いよいよ正式リリースが(多分)間近に迫るiPadOS。パソコンライクに使える新機能に期待する声が高まっていますが、クリエイティブ目的で使う人にとっても実務を支えてくれる様々なポイントが。今回はデジタルクリエイティブの視点から期待の新機能をまとめました。
Apple Pencil活躍の場がより広がる
iPad Pro+Apple Pencilの組み合わせが手描きデジタルクリエイティブの世界に変革をもたらしたのは2015年。今では多くのイラストレーターやマンガ家が実務に活用するまでになっています。そして現在、Apple PencilはiPad miniを含むシリーズ全モデルに対応し、クリエイターに限らずアクセサリとしてスタンダードなものになりつつあります。
iPadOSでは基本的な描画ができる標準のマークアップツールがリニューアルされ、さらに開発者が各アプリへ容易に組み込める仕組みが用意されています。クリエイターならずとも、様々なアプリで手描きツールの活躍するシーンが増えそうです。
写真や動画も、外部ストレージの読み込み/書き出し
iPadOSでは「ファイル」アプリがUSB接続やファイルサーバへのアクセスに対応し、外部ストレージとのドキュメントのやり取りが容易になります。また、ZIPの圧縮・解凍も可能なのでメール添付の送受信も安心。
さらに、Safariにはデスクトップ版と同様の「ダウンロードマネージャー」機能が追加され、ファイル転送サービスやフリー素材などからダウンロードしたファイルも扱いやすく。とかく大容量ファイルの多いクリエイティブ系業務でも、データのやり取りに苦労することが少なくなりそうです。
実務に使えるデザイン環境が充実
写真の現像や加工、イラスト制作はiPadでできても、その先のデザイン業務までは完結できませんでした。大きな理由は、デスクトップ環境とのツールやフォントの互換性です。それが、今後は大きく改善することになりそうです。
まず、サードパーティー製のフォントにOSレベルで対応すること。日本ではデザイン業界のスタンダードとなっているモリサワがフォントを提供する模様です。プランの内容や料金が気になるところですが、現実的な内容になれば影響は大きいでしょう。
また、AdobeがiPad向けのPhotoshopを年内にリリースすることを明らかにしています。これまでPhotoshopの機能を部分的にアプリ化したものはありましたが、今回はデスクトップ版から完全に移植されるとのこと。デスクトップ版とシームレスに連携して作業することが可能になります。
同時に、Macとの併用にも新しいスタイルが誕生します。新しいmacOSに搭載される「Sidecar(サイドカー)」機能に対応したアプリケーションなら、iPadをサブディスプレイとして使用することが可能。Macのアプリケーションを使い、Apple Pencilで書き込むこともできます。
クリエイティブ系の仕事において、iPadは完全にMacに代わるものにはなれませんが、それぞれの長所を活かしたり、作業の連携・拡張によってより効率的で創造的な環境を作る存在として、新たな価値を提供することになりそうです。