コンパクトデジカメは小型軽量で手軽に使えるが、連写やオートフォーカス性能はミラーレスや一眼レフにかなわない――。こんな常識を根こそぎ覆してしまう存在として話題になっているのが、ソニーが2018年に発売した高画質モデル「Cyber-shot DSC-RX100M6」。カメラの撮影性能にこだわる落合カメラマンも「日々、一番シャッターを切っているカメラ」と諸手を挙げて評価していました。
求める要素が漏らさず詰まっている「RX100M6」
結構ヤバイ状況だと思っている。安閑としていてはマズイ感じなのだ。ナニが?って、私とソニー「RX100M6」との関係が、である。
そもそも、初代「RX100」と「RX100M3」を大のお気に入りとして使ってきた履歴を持つ私だ。RX100M6の発表を知った瞬間に購入を決意し発売日に入手、常時携行機として位置づけ今に至る……という一途なラインに不確定、不審、不倫、不毛、脱毛などといった不穏な文字列がつけいる隙はナイものと自覚しているところではあるのだが、傍目にどう見えているのかはよーわからん。でも、自分ではRX100M6とは無垢な気持ちで接しているし使い続けてきているつもりだ。
だ・か・ら・こ・そ、マ・ズ・イ。
RX100M6を使っていることの影響が思ったよりもデカいんである。周囲に迷惑をかけているワケではなく、あくまでも「私の中のハナシ」なのだが、ナニはトモアレRX100M6は、思った以上にインパクトのあるコンデジだったのだ。
紛うことなきコンデジサイズのボディに、「1型センサーとUSB充電とテレ端200mm相当」の三大熱々要素が詰まっている。しかも、使ってビックリ、AFは一眼レフ並みの動体追従性をも発揮可能なコンデジ随一の仕上がりだ。このAFについて私は、かねてから愛用していた「RX10M4」に近い能力を持つものであろうと密かに期待していたのだが、まさしく思った通りのAF性能にブッ飛んだ。
AF-C+測距点自動選択時に、315点の像面位相差測距点表示がチラチラ有機的に動きながら被写体を捉えて離さない様子がいざなうのは、少々オーバーな表現を持ち出すならば「α9にも似た使い心地」。ジツはこの表現、RX10M4のレビューで用いたことのあるものなのだけど、この際そのまんまRX100M6にも被せちゃうことにした。“血統”は明確。ここまで動体を苦もなくちゃんと撮れるコンデジサイズのコンデジって、他にはないからね。
というワケで、RX100M6を入手して以降、一番シャッターを切っているのは同機だったりする。依頼仕事(私の場合は取材モノがほとんど)はオリンパス「OM-D E-M1 MarkII」を中心に、撮影条件や内容によってソニー「α7R III」「α7 III」のコンビを持ち出すというのがここ最近のスタイルなのだけど、それでもショット数はたぶんRX100M6がいちばん多い。常時携帯し、ちょっとしたメモ撮りから作品を意識した撮影まで、それこそ何でもやらせているからだ。逆の見方をすると、それだけ何でもできちゃうコンデジということでもある。