福岡県福岡市博多区に本社を構える福岡運輸と企業のAIソリューションを開発するAutomagiは、受注管理業務における入力効率化するAIを用いた画像ソリューションの実証実験を1月から3月にかけて実施、フリーフォーマットも多いというFAXで寄せられる受注書の管理業務効率化の成果を9日に発表している。

福岡運輸は、多様な温度帯での冷蔵・冷凍輸送を中心とした"定温物流"を展開する企業。専用の車両には車内の温度をリアルタイム把握する管理システム、冷凍冷蔵食品の保管のための温度コントロールなど独自の倉庫システム、物流情報を一元管理し、入出庫や配車、貨物追跡を実現する動態管理システムと定温物流を支える独自の物流システムを構築している。そんな同社がAIを用いた受注業務の課題解決への取り組みを開始しようとしている。

  • システムの概要(同社資料より)

    システムの概要(同社資料より)

ECの普及により個別の受注も増加するが、従来、各企業から寄せられるFAXによる発注書はフリーフォーマットが多く、内容の確認やデータ入力に人の力が必要不可欠であったという。今年の1月から3月にかけて行った実証実験では、受注FAXの画像データに記載されている企業名、日時、商品などの文字情報を認識し、自動で抽出・入力するなどAutomagiの「AMY」を用いたAI OCRを用いた効率化を実践。先行導入を予定する5事業所25人が行っていた受注専門業務を8人程度で実施できることを確認したという。約70%の工程削減を達成した実証実験の成果をもとに今後商用開発を進め、導入事業所の拡大を図る構えだ。

福岡運輸代表取締役社長 富永泰輔氏は、"物流業界はデジタル化が遅れており、その分IoTやAIの導入効果が大きい。今後の労働力不足を見越し、これからも積極的に新技術を取り入れ業務の効率化を図りたい"と述べる。同社は業務効率化により実現する労力を「働き方改革の推進(労働時間の適正化)」「人員配置の最適化(人員減少への対応力強化)」など必要な方向に活用していく。

Automagi代表取締役社長 櫻井将彦氏は、"Automagiでは、ディープラーニングを中心としたAI技術による画像映像解析で、物流業界の様々な課題解決に取り組んで来ました。今回福岡運輸様の労働力不足を見越した施策に貢献でき、大変嬉しく思います。今後も、福岡運輸様の新しい取り組みの技術パートナーとして支援して参ります"と述べる。同社は今年1月にGPUディープラーニング プラットフォームを提供するNVIDIA CorporationのAIスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception Program」に認定、自然言語処理や画像映像認識ソリューションの企業への導入実績は100件を超えている。