Microsoftは米国時間2019年4月4日、次期機能更新プログラムとなる「Windows 10 May 2019 Update」を2019年5月下旬に順次公開することを公式ブログで明らかにした。
注目すべきは更新プログラムに関する提供方法である。ポイントは「アップデートを一時停止する機能の拡張」「インテリジェントな稼働時間の設定」「更新オーケストレーションの改善」の3つだ。これらを順番に見ていこう。
「アップデートを一時停止する機能の拡張」は機能更新プログラムと、月例の「重要な更新プログラム」「セキュリティ更新プログラム」を分離し、「Download and install now」ボタンを新たに設けた。
この変更に伴い、現状であればバージョン1809を使い続けながら、セキュリティ更新プログラムだけ適用したいといった顧客需要に対応する。
延長できるのは最大35日間(7日間×5回)までと、Proエディションユーザーからすれば変わり映えしないように見えるものの、本変更が適用されるのはHomeエディションを含むすべてのWindows 10が対象となる。
これはコストの問題でWindows 10 Homeを選択する中堅中小企業や個人ユーザーにとって朗報といえるだろう。なお、本変更はバージョン1809に限らず、バージョン1803でも利用可能になる予定だ。
破壊的なアップデートの再起動を回避するための「インテリジェントな稼働時間の設定」は、Windows 10 バージョン1607で導入されたアクティブ時間に関するものだ。
Microsoftは「多くのユーザーは既定値である午前8時~午後5時のまま」と説明しつつ、デバイス固有の使用パターンを検出して、アクティブ時間の自動調整を行うという。
3つ目の「更新オーケストレーションの改善」は少々不明確だ。Microsoftは「システムの応答性を向上させるため、Windowsの更新とMicrosoft Storeの更新を調整して中断を最小限に抑える」と説明しているが、どちらの処理も過度にCPUリソースを消費するわけではない。OneDrive/OneDrive for Businessの同期と比べると、微々たるものという印象を個人的に抱いている。
更新プログラムのプロセス優先度を低下させるのか、抜本的な改善が加わるのか分からないため、本稿ではMicrosoftの説明を紹介するにとどめたい。
同ブログでは、毎日約2万件も受け取るユーザーフィードバックに、重要課題の優先順位付けを行う旨も語られた。機械学習および自然言語処理を用いて、改善すべき優先順位を定めると同時に、機能更新プログラム適用時のロールバックやOSのクラッシュなどを予期するラベル基準を追加するアンサンブル学習を用いる。
結果の可視化を目的に「Windows 10 update history」へリアルタイムで反映させるそうだ。本更新は4月中に行われる予定である。
長きにわたり利用者を苦しめてきたWindows Update。もちろんセキュリティ更新プログラム適用に伴うPCの再起動は、安全性を担保する上で欠かせないプロセスである。
だが、PCの使用頻度の少ないユーザーにとっては「使おうと思ったら再起動を求められる」と憤慨される方も少なくない。心情的には理解できるものの、ユーザー側には更新の重要性を求めつつも、Microsoft側には利用者の利便性を重々理解した上で、皆がWindows 10を快適に使用できる世界を目指してほしい。その観点において今回の仕様変更は正しく評価されるべきだろう。
阿久津良和(Cactus)