―― 2018年は5,000円を切る低価格の完全ワイヤレスイヤホンも登場しました。価格設定について考えていることを教えてください。
小宮:私たちが2016年にネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン「WS-5000」を出したときは、競合といえるのがソニー、ボーズくらいしかいなかったんですよね。だから当時は、1万円を切る価格というだけで十分なインパクトがありました(編注:WS-5000は2016年当時、SoftBank SELECTION オンラインショップで税込7,992円という価格で販売された)。
2018年は低価格な完全ワイヤレスイヤホンがたくさん登場しました。なかには3,000円くらいのものも見かけます。これはぜひ話しておきたいのですが、完全ワイヤレスイヤホンって、当たり前ですけど左右のイヤホン本体にバッテリーが入っているわけです。「耳の中にバッテリーそのものをいれる」って、実はとても怖いことなんですよ。
小宮:安いバッテリーを使えば、GLIDiCの製品も価格を下げられますが、それで安全性を担保できるとは思えない。モバイルバッテリーが電車で発火する事件って、時々ニュースになるじゃないですか。あれが耳の中で起こったら……考えるだけで大惨事ですよね。そういった目に見えないところの設計を考え、一定のクオリティを担保した結果、どのモデルもおのずと10,000円前後という価格帯になったのです。
―― TW-7000は、Airpodsと同じく15,000円前後の価格帯と言えます。正直、Appleをライバルとして意識しているのでしょうか?
※TW-7000が14,990円(税込)、Airpodsは18,144円(税込)
中村:はじめからAppleと同じフィールドで戦っているわけではありません。ブランドの知名度が違いすぎるんですよね。まずは、Apple以外のブランドを探すユーザーがターゲットだと思っています。
でも、Airpodsと比べてTW-7000を選ぶユーザーはけっこういると思います。理由の1つはデザイン、もう1つはスペックです。1つ目のデザイン面だと、AirpodsとTW-7000はまったく別ジャンルだと考えています。Airpodsって特徴的な形状をしているうえに、外の音が聞こえる設計になっていますよね。
ですがTW-7000は耳栓型なので、自分が集中したいコンテンツを聞くって意味で、2つはまったく別物だと思っています。スペック面だと、たとえばAirpodsの連続再生時間は5時間、TW-7000の連続再生時間は9時間です。こうしたスペックを比べて、こっちを選ぶ人もいるんじゃないでしょうか。