女優のアイシャ・タイラーを司会に据えてイベントを開催したDellは、ビジネスPCとコンシューマーPCのフュージョンを強く訴求した。

  • Dellのプレスイベントに司会として登壇した女優のアイシャ・タイラー

テクノロジーで素晴らしいことを実現し、ユーザーにパワフルな経験を提供するというのが同社の姿勢だ。34年前にテキサス州のオースティンの大学寮でスタートしたマイケル・Dell氏によるビジネスは、質実剛健なPCを人々に欠かせない実用的な道具として提供することをめざしてきたが、それがいま、世界を変える存在としてとらえられるようになった。

そして、あらゆる分野でPCが使われている中で、テクノロジーは仕事だけではなく、もっと幅広い分野でいろんなことに使えることを証明する。

Dellは「われわれはPCを信じている」と強くアピールする。スマートデバイス全盛の時代だが、DellはPCこそが本命であると信じているようだ。だからこそ、このPCを人類の進歩に役立ててほしいし、それがDellのDNAであると強調する。

CESはコンシューマーエレクトロニクスにフォーカスした展示会だ。だから、PCをより身近な存在としてアピールすることが重要になる。

Dellは、これまで製品を改善してきた中で、テクノロジーの使い方が変わったともいう。世の中は変わり、PCのほうがTVより見られるようになったのに加え、ゲームも最初はニッチな市場だったが、いまではメインストリームになってしまっている。

もはやPCは特別な存在でもなんでもなく、TVよりも身近な存在、そしてパーソナルなものになったということだ。家庭に1台のPCを共有することなどあまり意味がないことでもある。

コンシューマーの期待に添えるものを作りたいとDellはいう。そのためにも、魔法のような感じの製品を作っていかなければならないというのが今回のCESで強く打ち出されたDellの考え方だ。

コンシューマーの求める究極「XPS 13」

その中でここ数年のXPS 13シリーズは、人々の心を確実にとらえたとDellはいう。パフォーマンスに加え、バッテリ駆動時間など、ライフスタイルに密着する頼もしいパートナー、ベストなPCとしてコンシューマーの心をとらえているとしている。

  • コンシューマーの求める究極をめざしたXPS 13シリーズ

  • お約束の持ち帰ろうとするポーズも

コンシューマーが楽しむエンタテイメントも大きく変わっている。トレンドとして、TVの大きな画面で見てきたような映画の体験を、PCにも求めるようになっている。Dellシネマのソリューションは、そうした期待に応えるものだ。

明るいところ、暗いところのコントラストが明確で、サウンドについても没入できるように、Cinema Color Cinema Sound Cinema Streamの技術が体験のリッチさを底上げする。

Dellによると、いまはPCで映像を見るケースが40%、TVが30%と支持率ではPCの方が好まれている。だからこそ、PCでも映画を見ているような体験を提供することが重要だ。少なくとも北米ではそういう状況なのだという。

CESのような展示会で、いわゆるAV家電が注目されているなかで、PCの存在感を高めるのは難しいが、それでもなおDellはPCこそがパーソナルな存在であり、オールマイティに人々の暮らしに欠かせないパートナーであることを訴求する。

ビジネスPCもコンシューマー指向に

一方で、ビジネスの現場においても、新しい世代の人々は、PCを本当に真のユーザーとして使いたがっているという。企業ITでがんじがらめになったPCをうとんじ、テクノロジーそのものが自分のITであるとともに、生活でもあるというわけだ。それが若い世代の考え方で、仕事はもちろん暮らしにも密接に関わる存在なら、PCだってかっこいいほうがいいととらえられるようになっている。

だからこそ、いつも移動している人たちに対して、強くアピールできるモバイルPCを作りたかったとDellはいう。ビジネスPCとして処理性能が高く、バッテリ寿命は長くて小さくて薄い製品を目指す。

不可能だと思われていたことを実現したとしてDellが示すのがLatitude 2in1だ。世界最小のコマーシャル2in1として、まるでコンシューマーPCのような存在感を放つ。あらゆる要素をひとつにするのは難しいが、チームワークがそれを可能にしたと表現する。

  • コマーシャルPCのLattitudeもよりコンシューマー指向に

XPSとLatitude。前者はコンシューマーPCだが、後者はコマーシャルPCだ。だが、その境目はどんどん希薄になっている。コンシューマーPCはより実用的なものになり、コマーシャルPCはよりお洒落なものになっていく。それこそがDellの考えるパーソナルコンピュータであり、創業者のマイケル・Dellが夢描いてきた世界を変えるPCの存在につながっていく。

いまは、多くのベンダーが企業向けPCとコンシューマー向けPCを明確に分け、差別化して製品化している。Dellもまた同様の姿勢でXPSとLattitudeを提供してきたわけだが、もはや、そういう時代ではないということなのだろう。

少なくとも、ハードウェアとしてのルック&フィールについては、その区別はつかなくなる方向に収束していくにちがいない。CESのような展示会では、こうした訴求が参加者の共感を呼ぶに違いない。