―― GLIDiC製品で、それぞれの特徴を簡単に教えてください。

村井:「Sound Air TW-5000s(以下TW-5000s)」は、前モデル「Sound Air TW-5000」をマイナーチェンジしたもの。基本的には、Amazonのレビューや、ポタフェスなどに参加して調査したユーザーの不満を解消するモデルとなっています。

  • TW-5000s。新たに外音取り込み機能が追加された

村井:ユーザーから「取り入れてほしい」と意見が多かった外音取り込み機能を新搭載したほか、左右のイヤホンによるステレオ通話にも対応させました。

  • ユーザーの不満を解消することに全力を尽くしました、と語る村井さん

―― ちなみに今回で最も「マイナーチェンジ」といえるところはなんでしょうか?

村井:イヤホン本体と、充電ケースのコネクタ部分にあるピン数を見てください。前モデル「TW-5000」が2ピンなのに対して、今回のTW-5000Sは3ピンになっているんです。TW-5000で、「ケースのバッテリーが切れたときに、イヤホンをケースにしまっても、イヤホンの電源がオフにならない」という意見があったんですよ。

今回、1ピン増やしたことで、ケースのバッテリー容量が空になったとしても、イヤホンをいれるとイヤホン本体の電源をオフにするよう電気信号が流れるんです。

  • コネクタ部分のピン数が1つ増えている……よっぽどのマニアじゃなければ気づかないかも?

―― 前モデルから音質での変更はありますか?

村井:音質は特に変えていません。もともとフラットな音質で、「人の声がよく聞こえる」ことを目指し、中高音に重きをおいています。低音が弱いという意見はもちろん多かったのですが、それをカバーするために今回は新モデル「Sound Air TW-7000」をラインナップしています。

―― では次に、Sound Air TW-7000について教えてください。

中村:TW-5000sをベーシックモデルと位置づけた場合、その上位モデルにあたるのが「Sound Air TW-7000(以下TW-7000)」です。もう少し上のランク、完全ワイヤレスイヤホンにちょっと慣れてきたユーザーをターゲットに、より完成した音楽体験を届けるために開発しました。

  • Sound Air TW-7000

中村:音質チューニングも、TW-5000sとはだいぶ異なります。TW-5000sが聞きやすい音を目指したのに対して、TW-7000はフラットというより、音源そのものを楽しめる「豊かなサウンド」をうたっています。

  • 「豊かで楽しいサウンドを目指したんです」としみじみと語る中村さん

中村:TW-5000sより連続再生時間も長いですよ。TW-5000sが3時間なのに対して、TW-7000は9時間となっています。ケースで充電しながら使えば25時間。急速充電機能にも対応し、10分の充電で2時間も音楽を再生できます。朝、充電していないことに気づいても、着替えている間に充電しておけば通勤、通学時に音楽を楽しめますよ。

―― 充電ケースのデザインがTW-5000sと違うのは見て分かるのですが、イヤホン本体は同じデザインですか?

中村:違うものなんです。TW-7000はちょっと変わった形状を採用していて、特に耳へあたる部分がちょっといびつな形。カスタムイヤホンを手掛けるカナルワークスにデザインを監修してもらっていて、有機的なデザインを採用しました。くぼみやノズルに角度を設けることで、しっかりした耳へのフィット感を実現しています。

  • 写真上はTW-7000の最初の型。下にあるのが完成したTW-7000

  • TW-7000のデザインはカナルワークスが監修している

―― バッテリーケースのデザインをTW-5000sと違ったものにしたのはどうしてでしょう? そろえたほうがシリーズの統一感が出ると思います。

中村:ケースのデザインを変えるか統一するかは賛否両論だったんです。でもポケットにいれるためどうしたらいいかを考えた結果、こうした形になりました。最初の完全ワイヤレスイヤホン「TW-5000」も、ケースの体積が小さくて非常に好評だったのですが、ある一面ではポケットにいれにくいと。

TW-7000は「カバンを持ち歩かない」「ポケットになんでもいれたがる」というユーザー、どちらかというと男性をターゲットにしています。

  • 充電ケースの案。どうしたらポケットに入れやすいかを非常に議論したという

―― 唯一ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンである「WS-5100」はいかがでしょう。完全ワイヤレスイヤホンがとても注目されている今、あえてネックバンドタイプを開発した理由を教えてください。

小宮:注目されているのは完全ワイヤレスタイプですが、いわゆるネックバンド型のワイヤレスイヤホン市場も伸びているんですよ。有線でイヤホンを使っているユーザーの場合、いきなりケーブルを完全になくすのは不安だという人がけっこういて、今はまさに過渡期なのではないでしょうか。

もちろん、どのメーカーも完全ワイヤレスイヤホンでフィット感を重視し、落ちないよう設計していますが、初めてのユーザーは「落ちちゃう」「なくしちゃう」ことが不安なんですね。そういったユーザーが減れば、ネックバンドタイプの製品はいずれ必要なくなるかもしれませんが……しばらくは需要がありそうな気がします。

  • 今回、唯一ネックバンドタイプの「Sound Air WS-5100」

小宮:「Sound Air WS-5100(以下WS-5100)」の前モデルとして、首にかける部分が細いワイヤーだった「Sound Air WS-5000(以下WS-5000)」がありました。WS-5100では首にかける部分を太くして、WS-5000ではイヤホン本体に内蔵していたバッテリーをネックバンド部分の先端におくことで、重量バランスをとっているんです。

WS-5100のネックバンドは右と左の重量バランスをかなり気にしていて、ボタン側の基板と、バッテリー側の重さが同じになるよう調整しました。音楽を聞いているとき、不用意にネックバンドが右にずれたり、左にずれたりすることがないようにしているんです。

それとネックバンド型のワイヤレスイヤホンって、使い終わったら「どうやってしまうのか」という問題が出てきます。ネックバンド型のワイヤレスイヤホン全般のレビューで、非常によく見かける意見だったんですよ。完全ワイヤレスイヤホンと違って、ケースにしまう人は少ないと思います。そこで、WS-5100はケーブルをコンパクトにたためるようにしたんです。

  • コツをつかめば、すぐにこのくらいキレイにしまえるようになる

―― WS-5100でこのほかポイントはありますか?

小宮:急速充電に対応していることでしょうか。サイズをあえてWS-5000より大きくしたことで、やれることが増えたんです。10分の充電で5.5時間の連続再生、しかも27分でフル充電にできます。私が調べたところ、すべてのワイヤレスイヤホンで最速なんじゃないかな。

ユーザーによって、充電環境は違うじゃないですか。ある人はPCから充電するでしょうし、ある人はiPhoneに付属するACアダプタを使うかもしれない。どんなデバイスを使っても「急速充電」をうたえるようにしました。

―― WS-5100の音質についてはどうですか?

小宮:ポタフェスに出展してユーザーの意見を聞いたり、Amazonのレビューを見たりしていると、WS-5000で音質が悪いという人は総じて「低音が不足している」ことに不満があるようでした。なのでWS-5100では、音質を「通常モード」と、低音を強める「Bass Sound Mode(バスサウンドモード)」の2つを用意しています。

―― 音質の変更はアプリから操作するんでしょうか?

小宮:アプリは必要ありません。本体の多機能ボタンを2秒押すだけでモードが変わります。ユーザーが購入したあと、アプリをダウンロードする手間をなくすために、GLIDiC製品はすべてアプリを使わず、買ってペアリングすれば、すぐ使えることをコンセプトにものづくりをしているんです。

―― それぞれの製品、ユーザビリティとともに細かいところまで作り込まれているわけですね。今回はどうもありがとうございました。