米Microsoftは5月6日 (現地時間)、「Windows Subsystem for Linux (WSL) 2」を発表、WSLにカスタムビルドのLinuxカーネルを採用し、WindowsのコンポーネントとしてWindowsと共に提供することを明らかにした。MicrosoftがLinuxカーネルを提供するのは初めてではない。昨年に発表したAzure Sphereと共に出荷しているが、Windowsに同梱するのは初めてだ。

搭載予定のWSL向けカスタムカーネルは、長期安定リリースの最新版であるバージョン4.19をベースにWSL 2に最適化したもので、Windows Updateを通じたカーネルのセキュリティ修正やアップデートで、長期安定リリースの最新版が継続的に保たれる。

WSL 2は軽量な仮想マシン・ユーティリティ内でLinuxカーネルを動作させる。仮想マシンというと、一般的には起動に時間がかかって多くのリソースを消費する隔離された環境というイメージだが、WSLカーネルはWSL 1の特長はそのままにWindowsとLinuxを高度に統合し、高速起動や小さなリソースフットプリントを実現するものになっており、WindowsにおけるLinuxの利用体験が向上するという。特にgit clone、npm install、apt update、apt upgradeといったファイルの集中的なオペレーションで処理速度が向上し、初期テストではtarballアーカイブの解凍がWSL 1と比べ最大20倍高速になり、git clone、npm install、cmakeなどを用いたプロジェクトでも2~5倍のパフォーマンス向上が見られたそうだ。また、Linuxカーネルを備えることで、Linuxシステムコールの互換性の問題を解消。「Docker」や「FUSE」なども利用できるようになる。

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WSL 2は、6月末までにWindows Insiderプログラムを通じて初期ビルドのプレビュー提供を開始する。そのタイミングでWSLカーネルをオープンソースで公開する計画だ。