米国半導体工業会(SIA)は、2019年2月の世界半導体市場が、1月の355億ドルに比べて7.3%減、前年同月の368億ドルに比べて10.6%減の329億ドルに留まったと発表した。世界半導体貿易統計(WSTS)は月次売上高を単月で集計しているが、SIAは、3か月移動平均値で計算しなおして公表している。1月度は3か月移動平均では前年同月比5.7%減だったが、WSTSの単月集計ではすでに2桁マイナスの13%減を記録していた。2月の単月売上高は4月3日時点でWSTSからは公表されていないが、変動幅を小さく示す3か月移動平均値よりもはるかに大きなマイナス成長となる可能性が高い。

メモリバブル崩壊からあっという間に不況に突入

メモリ価格の高騰のおかげで長期間にわたり好況だった半導体産業が、予想をはるかに超えるペースで不況に突入したといえる。半導体メモリの大口契約価格の推移などから3月の半導体市場は1月、2月以上に縮小することが予測されている。また、米中経済摩擦はじめ政治・経済・技術上の不確定要素が多すぎることから、市場がいつ反転するのかについても読みにくくなってきており、2019年の半導体市場予測について、WSTSや市場調査会社はいずれもが従来のプラス成長としていた予測をマイナス成長の予測へと下方修正を行っている。

SIAの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるJohn Neuffer氏は、「半導体産業は過去3年間にわたり記録的な売上高を達成してきたが、2019年1月に続き2月も連続してマイナス成長となり、すべての地域市場での売上高が減少となった。また2月は、すべての主要半導体製品カテゴリでも前年同月比、前月比ともに売り上げが減少した」と述べている。

2月の地域別売上高は、すべての地域市場で前月比および前年同期比ともに減少した。もっとも大きく減少したのは1月と同様に米州で、前月比12.9%減、前年同月比22.9%減となっている。次いで中国が前月比7.8%減、前年同月比8.5%減となっており、2国ともに米中貿易摩擦の影響をもろに受けていることが窺えるが、特に米州の落ち込みが激しく、1月に続いて2月も2桁マイナスとなっている。中国と日本を除くアジア太平洋およびその他地域は前月比5.1%減、前年同月比7.2%減、日本は前月比5.3%減、前年同月比5.9%減、欧州は前月比2.3%減、前年同期比3.0%減であった。

  • 月次世界半導体市場売上高推移

    月次世界半導体市場売上高(1996年1月から2019年2月までの半導体市場(単位:百万ドル)と前年同月比の増減率(%)の推移 (出所:WSTS/SIA)