昨年に続き、今年もフルサイズミラーレスの新製品が各社から続々と登場し、話題を呼んでいます。そのようななか、写真ファンが熱視線を送っているのが、オリンパスのミラーレスでは最上位モデルとなる「OM-D E-M1X」。マイクロフォーサーズ規格なのでセンサーサイズこそ小さめですが、各社のフルサイズミラーレスにもない独自の優れた撮影機能が注目を集めています。

  • オリンパスの最上位ミラーレス「OM-D E-M1X」

    2月22日に販売を開始するオリンパスの最上位ミラーレス「OM-D E-M1X」。一瞬のシャッターチャンスを逃したくないプロ向けの製品だが、写真ファンからの注目度も高まっている。ボディー単体モデルの実売価格は税込み36万5000円前後

2月22日の発売を前に、常識破りともいえるE-M1Xの特徴的な撮影機能をいち早く試してみました。今回は、新たに手持ちでの撮影に対応した「手持ちハイレゾショット」と、補正効果を最高7.5段分に高めた「5軸手ブレ補正」の実力に迫ってみたいと思います。

手持ちハイレゾショット、画質も実用性も不満なし

まずは、進化したハイレゾショットに迫ってみたいと思います。

ハイレゾショットは、連写した複数の画像を合成して高精細な写真を生成する機能。「OM-D E-M1 Mark II」などの従来モデルでは、カメラを三脚に固定した場合のみ利用できましたが、E-M1Xでは手持ち撮影で5000万画素相当の撮影ができる「手持ちハイレゾショット」機能を新たに追加したのがポイントです。三脚が使えない場所でも撮影できるようになったことで、より多くのシーンで手軽に高解像度の撮影に臨めます。

  • ドライブモードのハイレゾショット画面で「三脚ハイレゾショット」と「手持ちハイレゾショット」を切り替えられます。手持ちハイレゾショットの際は、手のアイコンが出ているかどうかを必ず確認するようにしましょう

手持ちハイレゾショットの撮影では、自動的に16回連続してシャッターを切りますが、電子シャッターを使用するため、無音&無振動の撮影となります。ある程度カメラをしっかり構える必要はありますが、それほど神経質になる必要はありません。

手持ちハイレゾショットで生成された5000万画素相当の画像(8160×6120ドット)はシャープネスが高く、その仕上がりは誰しもが驚くクオリティーだと感じます。複数の画像を合成した際の絵柄のズレなども見当たらず、不自然な部分はまったくありませんでした。撮影後の生成にかかる処理時間は少々かかりますが、これなら日常的に使えると思えました。

ただし、これまでどおり動いているものが含まれると不自然な表現となるので、構造物など動かないものの撮影のみ使えると考えておきましょう。

  • 壁のレンガひとつひとつをしっかりと再現しており、立体感のある写りになりました。風でたなびく旗はさすがに写し止められず、不自然な仕上がりとなっています(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO使用、24mm相当、ISO200、1/640秒、F8.0、-0.7補正)

  • 手持ちハイレゾショットで設定可能な最大絞り値のF8で撮影しています。ピントの合っている部分の質感描写は、ハイレゾショットならでは(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO使用、24mm相当、ISO200、1/250秒、F8.0、-0.3補正)

  • 繊細な写りが欲しいけれど三脚は使えない…というシーンに遭遇したら手持ちハイレゾショットの出番。連続撮影はできませんが、積極的に活用したい機能といえます(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO使用使用、24mm相当、ISO800、1/60秒、F4.0)

  • 拡大して見ても、細かなディテールをしっかりと再現しているのが分かります。階調再現性が低下するようなこともなく、高精細で美しい描写の仕上がりが得られました(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO使用、24mm相当、ISO1000、1/60秒、F4.0)