前回までのおさらい
10年以上も自作PCから遠ざかっていたマイナビニュース編集部の阿部氏。スマホ版のPUBGで最近のゲームに魅了され、ゲーミングPCを自作しようと思い立つ。かつて雑誌「PCfan」で自作PCの最前線を私と一緒に渡り歩いただけに、冷え切っていた自作PC魂が再点火した。
そこで筆者が阿部氏にヒアリングし、オススメのパーツ構成をヒネリ出したのが【パーツ選定編】、それをCore 2 Duo自作時代の記憶を頼りになんとか組み上げたのが【組立編】となる。あわや電源ユニットから発火? というハプニングもあったが、無事にセットアップ完了まで進んだ。
そして本特集の3回目は、阿部氏がPUBGでボコボコにされる様子……ではなく、組み立てたゲーミングPCが実際にどの程度のパフォーマンスを出せるのかを検証する。ベンチマークとくれば筆者の出番である。
阿部氏がかつて使っていたCore 2 Duo搭載PCと性能を比べたかったが、状態がかなり良くないので断念したのは心残りだ。とはいえ、Ryzen 5 2600Xを筆頭に同じようなパーツ構成で自作を考えている人にはどの程度のパフォーマンスになるかのヒントになるだろう。今回組んだ新PCのパーツ構成は以下の通りとなる。
メモリクロック設定を忘れずに
組んだパーツはスタンダードなものばかりなので、OSのセットアップで特に気をつける部分はない。ただ注意しなければならないのはメモリのクロックだ。今回使用したメモリはDDR4-2666対応、つまり2666MHz動作が “可能” と謳っているが、何も設定せずに動作させると2133MHzで動作する。
これは、どんな環境でもメモリが確実に動作するよう低クロックでブートさせ、ユーザがBIOSでメモリクロック設定を引き上げることを想定しているためだ。まずはパワーオン時にBIOS(正しくはUEFI BIOSと言うらしいが……)設定画面を呼び出そう。呼び出し方は昔からのお約束、パワーオン後に「Delete」キーだ。
Core 2 Duo時代とはBIOSもガラッと様変わりしており、グラフィカルでマウスも使える。今回使用したマザーボード「ASRock B450 Steel Legend」の場合、「OC Tweaker」→「Dram Timing Configuration」内にある「Load XMP Settings」を「XMP 2.0 Profile 1」に設定しよう。「DRAM Frequency」も「DDR4-2666」、すなわち装着したメモリのクロックを指定する。メモリ内のROMに書き込まれているDDR4-2666で動作させるためのXMPプロファイルを読みだせ、と指定しているわけだ。
メモリによっては、XMPプロファイルを指定しなくてもメモリの定格クロックが出せるよう製造されているものもある。“DDR4-○○○○ネイティブ” みたいな呼ばれ方をするメモリがそれに該当する。そういう場合はXMPプロファイル云々の設定は必要ない。
では実際に何も手を加えずに動かしたDDR4-2133モードの時と、XMPプロファイルを正しく設定してDDR4-2666で動作させた時は、一体どの程度パフォーマンスが変わってくるのだろうか? 総合ベンチマーク「PCMark10」で検証してみた。テストはゲーム以外のパフォーマンスを見る「Standard」を実施した。ただし、SSDは筆者の手持ちのWesternDigital製「WDS100T2XDC」に変更している。阿部氏が購入したSSDと同設計(容量だけ500GB→1TBになっている)であるため、ベンチマーク的な影響は極めて軽微といえる。
メモリクロックを設定し直しただけで、総合スコアでは4%弱のアップとなった。無論処理の内容によって効果は違う。PCMark10のテスト細目のスコアを見ると、Essentialsテストでは増加分は1%程度の微々たるものだが、Productivityテストは17%も伸びた項目(図中Spreadsheetとある項目)がある。
Ryzenの場合、CPU内部バスのパフォーマンスはメモリクロックに連動するため、メモリクロックは高いほど良い。もっと言えば、Ryzen 5 2600Xの最大定格であるDDR4-2933や、DDR4-3200等のオーバークロックメモリ(OCメモリ)を使えばもう少しスコアも伸びる。だが、今メモリをDDR4-2933に引き上げても次世代Ryzenでメモリ仕様が変わったら、使いまわせない可能性もある。次世代Ryzen換装への機運が高まった頃に検討するとしよう。