福島県代表のプロゲーマーも誕生、EVO 2019で初陣を飾る
2018年の「eスポーツ元年」の影響もあってか、福島ゲーミングDAYだけでなく、地方のeスポーツ協会の動きが活発化している。各都道府県のeスポーツ協会は、他県のeスポーツ協会のことをどう考えているのだろうか。
「さまざまな地域でeスポーツ協会が設立していることはうれしいですね。秋田県や岩手県、鳥取県、栃木県、茨城県のeスポーツ協会の人とは、連絡を取ることもありますよ」
おそらくどこも発足したばかりだろうが、すでに横のつながりはあるようだ。
「さまざまな県の人が集まるのは大変なので、まずはオンラインで一緒に何かできたらいいですねという話もしています。ゲームをやりながらサミットのようなことをしたり、協会対抗のゲーム大会をしたりと、さまざまな取り組みができればいいなと」
高橋氏の挑戦は、福島ゲーミングDAYで終わりではない。他協会と協力すれば、事業の幅も広がっていくだろう。福島県eスポーツ協会としては、特に今後力を入れていく取り組みはあるのだろうか。
「地方でeスポーツが発展していくためにはコミュニティの存在が不可欠です。なので、まずはコミュニティのサポートを考えたいと思います。次に、eスポーツやゲームに対する一般理解。あとは、福島県を世界にPRするために、国際交流として海外プレイヤーの誘致などもいいでしょう。ただ、協会としては、あまりイベントばかりやるつもりはありません。我々はサポートや環境づくりに力を入れたいので、イベントはコミュニティ主導で開催してもらい、ノウハウなどを積みあげていってほしいですね」
協会はイベントを開催するための組織ではないと話す高橋氏。それよりも、環境整備や仕組みづくりに力を入れていくつもりだという。
また、今回の福島ゲーミングDAYでは、福島県を代表するプロゲーマーが誕生した。鶏めし選手、ねこみこ選手の2人だ。彼らは高橋氏が代表を務めるIT企業CROが母体の「Creative Gaming」に所属。8月3日~5日(日本時間)にラスベガスで開催された格闘ゲームの世界大会「EVO 2019」では、鶏めし選手が『ストリートファイターV AE』部門、ねこみこ選手が『アンダーナイト インヴァース(UNI)』部門で福島代表としての初陣を飾った。
「スター選手の存在はeスポーツが盛り上がっていくために必要なことだと思っています。県を背負って戦うプロゲーマーという、明確に応援する対象がいれば、地元も盛り上がるのではないでしょうか。世界大会で活躍してもらえれば、福島県をPRすることにもつながりますしね」
福島ゲーミングDAYで鶏めし選手やねこみこ選手と拳を交えたプレイヤーたちも、「福島」と大きく書かれたユニフォームを身にまとって世界デビューを果たした2人を、福島から応援していただろう。
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EVOに挑戦した鶏めし選手(左)とねこみこ選手(右)
eスポーツの地域密着チームはまだそこまで多くないが、Jリーグのように地域に密着したプロスポーツリーグが成功していることを考えれば、もしかすると近いうちに、ご当地プロゲーマーや地域密着型プロゲーミングチームが増えていくかもしれない。福島ゲーミングDAYのよう地域特化型のイベントも、ますます活発化していきそうだ。
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EVO 2019でのワンシーン。鶏めし選手は、EVO 2017の覇者ときど選手とも対戦した
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ねこみこ選手はUNIでEVO参戦