半導体市場動向調査会社であるYole Développementは、半導体製造における後工程である組み立てとテストを請け負う製造業者(OSAT:Outsourced Semiconductor Assembly and Test)の2018年における売上高ランキング・トップ25を発表した。

トップ25社の売上高総額は、前年比4.8%増の約270億ドルで、OSAT市場全体がおよそ300億ドルのほとんどをこれらの企業で占めていることとなる。本社所在地別の国・地域別シェアは、トップの台湾が52%とダントツで、2位中国(21%)、3位米国(15%)と続き、その後はマレーシア(4%)、韓国(3%)、シンガポール(3%)、そして日本(2%)となっている。

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    OSATの本社所在国別シェア (出所:Yole Développement)

トップ8社中、中国勢は3社がランクインしており、2014年の1社だけという状況から、躍進している様子が窺える。日本からは、14位のアオイ電子(売上高4億1400万ドル)のみがランクイン。東芝、富士通、ルネサスの後工程事業の製造工場を次々と買収して急成長した日本最大の半導体後工程事業会社であったジェイデバイスだが、2015年に世界2位のOSATである米Amcor Technologyの完全子会社となったため、親会社の売り上げに組み込まれてしまっている。

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    2018年のOSAT売上高ランキングトップ25社 (出所:Yole Développement)

拡大する大手と中小企業の差

最大手の台ASE Technology Holding(旧ASE)は、2018年4月30日にSPILを正式に買収完了後、さらに規模を拡大している。2018年の売上高は、子会社分を含めると、過去最高の123億800万ドルとなり、2位Amkorの売上高が43億1660万ドルであるので、ほぼ3倍の差と言える。たとえ、子会社のSPILと中Universal Scientific Industrial(USI)の売上高を除外しても、その額は52億5000万ドルであり、1位の座は揺るがないほどの規模である。

Yoleのテクノロジ&マーケットアナリストであるFavier Shoo氏は、「上位5社のうち、ASE(SPILとUSIを除く)、Amkor、およびJiangsu Changjiang Electronics Tech(JCET)Groupの3社は、いずれも前年比で2〜3%の成長率であったが、SPILは同5%増、台Powertech Technology(エルピーダメモリの後工程事業所だった旧秋田エルピーダメモリを米Micron Technologyから買収し傘下に置くOSAT)は同15%増という成長率を達成しており、OSATのリーダーの座を争う激しい顧客獲得競争が繰り広げられていることを意味する」と市場の動きを説明する。

また、「主要なOSATは設備拡充と研究開発へ多額の投資を続けている。2018年にはこれらへの投資の70%以上がトップ8社のOSATによるものであった。このような投資に関して、大手と中小企業の間で格差が広がっているため、末端の企業は市場シェアを奪われる可能性が高まっている。ゆえに小規模OSATは、出口戦略として、大手が買収意欲を示すほどの差別化された技術またはIPがない場合、最終的に廃業に追い込まれる可能性がある」と指摘している。

さらに、「マイクロエレクトロニクス産業では、性能、コネクティビティ、およびモビリティに対する新たな要求が高まっている。その結果、OEM、ファブレス、IDM、ファウンドリは、パッケージング性能とテスト機能に新しい価値を生み出すために、OSAT企業への依存度を高めている。OSAT業界が長期的に投資を続け、M&Aおよび技術革新によって、製品ポートフォリオも拡充させ続けていることは特筆に値する。中堅OSATの中にも業界全体の成長の波に乗って成長しているところもあるが、 残念なことに、比較的活発な活動を行えているのはごく一部で、残りのOSATにとっては、利益の確保が難しくなってきている」としており、小規模なOSATの先行きについて危ぶむ姿勢を見せている。