電子書籍を試してみたいと思っても「うまく読みこなせるだろうか」「やっぱり紙で買ったほうが便利かな」などとためらってしまう人も少なくないようです。今回は、紙の書籍と電子書籍でそれぞれよい点や、どのように使い分けたらいいのかを考えてみました。

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    電子書籍と紙の本には、それぞれの良さがあるのです

インテリア性のある紙の書籍

お気に入りの紙の書籍を本棚に飾っている、という人は少なくありません。装丁が凝っていておしゃれなもの、洋書や写真集などはインテリア性があるため、飾るという目的で購入するのもよいでしょう。また、タレントの写真集や初版本など、ファンとしてコレクションしておき、眺めておきたいという本も紙で持ちたいと考える人が多いようです。

辞書や辞典、レシピ本など、いつも手元に置いておきたい本は紙で買う人もいます。ただ最近は、オンライン辞書や辞書アプリなどもあり、スマートフォンで知りたい言葉を入力するだけで意味を調べられるので、紙の辞書を持たない人も増えてきました。レシピ本を大きな画面で表示できるタブレットの普及で、今後はレシピ本も電子で読む人が増えそうです。レシピ本を購入せず、レシピサイトを使う人も非常に多くなってきました。

スペースを取らない電子書籍

電子書籍に形はないので、飾っておくことはできません(デジタルフォトフレームに本の表紙をずっと表示させておくことはできるかもしれませんが……)。ただし、電子書籍が素晴らしいのは、スペースを取らないところです。今まで数多の読書家を悩ませてきた、本や雑誌を買えば買うほど本棚が増えていく問題も、デジタル化すれば解消できるのです。

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    マンガ雑誌を毎週買っていると、いつの間にか部屋が雑誌で埋まっていて……、なんて経験ありませんか?

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    電子書籍をどれだけ購入しても、端末の大きさや厚さは変わりません

著作権が切れた文豪の小説は「青空文庫」が電子書籍化して無料配信しているので、ダウンロードすればいつでも読めます。昭和のころは多くの家庭で書棚に並んでいた文学全集も、スマホやタブレット、PCなどで読める時代だからか、一般家庭ではあまり見かけなくなりました。以前は紙の本を何冊もカバンに入れて持ち歩いていた私も、電子書籍で本を読むようになってからはカバンがひと回りもふた回りも小さくなり、肩こりしなくなったのです。

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    大量の雑誌や本を持ち歩かなくても本が読める、いい時代になりました

電子書籍にも線は引ける

あとから見返したときに大事だと思ったポイントがすぐわかるので、本に線を引きながら読むのが私の読書スタイルです。電子書籍の配信がはじまったばかりの2000年ごろは、端末でラインを引いてメモ代わりにすることができませんでした。なので当時は私も電子書籍の購入をためらっていたのですが、2018年現在、多くの電子書籍アプリはコンテンツに線を引きながら読めるうえ、電子のしおりを挟んでおけるようになったので、一気に抵抗がなくなり、どんどん電子で本を読むようになりました。

電子書籍は気に入ったフレーズがあれば、それをTwitterやFacebookにシェアできるのも利点です。ただし、シェアするときは出典を明記するなど、引用にあたってのルールがあるほか、引用できるのは文章の一部であり、画像やイラストなどをシェアすると著作権違反となる可能性があるので、注意してください。

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    好きなフレーズ、セリフはSNSでシェアできます

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    名作のフレーズ、感銘を受けたセリフなどをシェアするのもよいでしょう

また、「あの言葉は何ページに出てきただろう」と思ったとき、気になるワードを打ち込むだけで全ページをサーチできるところも優れています。紙の本だと「あの本はどの本棚にあっただろう」と探し回ることもしばしばありました。けれど電子書籍だと、タイトルを検索すれば読みたい本をすぐ表示できるのでとても便利! 本をたくさん持っていて、整理整頓が苦手な人にとって、ありがたい機能がたくさんあるのです。

電子化されていない本もある

とはいえ、すべての本を電子書籍版で読みたくても、それは実現できずにいます。なぜならば、まだすべての本が電子化されていないからです。私の経験からいうと、学術書やニッチな分野の書籍は電子版がないことが多々あります。分厚く難しい本ほど電子化してもらいたいと思うのですが……。また、絶版になってしまった古い本も、ほとんど電子化されていません。

電子化されていないのであれば、紙で読むしかありません。たとえば女性グラビアタレントの写真集は電子でもかなり売れているそうですが、男性俳優の写真集はなぜかほとんど電子版になっていません(発売時に、書店でお渡しイベントなどを開催することが多いからでしょうか……)。そのため電子書籍が大好きな私も、彼らの写真集は紙で持つしかないのです。

紹介してきたとおり、電子書籍には多くのメリットがありますが、紙の書籍にも捨てがたい面がいくつもあります。音楽の有料配信が活発になった2,005年ごろ、音楽をダウンロード購入することになんだか抵抗があるので、やっぱりCDを買いたいという人が大勢いました。今、電子書籍がそんな状態なのかもしれません。本を電子で持つスタイルは、まだはじまったばかり。

多くの電子書籍は冒頭部分をサンプルとして無料ダウンロードできるので、まずは気になる本のサンプルを試すことをおすすめします。電子書籍を取り扱うWebサイトはたくさんありますが、たくさんの電子書籍サイトを利用するのは得策といえません。次回は、電子書籍サイトの選び方をレクチャーします。

■著者プロフィール : 内藤みか

山梨県出身・慶應義塾大学文学部卒(通信課程)・日本文芸家クラブ理事。著書80冊以上。2000年代にケータイ小説サイトでランキング1位を連発し、ケータイ小説の女王という異名を取る。脚本を担当したラジオドラマ『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)が文化庁芸術祭優秀賞受賞。『夢をかなえるツイッター』などSNS系への関心も強い。

近著は『数学しかできない息子が早慶国立大学に合格した話』(ぶんか社)、『無料も読み放題も! 使いこなせる電子書籍生活』など。