IPoE(IP over Ethernet)は、通信経路にイーサネットを利用してデータ(IPパケット)を伝送する通信方式です。スマートフォンとは直接関係ありませんが、自宅にWi-Fiおよびインターネット回線を敷設するとき、利用するインターネット接続事業者によっては"次世代インターネット接続環境"としてこの方式が案内されることがあります。

従来のインターネット接続サービスは、FTTH(光ファイバー)などの高速回線を契約する場合、PPP(Point-to-Point Protocol)という通信規約に従う「PPPoE」(PPP over Ethernet)を利用することが一般的でしたが、IPv4というインターネット技術を基礎にしていました。

一方、IPoEは「IPv6」を基礎にしています。IPv4は、同時に利用できるIPアドレスの数は約43億(2の32乗)ですが、IPv6では約340澗(2の128乗、1澗は1兆の3乗)という途方もない数のIPアドレスを利用できます。

そしてIPoEを利用したインターネット接続はPPPoE方式とは別の通信設備/通信網を経由します。多くの場合、PPPoE方式より大容量化した設備を利用できるため、混雑しにくいというメリットがあります。PPPoEを片側1車線の旧い道路とすると、IPoEは片側2車線以上ある最新の道路で、しかも設備が異なるため旧い道路からの流入がなく渋滞しにくい、と喩えられます。

PPPoEからIPoEに切り替えると通信速度向上を期待できますが、必ず向上するとはかぎりません。WEBサービスでいえば、接続先がIPv4のみ対応の場合は「IPv4 over IPv6」というサービスが必要になりますし、夜間など特定の時間帯に速度低下が明らかなインターネット接続サービスでなければ、速度のメリットを感じにくいでしょう。Wi-Fiルータなど接続機器にもIPoE対応が求められるため、慎重に検討しましょう。

  • 従来のPPPoE方式と比べると、一般的にIPoE方式のほうが高速です