴です。使用時の重さは、Series 8の2.9kgに対して、Series 6は2.3kgと軽くなっています。合わせて、延長パイプが短くなっており、日本人の体型でも使いやすく感じられました。

Series 6のバッテリーも、ボッシュの電動工具類と共有できます(18Vリチウムイオンバッテリー)。日本での展開は未定ですが、発売されれば工具ブランドの掃除機として高い支持を集めているマキタのライバルになりそうです。

丸くないルンバが欧州で発売

スティック掃除機と並んで、IFAの会場内で多くの製品を見かけたのがロボット掃除機。その中でも、ロボット掃除機をリードするアイロボットのルンバが大きな注目を集めていました。欧州のロボット掃除機市場は、ダイソンやミーレといった多くのプレーヤーがしのぎを削っていますが、アイロボットがトップシェアをキープしているとのこと。

展示の「ルンバ s9+」は、2019年5月に米国で発売、欧州では2019年8月に発売された最新のロボット掃除機です(日本では未発表)。

  • ルンバ s9+

    アイロボットの「ルンバ S9+」。D字形フォルムとなり、掃除効率がアップしたそうです。ダストストレーションも付属

最大の特徴は、これまでのルンバとは異なり円形ではなくなったこと。前方が真っ直ぐになり、いわゆるD字型フォルムを採用しています。ネイトロボティクスのロボット掃除機に近い形状です。

本体がD字型になることで、本体底面に配置されている回転ブラシが30%ほど大きくなり、集じん効率がアップ。よりスピーディに掃除ができるようになりました。ちなみに、ルンバ 600シリーズと比較して約40倍の吸引力を実現しているそうです。

  • ルンバ s9+

    大きくなった回転ブラシ。2本のブラシでゴミを強力に吸引します

D字型の本体は、部屋の角にもよりフィット。角にピタッとはまる「PerfectEdge」テクノロジーと、インテリジェントに宅内マップを作って掃除する「vSLAM」ナビゲーションにより、効率的に掃除します。

デザインも魅力、欧州仕様の掃除機

ほかにも、多彩なスティック掃除機やロボット掃除機を会場内で見かけました。多くは日本で未発売のモデルですが、デザイン面や使い勝手に大きな魅力を感じました。以下に写真で紹介します。

  • 中国のメーカー、ロイドミのコードレス掃除機「S1」です。米ラスベガスのCESや、上海で開催された家電見本市「AWE」にも出展しており、グローバル展開をスタート。中国・シャオミグループの家電として展開しています

  • 英・エレクトロラックスグループの家電メーカーである、ドイツ・AEGのコードレス掃除機。本体下部のコア部分を取り外してハンディとして使えるなど、基本構造はエレクトロラックスの「エルゴラピード」シリーズと共通ですが、高い静音性がポイント

  • 韓国・サムスンが手がけるプレミアムブランドのコードレス掃除機「Powerstick Jet200」です。高い吸引力をアピールしていました。床を水拭きできるモップアタッチメントも用意しています

  • ティファールなどを擁する、グループセブの生活家電ブランド、ロエンタのロボット掃除機。底面にモップが取り付けられ、ゴミの吸引とともに拭き掃除ができます。欧州ではダイソンやミーレと並び、アイロボットを追うブランドです

現在、日本の掃除機市場は、ダイソンやアイロボットをはじめとした海外勢と、国内メーカーの競争が激しくなっています。ここで紹介してきた日本で未発売の製品が参入してくると、より一層の激戦になるでしょう。消費者としては、選択肢が増えるのはうれしいこと。すでに国内展開しているメーカーのがんばりにも期待しつつ、新たなプレーヤーの参入が楽しみみです。