シャープから最新フラグシップスマホ「AQUOS R3」が発表されました。2017年の初代「AQUOS R」発売から、好調が続くシリーズ最新モデルの実力はどうでしょう。シャープが開催した発表会で、短時間ながら実機に触れてきました。気になる画質や音質、カメラ性能などをチェックしていきたいと思います。

  • 「AQUOS R」シリーズの3代目となる「AQUOS R3」の実力は?

  • 6.2インチのディスプレイを搭載した「AQUOS R3」

  • 背面にはガラスパネルを採用しています

  • 本体上部に3.5mmイヤホンジャックを搭載しているので、愛用の有線イヤホンやヘッドホンをそのまま使えます

  • カラバリは全5色ですが、キャリアによって取り扱う色は異なると思われます

最新の「Pro IGZO」ディスプレイ

AQUOS R3には、シャープが自社開発した約6.2インチの液晶ディスプレイ「Pro IGZO」が搭載されています。IGZO(イグゾー)とは、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)から構成される酸化物。通常の液晶パネルで広く使われている非晶質半導体(ひしょうしつはんどうたい)のアモルファスシリコンに比べて、高い電子移動度が特徴です。このIGZOを半導体に使うと、アモルファスシリコンの半導体よりも明るく高精細で、消費電力の低い液晶パネルを開発する下地がつくれます。スマホやタブレットにおける、タッチパネルディスプレイの感度や精度も高められるそう。

最新モデルのAQUOS R3には、第5世代まで進化した新開発のIGZOディスプレイが採用されました。シャープはこれを、Pro IGZOディスプレイと名付けています。

最大の特長は高い色再現力と、従来モデル比で約2倍という明るい画面。表示精度が8bitから10bitに向上したことで、表現できる色数が従来の1,677万色から10億色まで一気に飛躍しました。

パネル1画素あたりの半導体サイズが小さくなり、バックライトの光の透過率も18%アップ。パネル全体の輝度は従来モデル比で約2倍になり、より明るく色鮮やかな映像を表示できるようになりました。

  • 三つ並ぶ端末の中央上がR3。画面の明るさが最も秀でていることが写真から伝わるでしょうか

その実力は、会場に展示されていた新旧AQUOS Rシリーズを比べてみると明らかでした。AQUOS R3は、色彩やかできめ細かな階調感、繊細な明暗コントラストの表現に優れています。HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)対応の映像コンテンツを表示すると、AQUOS R3の画面は明部が一層に輝きます。ピーク部分は白トビせず、映像に含まれるディティールも自然に引き出していました。暗部の沈み込みについてもうまくコントロールできていて、まさしく画面全体で表現できる明暗の深みと説得力が増したように感じました。

色再現の豊かさについては、たとえば朝焼けの空が紺色からオレンジ色まで穏やかに移り変わるグラデーションがとても滑らかで、本物の風景に近いリアリティがありました。AQUOS R3とAQUOS R2を並べた比較展示の写真だけでは、AQUOS R3の実力を十分に表現できないことがもどかしいのですが、参考になればなによりです。

  • 左側がAQUOS R3、右側がAQUOS R2。きめ細かな映像の階調表現力には明らかな差が出ました。写真だと伝わりにくいのが残念なところです

よく晴れた日の屋外で画面が見やすいことは、スマホの使いやすさを左右する大事な決め手です。AQUOS R3には、ユーザーがスマホを使う環境に合わせて、画面の輝度とコントラストを自動調整する「アウトドアビュー」機能が新搭載されました。明るいところで画面輝度を持ち上げ、画面を見やすくするスマホやタブレットはよくありますが、AQUOS R3のPro IGZOは、コントラストの調整や消費電力のマネージメントも同時に行います。電力をムダに消費しないところもIGZOらしさです。

  • 明るい場所でも画面が見やすくなる「アウトドアビュー」機能を搭載。写真の左側がAQUOS R3、右がAQUOS R2。右側のAQUOS R2では、写真の女性の輪郭が黒くにじんでしまっています

  • 同じHDR映像を表示し、パネルが消費する電力の比較。左のAQUOS R3のほうが効率よくパネルが駆動しています

IGZOディスプレイの特長である半導体の電子移動のスムーズさに磨きをかけ、Pro IGZOでは画面のリフレッシュレートが120Hz駆動になっています。指の動きを滑らかにフォローするタッチパネル感度のよさは、体験するとより明らかです。

  • パネルのタッチ操作の感度がとても高くなっています。画面の右側は、AQUOS R3が搭載する120Hz駆動パネルのイメージ

AQUOS R3のディスプレイは高画質でありながら低消費電力で、屋外でも使いやすいなど、IGZOのメリットをユーザーが実感できる方向に深めているところに魅力を実感した次第です。液晶テレビ「AQUOS」が立ち上がったころから、長く自社でディスプレイを研究、開発して培ったノウハウを、最新スマホに生かせるのもシャープの大きな強みでしょう。

最新のBluetoothコーデックに対応

オーディオ性能については、AQUOS R2、AQUOS Zeroに続いて、Dolbyの立体音響技術「Dolby Atmos」への対応に注目です。Dolby Atmosは、内蔵のステレオスピーカーとイヤホンの両方で楽しめます。AQUOS R3には、いまやハイエンドでは珍しい3.5mmイヤホンジャックも搭載されています。

  • Dolby VisionやDolby Atmosに対応しています

Dolby Atmosのサウンドについては、残念ながら会場でしっかり音出しデモを行っていなかったので評価はできません。また機会があれば別途試してみたいと思います。

このほか、AQUOS R3のDolby関連トピックとしては、映像体験を高めるHDR技術「Dolby Vision」もサポートしています。モバイル向けのドルビービジョン対応コンテンツは、Netflixなどのプラットフォームで徐々に増えています。でもそのコンテンツを楽しめる環境は、コンテンツプロバイダーと端末メーカーの協力関係にも依存するため、AQUOS R3では視聴できないスマホ向けDolby Vision対応コンテンツもあります。本件については、AQUOS Zeroのレビューで説明していますので、気になる人は確認してみてください。

AQUOS R3は、Bluetooth対応の完全ワイヤレスイヤホンで音楽を聴くとき、右のイヤホンと左のイヤホンにそれぞれ信号を送信するQualcommの技術「TrueWireless Stereo Plus(TWS)」に対応。完全ワイヤレスイヤホンの接続性能を高めて音途切れやノイズを減らしたり、バッテリーの持続性能を高めたりできます(完全ワイヤレスイヤホン側もTWSに対応している必要があります)。

ワイヤレスイヤホンやワイヤレスヘッドホンなどとのBluetooth接続時、ビットレートを可変させながらデータを伝送することで、音質と接続安定の両方を担保するQualcommの最新技術「aptX Adaptive」にも、AQUOS R3は意欲的に対応しました。おそらく本校執筆時点(2019年5月10日)で、aptX Adaptiveへの対応をうたったデバイスとして、一番乗りなのでは? 受信側であるBluetoothヘッドホンやイヤホン、スピーカーから、aptX Adaptive対応のものが発売されれば、その真価が存分に発揮できるようになります。これは楽しみです。

長編動画も15秒のダイジェストに

AQUOS R3のカメラについては、受光感度を高めたイメージセンサーや、画づくりを行う画質エンジン「ProPix2」の進化など、ハード側の強化が目を引きます。AQUOS R2と同様、本体背面に動画用と静止画用のカメラユニットを別々に搭載しているところがユニークです。

  • 動画/静止画専用のカメラユニットを搭載するユニークなデュアルレンズ仕様

  • 静止画用カメラが1,220万画素、動画用カメラが2,010万画素となっています

画素数約12.2メガピクセルの静止画用カメラには、F1.7の明るいレンズと、1.4μmの高感度センサーを載せています。受光量が従来モデルと比べて約2.4倍にアップしているので、明るく色鮮やかでキレイな静止画を撮れるそうです。この辺は実機で試せなかったので、また機会があればトライしてみたいと思います。

20.1メガピクセルの動画撮影用カメラユニットには、高密度センサーと画角125度の超広角レンズを採用しました。イメージセンサーは、複数画素のセンサー配列を切り替えられる「Quad Bayer配列」というユニークな技術を用いています。フルHD動画を撮影するときは、4つの画素をあたかも1つの画素のようにまとめて使い、感度と明るさを確保。ノイズを押さえた臨場感ある動画を記録可能です。

4K動画撮影時は、1つの画素を1つの画素として使い、解像度の高い動画を記録します。撮影モードを切り替えたときに、画素配列を自動的にスイッチするアルゴリズムを組み込みました。このほかAQUOS R3は、AQUOS Rシリーズで初めてHDR動画(HLG方式)を撮影できるようになっています。

  • イメージセンサーは、複数画素のセンサー配列を切り替えて使う「Quad Bayer配列」というユニークな技術を搭載しています

静止画・動画撮影時の「手ブレ」を効果的に抑えられるように、静止画では光学式手ブレ補正、動画では電子手ブレ補正を載せました。静止画撮影時は被写体のブレにも対応できるよう、一度に複数枚の静止画を撮影し、最もブレの少ないデータをベースに独自のアルゴリズム解析をかけて合成。シャープな静止画を撮影できる被写体ブレ補正も備えています。

発表会では、被写体ブレ補正の効果を実機によるデモンストレーションで紹介していました。被写体ブレ補正は、不意に動くネコなどを撮影するときに効果的なのだそうです。

  • 静止画と動画で、異なる手ブレ補正を効果的にかけます

  • 被写体ブレの補正アルゴリズムも搭載されています

  • 被写体ブレ補正によって、ふいに動くネコもシャープに描写します

AQUOS R3は、ダイジェストムービーを自動で作成する新機能「AIライブストーリー」も魅力です。動画撮影中、スマホに内蔵されているAIエンジンが被写体の構図や動き、人物の笑顔の瞬間などを判別して、見どころとなるシーンを自動抽出。撮影した動画を約15秒のダイジェストムービーに仕立てます。

AIライブストーリーのデモ。これは「Standard」で、このほか「Fun」と「Relax」モードがあります

スマホで撮った動画というものは、撮影したときにノリノリ気分でも、時間が経つと動画を再生するのが面倒になって、やがてスマホのストレージ内に埋没しがちです。大切な思い出を何度も見返したり、SNSで共有したりできるよう、動画の楽しみ方を改革する機能といえるでしょう。

AIライブストーリーを利用するには、動画の撮影前にAIライブストーリーの機能をオンにするだけ。動画を撮影すると、スマホにプリセットされているBGMやエフェクトを加えた3つのパターンのダイジェスト動画が自動で生成されます。4K/HDR動画撮影よりも、使う頻度が高くなりそうな機能だと思います。

エモパーも忘れずに

AQUOSシリーズのスマホが搭載するシャープ独自の人工知能「エモパー」は、バージョン10.0に進化しています。シャープのスマート家電プラットフォームである「COCORO+(ココロプラス)」に対応するエアコンや、空気清浄機、調理器具、冷蔵庫との連携が深まっています。一例として、ユーザーの行動履歴をスマホのエモパーが学習し、ユーザーが帰宅するとスマホがエアコンをつけるようオススメするといった「レコメンド機能」が強化されました。

  • 人工知能エモパーは、シャープのAIoTスマート家電と連携できます

  • ユーザーの行動履歴をベースに、エアコンの使用をレコメンドするといったことができます

  • 一例として、帰宅と同時にエアコンをオンにするようすすめます

2019年5月10日現在、シャープのスマート家電は、ジャンルによって異なるアプリで操作する仕様ですが、今後はエモパーから機器の設定や操作を一元管理できるようになると、ますます便利になりそうです。

AQUOS R3は、やみくもにスペックを高めるのではなく、ユーザーが便利に感じられる「実用性」を真摯に追求した最新スマホといえそうです。きっと使い込むほど、思いのほか画面が見やすかったり、操作がスムーズだったり、キレイな写真を撮れたりすることを実感できるのではないでしょうか。

すでにソフトバンクが取り扱いを発表しており、ドコモやauからの発売も期待されます。AQUOS Zeroのように、SIMフリースマホとしての展開にも期待したいところです。