COMPUTEX TAIPEI 2019開催前日にあたる5月27日に行われたInternational Press Conference & CEO Keynoteにおいて、AMDはNAVI GPUと7nm RYZENの詳細を公開した。

新アーキテクチャ「RDNA」採用のNavi

まずはGPUについて。かねてからロードマップに示されていたNaviだが、マイクロアーキテクチャを刷新する。これまでのGCNからRDMA(Radeon DMA)と呼ばれる新しいアーキテクチャがベースとなる(Photo01)。

  • Photo01:従来のGCNベース製品と比較して、同一クロックあたりの性能が25%アップ、消費電力当たりの性能が50%アップと発表された

これを搭載した製品(Photo02)はRadeon RX 5000シリーズという命名で投入される。基調講演では、NVIDIA GeForce RTX 2070との比較デモ(Photo03)も行われ、RX 5000シリーズがRTX 2070と同等以上の性能を示すことがアピールされた。

  • Photo02:Navi GPUのダイ(を示すLisa Su CEOの左手)

  • Photo03:STRANGE BRIGATEの動作デモ。RTX 2070が108fps、Radeon RX 5000が114fpsを示している(画面左上にFPSが表示されている)

今回は具体的な製品SKUなどは発表されていないが、まずはRadeon RX5700シリーズが2019年7月に発表される予定であり、6月10日にE3のLivestreamで詳細が公開されるという。

12コアのRyzen 9 3800Xが登場

次いでRyzenについて。7nmのZen2コアであるが、従来のZen/Zen+と比較してIPCを15%向上、キャッシュ容量(L2+L3の合計)を倍増、さらにFPUの性能を倍増していると説明された(Photo04)。

  • Photo04:どうやってIPCを引き上げたか、は今回はまだ未公表。ちなみに今年のHotChipsでこのあたりに関する講演が行われる予定となっている

Zen2はPCI Express Gen4をNativeでサポートしており、これを利用することでPCI Express Gen3ベースと比較して大幅に性能が改善することもアピールされた(Photo05)。

  • Photo05:3DMark PCI Express Feature Testを、Core i9-9900K+GeForce RTX 2080Tiで行うと14.4fpsほど。対してRyzen 7 3800X+Radeon RX 5700シリーズでは24.1fpsとなっている

さて、そのZen2コアを採用した第3世代Ryzenであるが、8コア/16スレッド製品として、Ryzen 7 3700XとRyzen 7 3800Xがラインナップされる。Photo06がCineBench R20を利用しての性能比較で、Single Thread/Multi Threadのどちらでも競合製品を上回る性能としている。

  • Photo06:Ryzen 7 3700XはTDP 65Wという点もポイントは大きい

これだけでなく、Dual Die構成のRyzen 9 3900Xも同時にラインナップされることが明らかになった(Photo07)。Dual Die構成ということで、16コア/32スレッドと思いきや、12コア/24スレッド構成と有効コア数を抑えることで、その分動作周波数を引き上げたGaming向けプロセッサとなっている。

同じ12コア/24スレッドのCore i9-9920Xと比較しても性能が上で、しかも消費電力が低いとされる(Photo08)。

  • Photo07:ちょっと写真が荒いのはご容赦を。CPU Chiplet×2+I/O Chipletの構成なのが良くわかる

  • Photo08:会場ではBlenderを利用しての性能比較も行われた

この3製品のスペックをまとめたのがこちら(Photo09)。7nmにちなんで、いずれの製品も7月7日に出荷開始とされる。

  • Photo09:Ryzen 9 3900Xの499ドルにはさすがに会場がどよめいた

ちなみにLisa Su CEOの説明の中には出てこなかったが、パートナー企業の発表としてASUSがX570チップセットを搭載のマザーボード 3製品を用意していることをアナウンスするなど、チップセットについても一新されるとみられる。このあたりの話は後程、改めて紹介したい。