ニコンのフルサイズミラーレス「ニコン Z」シリーズは、高画素モデルの「Z 7」と高感度と高速連写が得意のバランスモデル「Z 6」の2種類があります。7月29日までキャッシュバックキャンペーンを実施している効果もあり、価格がこなれてきた「Z 6」の売れ行きが特によいようです。

もちろん、ニコンZマウントの交換レンズ群がジワジワとラインアップを拡充していることも、Zシリーズの評価を高める要因となっているでしょう。そこで今回は、先日登場した明るい標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」を有効4575万画素のZ 7に装着し、大きく変貌しつつある渋谷をブラブラと歩いてスナップしてみました。

  • ニコンが4月に発売したF2.8通しの標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」。実売価格は税込み26万5000円前後

描写性能も外装の質感も文句ナシ

ニコンZマウントの交換レンズは、Z 7やZ 6の発表と同時に登場した標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」もあります。こちらは、開放F4通しで沈胴機構を採用したことで、コンパクトに仕上がっているレンズです。

今回インプレッションするNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは、ズーム全域で1段明るい開放F2.8とし、最新光学技術を惜しみなく投入した意欲的な高性能レンズです。レンズ構成は15群17枚。EDレンズ2枚、非球面レンズ4枚をおごっています。さらに、ニコンレンズでは定評のあるナノクリスタルコートに加え、新開発の反射防止コーティング「アルネオコート」を施し、ヌケのよい描写を可能にしています。

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはたたずまいも上質です。金属を多用し、指触りとホールド感の高いレンズ鏡筒は、プロフェッショナルモデルにふさわしい仕上げだと感じます。フォーカスリングから独立したコントロールリングは、金属切削加工で実にシャープな指がかり。このリングには、カメラから絞り値や露出補正を割り当てられます。サイド部にはレンズFnボタンも装備しており、任意の機能を割り振れます。撮影情報を確認できるレンズ情報パネルで、絞り値や撮影距離などの情報を正確に把握できます。

レンズのサイズがコンパクトになったことも見逃せません。ミラーレス専用設計になったことで、一眼レフ用の「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」と比較してひと回り小型軽量化され、携行性が高まりました。さらに、防塵・防滴に配慮した設計や、レンズの最前面と最後面に施されたフッ素コートのおかげで、過酷な環境でもカメラを取り出すのをためらわず撮影できます。

  • 渋谷駅周辺は、現在大規模な再開発の真っただなか。訪れるたびに街が変わっていて驚きます。建設中の高層ビルをテレ端で狙いましたが、目が覚めるようなコントラストと発色で、実にカリッとした調子に仕上がりました。メタルとガラスの質感が素晴らしいと感じます(ISO100、1/640秒、F8.0、-1補正)

  • こちらも駅前で工事中のビルです。以前、ここに建っていたビルにはよく通いました。渋谷で育ったので、ビル内にある大型書店ではよく買い物をしたものです。現場を覆うネットの細かい感じ、そして真っすぐに描かれている直線が、レンズ性能の高さを物語っていますね(ISO100、1/200秒、F11.0、-0.7補正)

  • このレンズはビルドクオリティも高いです。ズーミング、フォーカス、コントロールリングがガタもなくスムーズに回せ、気持ちよく撮影に集中できました。お祭りの提灯を写しましたが、自然で見た目同様の発色が好ましいです(ISO100、1/400秒、F5.6、+0.3補正)

  • 工事現場の建設機械を撮ってみました。背景のハイライトを飛ばさず、建設機械を潰さないように+0.3の露出補正をかけましたが、イメージ通りの仕上がりとなりました(ISO100、1/800秒、F5.6、+0.3補正)

  • 渋谷駅南口の一帯は再開発のため、街ごと取り壊しが進んでいます。この音楽施設は以前「エピキュラス」と呼ばれていて、楽器を持った若者たちで賑わっていたのを覚えています。その看板をF5.6で撮影しましたが、煤けた様子をこのレンズはしっかりと捉えてくれました。実にいい感じです(ISO100、1/200秒、F5.6、-0.3補正)

  • 山手線を挟んだ反対側は少し前に再開発が終わり、大規模な商業施設やホテルなどが建ち並びました。そこの通路にあったペイントを絞り開放で撮影しました。絞り開放ながらシャープな像と発色、画面全域に渡って均一でメリハリのある写りが見事だと感じました(ISO280、1/30秒、F2.8、+0.3補正)

  • 海外から来た旅行者が、変わりつつある渋谷の街をヒカリエの展望ロビーから眺めているところをスナップしました。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sのオートフォーカスは、高速かつ正確にその指先にフォーカスしてくれました。動作音も静かで、あらゆるシーンで活躍するレンズだと感じます(ISO100、1/200秒、F5.6)

  • 渋谷の街は海外からの旅行者であふれています。待ち合わせの名所、ハチ公前もご覧のとおり。チョイ絞りでハチ公に群がる彼らを撮ってみました。ピントはもちろんハチ公です。立体感と金属感がしっかりと表現できました。ボケもスムーズで、周囲の人をふんわりと写し込むことができました(ISO800、1/60秒、F4.5)

  • 世界的に有名な渋谷スクランブル交差点は、海外旅行者にとって格好の撮影スポットとなっています。スマートフォンで撮影する旅行者に声をかけ、その様子を撮影させてもらいました。絞りF2.8開放で左の人の目を狙いましたが、その瞳の力強さ、肌の調子、被っているヒジャブの質感がよく出ています。背景に写り込む光源のボケ方もよく、光学性能の高さを堪能できました(ISO2200、1/125秒、F2.8)

  • 昔よく遊んだ宮下公園も、全面的な工事で変貌を遂げています。夜の工事現場を切り取ってみましたが、照明を反射する金属製の階段が鈍い光を放っている様子が撮影できました。感度はISO1600に上がっていますが、リベットの質感やハイライトからシャドウまでの階調がとてもよく写し取られています。Z 7のボディ内手ブレ補正機構のおかげで、スローシャッターでも安心して撮影できました(ISO1600、1/30秒、F2.8、-1補正)