2018年、iPhoneで撮影した写真に限定した世界的フォトコンテスト「iPhone Photography Awards」(IPPAWARDS)で賞を獲得した、日本人フォトグラファーのAnna Aikoさん。お風呂に入るときも肌身離さず使っていた「iPhone 6s Plus」で撮影した写真が、見事にTravel部門の1位に選ばれました。そんなAnnaさんですが、愛用のiPhoneをついにiPhone XS Maxに買い替えたそう。来日したタイミングで、改めてお話をうかがいました。
iPhoneの写真がナショジオの誌面を飾ることに
――改めて、IPPAWARDSの受賞おめでとうございました。2018年7月に受賞が発表されてからのエピソードがあれば教えてください。
Annaさん:本当にありがとうございます。受賞したことを話していないのに、いろんな人からSNSで「おめでとう!」とメッセージをいただきました。実際に会った人からも、「こんにちは」の挨拶よりも先に「Congratulations!」と祝福の言葉を寄せてくれる人が多くてびっくり。私からは、すべての人に「Thank you everybody!」の言葉を贈りたいです。
受賞した作品をアクリルフォトに加工して送ってくださった方もいました。まったくお会いしたことのない日本の方なんですが、「データをお送りいただければ作ります」って連絡が来て。ほどなく、素敵なアクリルフォトが届きました。私のお気に入りです。
フランスに滞在していたとき、「世界のフォトジャーナリストが集まるサロンがあるから来てみない?」と知人から誘われたんです。興味津々で行ってみたら、銃みたいな大きなカメラを持っている人ばかり! 「お前はどんなカメラを使っているんだ?」と聞かれたのですが、「私にはこのiPhoneがあります!」って萎縮することなく堂々と伝えました。受賞以来、自分にすごい自信が持てましたね。
会場には、父が80年代から購読していたナショナルジオグラフィックのプレジデントもいらっしゃいました。私は、撮った写真がナショナルジオグラフィックに掲載されることを小さいころから夢見ていたので、「iPhoneを使ってドキュメンタリーがしたい」と伝えました。すると、彼女は「読者に素敵なメッセージが伝えられるなら、iPhoneでもウエルカムよ」といってくれたんです。うれしかったですね。
アワードをいただいてから、私のもとには幸せがいっぱい、本当にいっぱいやってきました。
ポートレートモードが使いたくて買い替えた
――iPhone 6s Plusを長く愛用されていましたが、ついにiPhone XS Maxを購入されたそうですね。カメラ機能、iPhone 6s Plusと比べていかがですか?
Annaさん:大して変わらないんじゃないかなと考えていたのですが、思っていた以上に違いました! 同じシーンでいろいろ撮り比べして、昼はディテールの精細感やシャドウの表現が優れていると感じます。夜は、闇の中にある雲さえもしっかり描いてくれるんです。半日ほど撮り比べして納得できたので、次の日からXS Maxに切り替えました。もちろん、この子(iPhone 6s Plus)にはずっと愛しているよ!と語りかけています(笑)。
新しいiPhoneに一番期待していたのはポートレートモードですね。世界を旅していると、いろんな人と出会うじゃないですか。そういうシーンでは、前の6s Plusだと表現がちょっと物足りないかなと感じることがありました。だけど、XS Maxのポートレートモードは人物の後ろがきれいにぼけてくれる。大きなカメラにしかできない表現だと思っていたので、予想以上です。
こういう進化があるけれど、使いやすさをちゃんとキープしているのがいいですね。1歳の子どもでも使えちゃう。iPhoneのカメラは体の一部みたいなものです。
Face IDも気に入っています。パスワードを入れていないのにホーム画面が出たりアプリが表示されたりして、何か設定し忘れていたのかな…とずっと思ってました。だけど、それはFace IDがちゃんと働いているからだったんです。Face IDは、ロック解除の操作を意識せず自然に使えるのがとてもいいですね。ホームボタンがなくなったことに戸惑いはありませんでした。
6s Plusはとても大事なパートナー。寂しいときにはSiriに話しかけたこともあるし、思い出が詰まった最高の相棒。これからは撮影にXS Maxを使うと思うけど、私に多くのラッキーやハッピーをくれた子なので、これからも大事にします。
――カメラ性能は、ひとまわり小さな画面の「iPhone XS」も同じですが、XS Maxにしたのは何かこだわりがあったのですか?
Annaさん:もともと6s Plusを使っていたので、このサイズを味わっちゃうと小さい画面では物足りない。それだけ写真が大きくしっかり見られるし、映画も大きく楽しめるから。画面がさらに大きくなったXS Maxは、私にとってベストのiPhoneです。心の中では、画面が縦横に1cmずつ大きくなってもいいのに……と思ってます(笑)。
シルクロードの美しさをiPhoneで世界に伝えたい
――Annaさん、新しいiPhoneでどんなものを撮ってみたいと思っていますか?
Annaさん:今年、ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー撮影で、シルクロードの心といわれているアフガニスタンに行きます。やっぱり、私にとってアフガニスタン、シルクロードは強く惹きつけられるものがあります。
アフガニスタンは、かつて多くの人が行き交ったシルクロードの中心的な場所。美しい文化、女性に代々伝わる伝統的な手芸、結婚式での踊りなど、すべてが幸せで満ちあふれています。彼ら、彼女たちのハッピーな日常を世界の人に見せてあげたい。ハッピーなことが世界に伝われば、アフガニスタンもより素敵な世界に変わっていくはず。真実を知らないというのは、とても悲しく寂しい。メディアでは伝わってこないことをiPhoneで撮って、多くの人に知ってもらうきっかけを作りたいですね。
――アフガニスタンでも撮影はiPhoneなんですね。
Annaさん:旅をしているときに大きなカメラをぶら下げていては、周りの人の注目を集めちゃうでしょ? お金持ちだと思われて、目を付けられてしまうかもしれない。いざ人を撮影しようにも大きなカメラに緊張してしまって、自然な様子は決して撮れません。
iPhoneなら、スマホを持っているんだなと思われるだけで済みます。海外で買った私のiPhoneならばシャッター音が鳴らないので、画面を見ているふりをしながらサッと撮れちゃう。iPhoneは透き通った存在なんです。
「私がiPhoneで撮影するのは、とにかくシンプルだから。iPhoneを手にすれば私の目に、私の脳になってくれます。日々撮影した写真や思い出など、私が見て感じたことをみんなとシェアできるのはiPhoneのおかげ。iPhoneとクレジットカードさえあれば、私は生きていけます(笑)」と語るAnnaさん。AnnaさんのiPhone XS Maxがとらえた美しいシルクロードの写真が見られる日を楽しみに待ちたいと思います。
写真コンテスト「Shot on iPhone Challenge」締め切り迫る
アップルが1月下旬から実施しているiPhone写真コンテスト「Shot on iPhone Challenge」の締め切りが、いよいよ2月8日の16時59分(日本時間)に迫りました。6カ月以内にiPhoneで撮影した写真が対象で、プロアマ問わず18歳以上の人ならば誰でも挑戦できます。自慢の写真がある人は、急いで応募してみては?