ヨーロッパでも完全ワイヤレスイヤホンが大流行中です。今年のIFA2019にも、これからの新しいイヤホンリスニングのトレンドを引っ張っていきそうな面白い製品が目白押しでした。筆者が特に気になったいくつかの製品をまとめてレポートします。
小さいのに超・強力ノイキャン搭載!リブラトーン「Track Air+」
デンマークは無線通信機器や補聴器の先進国です。そうした背景もあり、デンマーク企業のリブラトーンのような、ワイヤレスオーディオにも先進的な製品を数多く発表しているブランドがあります。同社の「Track Air+」はとてもコンパクトなボディに先進的な機能の数々を詰め込んでいる完全ワイヤレスイヤホン。
キモはかなり強い消音効果が得られるアクティブ・ノイズキャンセリング機能です。専用スマホアプリで細かなセッティングができて、消音レベルを「0〜30」の間で1ステップずつ変更できる「スマートノイズキャンセリング」を搭載しています。レベルが0に近づくほど消音効果が減るほか、一時的に音楽のレベルをグンと下げて、マイクで外の音を拾う外音取り込み機能(アンビエントモニタリング)を搭載しています。
筆者もIFA会場でその実力を体験しましたが、おそらく現在発売されている「ノイズキャンセリング機能付きイヤホン」と呼ばれる製品の中で、トップクラスの消音レベルを達成できていると思います。レベルを最大の30にまでもってくるとさすがに密閉感によるプレッシャーも感じますが、飛行機や地下鉄の中で音楽を静かに聴きたいときに高い効果が得られそうです。
BluetoothのオーディオコーデックはaptXとAAC、SBCに対応しています。とても素直な音質で聴き疲れしないバランスに整えている印象です。リブラトーンのクリストファー・ノースコウ氏に詳細を訊ねたところ、BluetoothのSoCにはクアルコムの上位ICチップである「QCC51xxシリーズ」が搭載されているそうです。筆者が知る限り、リブラトーンほど名前が知られているブランドでQCC51xxシリーズのICチップを載せて「ノイズキャンセリング付き完全ワイヤレスイヤホン」を商品化しているブランドはほかにないと思います。
ノイズキャンセリング機能をオンにした状態でも、連続音楽再生時間は最長約6時間を確保。11.2gのコンパクトな充電ケースを併用すると最長24時間の音楽再生を楽しめます。ケースはQiによるワイヤレス充電にも対応。イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様です。
EU各国と中国では先行発売がスタートしています。価格は199ユーロ(約23,000円)です。強力なノイキャン機能をぜひ試したいから、1台ベルリンの家電量販店で購入してみようかと思いノースコウ氏に聞いてみたところ、残念ながらまだ量販店での販売はスタートしていませんでした。日本上陸が待ち遠しいです!
JBL人気のスポーツシリーズに完全ワイヤレスイヤホン登場
JBLが2019年後半に向けて用意するたくさんの新製品の中から、筆者は完全ワイヤレスイヤホンの「Reflect Flow」に注目しました。
人気のReflectシリーズから登場する初の完全ワイヤレスイヤホンで、本体はIPX7相当の防水対応としています。本体のバッテリーだけで約10時間の連続音楽再生に対応。ハーマンインターナショナルの担当者によると、音楽の好きなマラソンランナーからバッテリーの持続時間が5時間前後だと心許ないという声が多く寄せられたことから、本体の装着感を高めることとバッテリー持続時間の向上について、特に腐心してきたそうです。
試聴してみたところ、音質のバランスが中立的でどんな音楽にも合いそうなので、スポーツシーンに限らずふだん使いのイヤホンとして楽しめそうです。シリコン製のスタビライザーを外耳のくぼみにフィットさせるセキュアフィット構造の安心感は抜群に心地よかったです。秋頃から149ドル(約16,000円)で、世界各国で順次販売がスタートするそうです。
使い勝手を改良したパイオニアのスポーツ向け完全ワイヤレスイヤホン
パイオニアも新しいスポーツタイプの完全ワイヤレスイヤホン「E9/SE-E9TW」を展示していました。欧州の販売価格は149ユーロ(約17,000円)。10月頃に発売を予定している3色のカラーバリエーションがそろいます。
本体はIPX5/IPX7相当の防水設計。シリコン製のイヤーフィンが外耳のくぼみに確実にフィットします。現行モデルのE8によく似た外観ですが、周囲の音を取り込める外音取り込みイヤーチップをイヤホンケースに装着できるデザインに進化しています。対応するBluetoothオーディオのコーデックはAAC/SBC。
バッテリー容量にこだわったフィリップス
ヨーロッパで人気の高いブランドであるフィリップスからも完全ワイヤレスイヤホン「SHB2515」が発売されます。欧州での販売価格は119ユーロ(約14,000円)。
最大の特徴は少し大きめの充電ケースに3,350mAhの大容量バッテリーを積んでいることです。イヤホン単体の音楽再生時間は連続5時間と標準的ですが、専用ケースで充電しながら使うと、何と連続して使用できる時間は約100時間に伸びます。イヤホン本体は軽くて着け心地も快適でした。カラバリにはホワイトとブラックの2色があります。
モトローラらしい合体3wayイヤホン
モトローラと言えば“合体スマホ”の「Moto Z」が日本でもよく知られていますが、同社の「Tech 3」というイヤホンは「完全ワイヤレス」「ネックバンド」「有線」という3つのスタイルに変形する画期的なイヤホンです。欧州では11月に99ユーロで販売を予定しています。
イヤホンの本体にネックバンドケーブルを装着。ネックバンドケーブルにもさらに着脱式のケーブルをつなぐと3.5mmアナログイヤホン端子による3in1スタイルのリスニングが選べます。それぞれに特殊な形状のコネクタを使う専用の仕様になりますが、Moto Zのように様々なタイプの対応アクセサリーと交換できるようになれば長く楽しめそうです。