アイロボットジャパンは2月19日に、ロボット掃除機「ルンバ」の新シリーズとなる「ルンバi7(以下、i7)」と「ルンバi7+(以下、i7+)」を発表、同時にプレス向け体験会を開催しました。

ルンバi7は、2月22日発売となるルンバシリーズのフラッグシップモデル。一方のルンバi7+は3月8日の発売で、ルンバi7の機能に加えて、ルンバi7のダストボックスに溜まったゴミを自動収集する「クリーンベース」を導入しました。体験会で触れた実際の製品レポートをお届けします。

  • アイロボット・コーポレイションCEOのコリン・アングル氏、アイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長 挽野元氏

    ルンバi7発表会にて。写真左はアイロボット・コーポレイションCEOのコリン・アングル氏、右がアイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長 挽野元氏

  • ルンバi7、ルンバi7+

    新製品のi7+本体とクリーンベース。i7は、裏側のゴミ排出口以外ほぼ同じ本体形状をしています

「やっちゃった~!」に対応するロボット掃除機へ

i7シリーズ最大の特徴ともいえるのが、部屋の「地図」を作って学習する「ナビゲーションテクノロジー」の強化でしょう。これまでのフラッグシップモデル「ルンバ980」も、掃除する部屋の地図を作って効率的に掃除をするナビゲーションテクノロジー「iAdapt 2.0」を搭載していました。

しかし、部屋というのはモノが増えたり減ったり、意外と頻繁に家具の位置が変わったりします。このためiAdapt 2.0では、「掃除のたびに新しい地図を作る」手法を使っていました。つまり、掃除後は作った地図を破棄するのです。

一方で新しいi7は、ナビゲーションテクノロジーがiAdapt 3.0に進化。なんと「前に作った地図」を忘れずに記憶し、学習するようになりました。これによる大きなメリットは2つ。個別の部屋の判別ができるようになったことと、掃除時間の短縮です。

  • ルンバi7、ルンバi7+

    会場ではルンバのアプリを使用したデモンストレーションも。数回掃除させると、フロア全体の「形」がアプリでわかるようになります

  • ルンバi7、ルンバi7+
  • ルンバi7、ルンバi7+
  • アプリ上で部屋を「線」で区切って部屋を設定します。設定した部屋に「キッチン」や「リビング」などの名称を割り当てれば準備完了。最大10フロア分を同時に設定できるので、3階建てなどの家でも安心です

個別の部屋の判別とは、ルンバに「キッチン」や「リビング」、「廊下」、「書斎」などの部屋を覚えさせることができるようになった機能です。従来のルンバは「1つのフロアを端から端まで掃除する」ことしかできませんでしたが、部屋の判別機能によって、「キッチンだけ掃除」といった掃除方法が選べるようになりました。

たとえば、最近は1つのフロアを壁などで区切らない「LDK」形式の住宅も増えています。しかし、食事を作るキッチンや、食事を食べるリビングは汚れやすいものの、テレビを観るだけのリビングはそこまで汚れないという家庭も多いでしょう。こんな場合、i7シリーズなら「リビングとキッチンは毎日掃除するけれど、リビングは週に2回だけ掃除」といったエリアごとの掃除設定が可能なんです。

もちろん、アプリで「すぐに特定場所だけを掃除」する指定も。キッチンで食材を落とした場合「キッチンだけを今すぐ掃除して!」とルンバに指示できるのです。個人的には、こちらのほうがメリットが大きいと感じました。

【動画】音声が流れます。ご注意ください。
リビングのi7+に「すぐ子供部屋を掃除」と指示したところ。ルンバ本体が最短経路で子供部屋に直行し、掃除を開始する様子がわかります

学習機能でより早く効率的な掃除

もうひとつのメリットは、部屋の形を把握することによる掃除時間の短縮です。たとえば細長い廊下を掃除する場合、狭い横幅に合わせて動くと何度も本体を回転させる必要があります。

地図を記憶して学習できるi7は、細長い廊下があることがわかると、長辺方向に動いて曲がる回数を減らし、よりスピーディーに掃除を終わらせます。この「最短で掃除できるルート」を計算できるのも、過去の学習により地図データを記憶するiAdapt 3.0搭載機ならではの機能です。

【動画】音声が流れます。ご注意ください。
学習機能の搭載で、効率的なルートで掃除できるように。動画左は従来のルンバ、右がi7のルートです。i7は部屋ごとに掃除を完了させるほか、掃除終了までのスピードがかなり速いことがわかります

ロボット掃除機の面倒な「ゴミ捨て」が長期間不要に!

i7+は、上記のi7と同性能のロボット掃除機に「クリーンベース」が付属した製品です。クリーンベースとは、充電台と「ゴミ自動収集」機能を合わせたもの。i7が充電台に戻ると、クリーンベースが自動的にi7本体内部のゴミを吸引します。

クリーンベースの中には、専用の密封式紙パックをセットして使います。このため、ベースからゴミを捨てるときもホコリやゴミが舞い散る心配がありません。

【動画】音声が流れます。ご注意ください。
クリーンベースに戻るi7+。i7+がベースに帰還すると、自動的にゴミの吸い取りが始まります

クリーンベースの紙パックは、i7のダスト容器「約30杯分」のゴミを収集可能だそう。今まで1週間に1回、ルンバが集めたゴミを捨てていた家庭なら、一年にゴミを捨てる回数は2回以下になる計算です。

ゴミ捨てのタイミングは、クリーンベース正面のLEDでチェック。LEDが白から赤に変化したらパック交換のタイミングです。パックの交換時期は、クリーンベース内にある空気の吸引度をチェックするセンサーで判断しています。パック内のゴミが増え、ゴミの吸引効率が落ちると、交換タイミングを知らせる仕組みです。

  • ルンバi7、ルンバi7+

    ルンバ本体内のゴミを自動的に吸い上げるクリーンベース

  • ルンバi7、ルンバi7+

    ゴミ捨てはクリーンベース上部から紙パックを引き出して捨てるだけ

  • ルンバi7、ルンバi7+

    紙パックは、パックを引き出すときに、プラスチックのふたがスライドしてゴミ吸引穴が自動的に閉まる仕組み。ゴミ捨て時にゴミやホコリが舞いません

クリーンベースはルンバ本体下部からゴミを吸引するため、i7+(ロボット掃除機)の裏面には、ゴミ吸引専用の穴が配置されています。i7にはこの穴がないため、「先にi7を購入して、あとからクリーンベースを買い足す」という方法はできないので注意が必要です。

  • ルンバi7、ルンバi7+

    i7+にはゴミを吸引するための穴を配置。i7にはないので、i7ではクリーンベースは使えません

もちろん掃除能力も高い

ロボット掃除機だけに、掃除能力の高さも重要です。i7はサイドブラシで隅のゴミまでかきとり、デュアルアクションブラシがカーペットの奥などのゴミも掻き出します。デュアルアクションブラシは、一本目のブラシでゴミを浮き上がらせ、2本目は逆回転。床に密着しながらゴミを取り除きます。

メンテナンス性の高さも魅力的です。デュアルアクションブラシはゴム製で長い毛がないため、からみついた毛などを処理するのが簡単です。また、ダスト容器は水洗い可能で、より清潔に保てるようになりました。

【動画】音声が流れます。ご注意ください。
掃除能力もアップ。会場では、ボタンを吸い込む様子を下からチェックできるデモ。大きなゴミもグイグイ吸い込む様子が見られました

  • ルンバi7、ルンバi7+

    以前はフィルターと一体型だったダスト容器が、フィルターを分離して水洗い可能になりました

今回の新製品発表会ではアイロボット・コーポレイションCEOのコリン・アングル氏も来日。アングル氏によると「2002年の発売以来、自分が考える掃除機の理想は存在を意識しない製品」とのこと。つまり、掃除機をスタートさせたり、使用後のゴミ捨てといったメンテナンスについて煩わされず、「気が付いたらいつでも部屋がきれい」な状態が理想だといいます。アングル氏は、今回発表したi7シリーズは、この理想に非常に近い製品になった終始にこやかに語っていました。

  • ルンバi7、ルンバi7+

    リビングに入ったとたんテレビや照明が点灯するなど、スマート家電は「意識しないで使えるべき」と語るアングル氏