ASUSは、台湾・台北市で開催されるIT見本市「COMPUTEX 2019」の開幕を前にプレスカンファレンスを開催し、創立30周年の同社にふさわしい新製品を発表しました。

目玉はノートPCのキーボード部の上半分にディスプレイを搭載した「ASUS ZenBook Pro Duo」で、2019年第3四半期の後半に発売するとしています。同時に、30周年記念製品として、特別仕様のノートPCやスマートフォンなども発売する予定です。

  • 30周年をアピールするJonney Shih会長

ZenBook Pro Duoは、「新時代のPC」として紹介されました。通常のディスプレイに加え、その半分ほどのサイズのサブディスプレイ「ScreenPad Plus」をキーボード部に装備した2画面PCです。

メインディスプレイは15.6型4K(3,840×2,160ドット) HDR対応のOLEDを採用し、コントラスト比は10万:1、色域はDCI-P3比で100%、sRGB比で133%と広色域。ScreenPad Plusは14型で3,840×1,100ドットの解像度となっています。

  • ZenBook Pro Duoはキーボードの上側に大型のサブディスプレイを搭載します

  • ボディはアルミニウム素材でダイヤモンドカットなどのデザイン上の工夫も備えています

  • 本体の側面

CPUは第9世代Intel Core i9まで搭載でき、メモリは最大32GB、ストレージは最大1TBまで利用可能となっています。さらにゲーミングPCにも利用されるようなNVIDIAのGPU「GeForce RTX 2060」を搭載。全体として高いパフォーマンスを発揮してくれます。

  • 高い性能のメインディスプレイ

  • Intel Core i9まで搭載可能

  • 通信機能ではWi-Fi 6をサポート

  • 14型モデルも含めた主なスペック

14型サイズとなるScreenPad Plusは、マルチタスキング、生産性の向上、クリエイティビティの向上といった効果があるとしています。ScreenPad Plus上には最大3つのアプリを横に並べることができ、アプリグループを設定すれば、メイン画面1つを含む4つのアプリを並べた状態で一度に起動することが可能です。

  • 用途の一つ。ペンを使ったクリエイティブ作業

  • ゲームとその実況を同時に行えます

  • 音楽制作でも

  • メディア制作でも活用できます

もちろん、普通に上下で2つのアプリを起動することも可能で、アプリを移動させる際にスイッチアイコンが表示され、メインとサブのどちらにアプリを表示するかを指定できます。

2つのディスプレイを1画面として、巨大なディスプレイとして活用することもできます。OSのWindowsからはデュアルディスプレイとして認識され、拡張ディスプレイとして扱われます。

  • メインディスプレイ、ScreenPad Plusのいずれでも、アプリを選択すると画面移動アイコンが表示される。相互にディスプレイを行き来したり、2つのディスプレイを1画面として使ってアプリを表示したりできる

  • 全画面表示したところ

  • ScreenPad Plusのランチャー

  • アプリをグループして同時起動できます

  • メインディスプレイにブラウザ、ScreenPad Plusにカレンダーとマップを表示する設定にしているので、ワンタッチでアプリが起動できます

  • 起動するアプリや配置は設定可能です

ほかに、どちらのディスプレイもタッチ対応で、ペン入力もサポートします。動画編集では画面の上部分で動画を表示してScreenPad Plusにコントローラーで操作したり、ゲームをメイン画面で行いつつ、ScreenPad Plusで実況をしたり、メイン画面でサイトなどのレイアウトを作りつつ、ScreenPad Plusで画像を選択したり、さまざまな用途が想定されます。

タッチ非対応の14インチフルHDディスプレイを搭載した「ZenBook Duo」も用意されます。Core i7、NVIDIA GeForce MX250、12.6インチフルHDScreenPad Plusを搭載しています。スペックなどに差はありますが、ScreenPad Plusを使ったもろもろの機能は同等です。

  • こちらは14インチモデルのZenBook Duo

  • こちらもScreenPad Plus部のペン入力に対応

  • 本体側面

普通、ノートPCのキーボードは奥に位置して、手前側にはパームレストとタッチパッドが配置されます。ScreenPad Plusが奥側半分を占めるため、キーボードは手前ギリギリまで寄っています。

そのため、専用パームレストが用意されており、入力を補助してくれます。タッチパッドはキーボード右側にあり、10キーとしても利用できるようにすることでスペースをうまく生かしています。

  • タッチパッドはキーボードの右側にあります

  • タッチパッドは10キーとしても動作します

もともと、ScreenPadはタッチパッド部にディスプレイを用いて、アプリを起動させて2画面を利用できるようにしたものです。これをさらに拡張したのがScreenPad Plusです。そのScreenPadもより大型化するなど「ScreenPad 2.0」に進化し、30周年記念ノートPC「ASUS ZenBook Edition 30」などに搭載されます。

  • 30周年記念モデルとなる「ASUS ZenBook Edition 30」

  • イタリアンレザーの外装

  • 18金のローズゴールドプレートを配置

  • 特別なケースにマウスなどのアクセサリーも用意

  • より大型化するなどした新しい「ScreenPad 2.0」を採用。CPUは第8世代Intel Core i7、GPUはNVIDIA GeForce MX250、メモリは16GB、ストレージは1TB SSDなどとなっています

  • ディスプレイは13インチで「世界最小」と言います

スマートフォンでも「ZenFone 6」の30周年記念モデルを投入。このほか、VivoBookシリーズやモバイルディスプレイでも新製品が発表されました。

  • スマートフォンの30周年モデルは、「ZenFone 6 Defy Ordinary」。本体カラーはマットブラックでメモリ12GB、ストレージ512GB、30カ月保証、グローバルで3,000台限定の販売です

  • インカメラにすると自動的にカメラがフリップする構造は通常のZenFone 6と同じです

  • ASUS VivoBook S15。VivoBookシリーズにもScreenPad 2.0が搭載されるようになりました

  • マイクロHDMI、スピーカー、10点タッチなどを備えたモバイルディスプレイ「ASUS ZenScreen Touchも登場

ASUSの会長であるJonney Shih氏は、30年に渡って人を中心としたデザインと技術的なこだわりを継続してきたことを強調し、今回のプレスカンファレンスのテーマである「Wiser Togother(ともに賢く)」に加え、「ともに強く(Stronger Together)」と話し、「すべての人が心から笑顔で人生を歩めるように、ユビキタスインテリジェンスを想像し続けることを約束します」と、次の時代に向けた意気込みを語っていました。

  • 今回もJonney節を見せたJonney Shih会長

1989年のマザーボードから30年の節目となる2019年。長らくASUSの名物会長として引っ張ってきたShih氏と、共同CEOのS.Y. Hsu氏とSamson Hu氏の3人が力強く製品を紹介し、ASUSらしい特徴的な製品とともに、ASUSが健在であることをアピールしているようにも感じられたプレスカンファレンスでした。

  • 30周年記念モデルを手に並ぶ(左から)共同CEOのSamson Hu氏、Jonney Shih会長、S.Y. Hsu共同CEO