これまでの連載で、どんな電子書店があるのか、電子書籍はどの端末で読むのがいいかなど、電子書籍の便利な読みこなしかたを紹介してきました。今回は、電子書籍を購入するときに気をつけるべきポイントをお伝えします。

その電子書籍はカラー? モノクロ?

E-inkを採用した電子書籍リーダーであるAmazonの「Kindle Paperwhite」や、楽天の「Kobo aura」は、モノクロ表示のみ対応。美しい写真集や画集を購入したとしても、Kindle PaperwhiteやKobo auraでは、モノクロでしか表示できないのです。

最近は、モノクロのマンガにデジタルで色をつけたフルカラーコミックも増えてきました。ファッション雑誌だって、カラーで読んだほうが楽しめますよね。カラーで電子書籍を読みたい人は、Amazonの「Kindle Fire」や、Appleの「iPad」といったタブレット端末がおすすめです。

  • カラーの電子書籍は、タブレットでカラーのまま楽しみたいところです

端末の容量にも気を配る必要はあります。私がよく使っているKindle Oasis(8G)は、一般書籍だと1,000冊以上が入ります。マンガは容量が大きいので140冊しか入らないのですが、一度に140冊のマンガを持ち歩く必要はそうそうないので、十分だと思っています。電子書籍リーダーはモデルによって容量が異なるので、自分の用途に合わせて容量を選ぶといいでしょう。

電子書店にダウンロード制限はあるの?

このほか気をつけておきたいのが、電子書店で購入した電子書籍の「同時閲覧端末」の上限。電子書店で購入した電子書籍は、複数の端末でダウンロードできますが、たとえばBookLiveやhontoだと、1つのコンテンツを同時にダウンロードしておける端末は最大5台まで。楽天Kobo電子書籍ストアのように、端末制限がない電子書店もあります。上限は電子書店によって異なるので、スマートフォン、タブレット、PCなど、複数の端末で電子書籍を読む人はチェックしておくべきでしょう。

  • BookLiveでは、1つのコンテンツを同時に5台の端末で利用できます

電子書籍は永遠?

電子書籍は紙の本と違って形がありません。基本的に、各電子書店にある書籍データをアプリでダウンロードして読むスタイルだと思います。本棚のスペースを取らないのはありがたいのですが、電子書籍のデータはいつまでも永遠なのでしょうか。

結論からいうと、電子書籍のデータも永遠とはいえません。たとえ有料で購入したものであっても、電子書店の運営会社がアプリを停止したり、出版社が途中で電子書籍の配信を中断してしまったりすることもあります。電子書籍ではないのですが、以前購入したゲームアプリがサービス終了で停止となってしまった、悲しい経験があります。

また、いまや数百あるとささやかれる電子書店のすべてが、永遠に続くとは思えません。電子書店自体が閉鎖するリスクもあるのです。

  • 読売新聞が運営していた「本よみうり堂」は、2017年に閉鎖。大手が運営する電子書店ですら、閉鎖することがあるのです

電子書店が閉鎖したら、買った書籍はどうなるの?

電子書店の閉店や統合は今までも何回かありました。残念ながら、アプリの停止によって該当の電子書店で購入した電子書籍を二度と読めなくなってしまった書店もありますし(ポイントで、書籍代を返金するなどの対応が行われました)、ほかの電子書店にデータを引き継いだケースもあります。

いずれにしろ、電子書籍だからといって、永遠ではないということは覚えておきましょう。ときにはサイトトラブルで何日もメンテナンスが入り、その間ずっと電子書籍を読めなくなってしまうこともあるのです。できるだけ自分が信頼できて、当分なくなることはないであろう電子書店を選ぶのも対策の1つといえます。

とはいえ私自身は、紙の本だって永遠に保管できるわけではないという考え。紙の劣化で読めなくなったり、火事で燃えてしまったりするリスクもあるからです。紙にせよ電子にせよ、自分が利用しやすいほうを選べばいいのではないでしょうか。

■著者プロフィール : 内藤みか

山梨県出身・慶應義塾大学文学部卒(通信課程)・日本文芸家クラブ理事。著書80冊以上。2000年代にケータイ小説サイトでランキング1位を連発し、ケータイ小説の女王という異名を取る。脚本を担当したラジオドラマ『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)が文化庁芸術祭優秀賞受賞。『夢をかなえるツイッター』などSNS系への関心も強い。

近著は『数学しかできない息子が早慶国立大学に合格した話』(ぶんか社)、『無料も読み放題も! 使いこなせる電子書籍生活』など。