ASUS JAPANが8月20日に開催したスペシャルイベントで、カメラが"回転する"高級スマホ「ZenFone 6」と、1台のノートPCに4K液晶を2枚搭載してしまった「Zenbook Pro Duo」を、日本市場向けに発売すると発表した。当日はASUS台湾本社のJonney Shih(ジョニー・シー)会長が来日し、新製品を直接お披露目した。

  • 同社の30周年記念イベントで新製品を発表するASUSのJonney Shih(ジョニー・シー)会長

Shih会長はまず、同社が今年で創立30周年を迎えたことに触れ、「ASUSの創立のミッションは、世界一のマザーボードメーカーになることだった」と振り返る。そこから30年、マザーボードで市場をリードしつつ、革新の節目となるようなPC製品も開発し、今ではスマホ製品まで手掛けるようになった同社のイノベーションの集大成として、今回発表する新製品があるのだと話す。

  • 様々なイノベーションの端緒を開いた製品を提案し続けてきたのがASUSの30年だったと紹介

  • 余談だが、自作パーツであるマザーボード&和のテイストを意識したのか、記念すべき今回のイベント会場は秋葉原からもほど近い神田明神内のイベントホールだった

当日発表された製品は大きく以下の3種類。

  • ノートPC「ZenBook Pro Duo」
    4Kメイン画面に加え、4Kサブディスプレイも備えた大型ノートPC。クリエイターやゲーマーの要求にこたえるハイエンドな性能と機能を持つ。税別361,500円からで、8月23日に発売を予定。(スペック参考記事はこちら実機レビュー記事はこちら)
  • ノートPC「Zenbook 14」と「Zenbook 15」
    画面サイズと内部スペックの違いで14と15の2モデルを用意するノートPC。ともに、タッチパッドにタッチ液晶を融合させた「ScreenPad 2.0」と呼ばれるインタフェースの搭載が特長。税別144,500円からで、8月23日より順次発売する。(スペック参考記事はこちら実機レビュー記事はこちら)
  • スマートフォン「ZenFone 6」
    回転式のメインカメラ「フリップカメラ」が最大の特徴で、これによりメインカメラの高画質・機能でセルフィ―撮影ができたり、サブカメラの設置場所排除で完全ノッチレスを実現したり、回転機能を活かしたパノラマ撮影が楽しめたりする。Snapdragon 855はじめ内部スペックもハイエンド級の全部入りスマホだ。税別69,500円からで、8月23日より順次発売する。(スペック参考記事はこちら実機レビュー記事はこちら)
  • 世界初のデュアル4Kディスプレイが特徴のZenBook Pro Duo。パネル品質にこだわり、クリエイター向けもアピールする

  • ZenBook Pro Duoの製品バリエーションとそれぞれの価格

  • サブディスプレイの使い道は実に多様。メイン画面でゲームをプレイしながら、サブ画面で配信環境を立ち上げるといった使い道も

  • イラストレーターの有田満弘氏がゲストで登壇し、実際にZenBook Pro Duoを試してみた感触を紹介した。充実した環境をモバイルできるので、出先で思い立った時にすぐにカタチにできるのが利点という

  • 「Zenbook 14/15」はノートPCとしての基本を強化しつつ、進化したScreenPadでさらに便利に使いやすくなった

  • 新Zenbookの製品バリエーションとそれぞれの価格

  • 狭ヒンジで画面サイズのわりに本体が小さいだけでなく、薄型デザインも寄与しモバイル性の高さも特長

  • ZenFone 6

ZenFone 6のフリップカメラを実際に動作させてみた動画。メインカメラとサブカメラのワンタッチ切り替えのほか、任意の場所でとめたりもできる

  • ZenFone 6のカメラは、独特のフリップカメラ機構により、メインカメラでサブカメラの役割も担う。メインカメラの性能で自撮りができる点と、完全ノッチレスがまず目につくメリットだ

  • カメラ部分。これがボタン一つでメインにもサブにも

  • 大容量バッテリで動作時間も強み

  • フリップカメラ機構や大容量バッテリを本体内部に内蔵するにはそれなりの設置スペースが必要となるが、ASUSはマザーボードで培った技術をもとにメイン基板の実装面積を削減してスペースを確保している

ZenFone 6のフリップカメラ、立ち上がっている時に落とすと壊してしまいそう…という心配は無用だ。専用のセンサーによって、手が滑って落としてしまった状態などを検知すると、一瞬でカメラが格納されて破損を防止する機構を備えている、という動画

  • ZeFone 6の価格。メモリとストレージ容量の違いで2モデル

  • ZeFone 6の発売にあわせて、ZenSIMのお得なキャンペーンも実施する

  • 写真家の谷口功氏がゲスト登壇。ZenFone 6のカメラを使ってみたといい、フリップカメラ機構による自由なアングル、画質の良さ、しかもバッテリが持つということで、すごく楽しい体験ができたと話し、作例も披露してくれた

  • 谷口氏は、フリップカメラを利用してボタン一つでパノラマ撮影ができる機能に注目した作例も紹介してくれた

  • 谷口氏お気に入りという一枚。左からレインボーブリッジ、東京タワー、スカイツリーが一緒に写り、夕暮れから夜空までの空の移り変わりも美しく収められている

  • これもお気に入りのパノラマという。自撮りの背景には、足元からてっぺんまでのスカイツリーが写り込む

ほかにも創立30周年の記念製品も発表。13.3型ノートPCで、ホワイトレザーの天板が美しい「ZenBook Edition 30」と、ZenFone 6の本体カラーやスペックを特別なものとした「ZenFone 6 Edition 30」だ。同社直販サイトのASUS Storeで8月23日より台数限定で販売し、オフィシャル店舗ASUS Store Akasakaでも取り扱う。

  • 30周年を記念した「ZenBook Edition 30」。白い本革の天板がラグジュアリー感を演出

  • 30周年を記念した「ZenFone Edition 30」。RAM12GB、ROM512GBとスペックアップしたほか、長期保証も

  • ZenBook Edition 30の実物。本革の質感が素晴らしいが、汚れた手で触るのが怖い白さ

  • ZenBook Edition 30が149,030円。ZenFone Edition 30が103,030円。30円はどんな端数だと思ったが、30周年にかけたものだそうだ

なお今回イベントにはASUSのパートナーであるインテルとマイクロソフトからそれぞれゲストが登壇し、ASUSの30周年への祝辞と今後への期待を述べている。

インテル 執行役員 パートナー事業本部 本部長の井田晶也氏は、ASUSが、Intelの最新Coreプロセッサを使って常に斬新なアイデアを盛り込んだPCを製品化してきたことを高く評価し、「マザーボードからシステムにいたるまで、一緒になって業界を盛り上げてくれた」存在だと、これまでの30年を振り返り、「これからの30年も一緒に歩んでいきたい」と述べた。

  • インテル 執行役員 パートナー事業本部 本部長の井田晶也氏

日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマ&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏は、ASUSにはぜひ、その高いエンジニアリングと競争力で「モダンPC」を盛り上げてほしいとエールを送った。これは"いわゆるパソコン"を指し、様々な用途で満足度が高いPCはやはり主役であり、特に古くはネットブックや、最近では2in1などPCの新ジャンルを先導したASUSには引き続き活躍を期待したいというものだ。なお同氏によれば、低迷のイメージもある国内のPC市場だが、法人向けは力強く、コンシューマ向けも直近7~9月は2桁成長が見込まれるなど、実は好転し始めているという。

  • 日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマ&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏

ASUSのShih会長は、日本市場にはプライドを持って取り組むとしており、「クラフトマンシップにこだわる日本市場の特性にあわせて、ASUS製品のなかでも、特に市場を開拓できるような製品こそ日本向けに投入する」と方針を説明。重ねて、これまでの30年を振り返り、意欲的な製品を評価してくれた「日本のファン、関係者のみなさま、"ドウモアリガトウ"」と日本語で感謝をあらわす姿を見せ、引き続き日本市場には多くの機会を見出していることを印象付けていた。

  • 「ドウモアリガトウ」とファンらに向けて感謝するShih会長