韓SK Hynixは6月26日、128層の1TビットTLC(Triple-Level Cell)4D NANDフラッシュメモリを開発し、量産を始めたと発表した。2019年後半の出荷を予定しているという。

  • 4D NAND

    128層1TビットTLC 4D NANDのウェハを持つSK Hynixのスタッフたち

同社の語る4D NANDは、同社独自の呼称で、周辺(ペリフェラル)回路の直上にセルアレイを積層することでシリコンダイ面積を削減したNAND構造を指す。この技術を同社は「PUC(Peripheral Under Cell)」と呼び、周辺回路とセルアレイの積層によって「次元(Dimention)」が1つ増えたと見なし、3D NANDではなく4D NANDと呼んでいる。

128層は、現状の商用化ベースの積層型NANDチップとしては、最高の積層数。1Tビット4D NANDには、チップ内に3600億個のNANDセルを搭載し、各セルごとに3ビットの情報を保持できる。同社では「超均質垂直エッチング技術」、「高信頼性多層薄膜セル形成技術」、「超高速低消費電力回路設計技術」などの技術を適用したほか、3D CTF(Charge Trap Flash)アーキテクチャ、PUC(Peri Under Cell)技術などの4D NAND技術を活用することで、128層を実現したという。

また、こうした最適化により、既存の96層NANDと比べて製造プロセスの総数を5%削減することにも成功したとしており、その結果、96層NANDから128層NANDへの移行にかかる投資コストは、従来の技術移行と比べて60%削減しつつ、ウェハ当たりのビット生産性は96層比で40%向上させることができたとする。

モバイル向け製品とエンタープライズSSDを提供へ

128層4D NANDは、1.2Vで1400Mbpsのデータ転送速度を達成しており、同社では2020年上半期に、1mmの薄型パッケージを採用し、従来比で消費電力を20%削減したUFS3.1製品を開発するとしているほか、独自開発のコントローラを採用した2TBのクライアントSSDの量産も開始する予定としている。また、2020年中にクラウドデータセンターを中心としたエンタープライズ向けに、16TB/32TBのNVMe SSDも提供を開始する予定であるとしている。

  • 4D NAND

    128層1TビットTLC 4D NANDのパッケージ

なお、同社は2018年に96層の4D NANDを発表し、今回128層の発表を行ったが、すでに176層の4D NANDの開発も進めているとのことで、技術的優位性を武器に、NAND市場での競争力の強化を図っていくとしている。