はじめまして! 今回、この連載を担当することになった内藤みかです。大の電子書籍好きで、電子書籍を読んだり書いたりしています。私の電子書籍蔵書は現在4,392冊(編集・瀬尾 : なかなかやりますねえ)。紙の本より電子書籍のほうが多いのです。最近は電子書籍の売り上げも伸び、いろいろな楽しみかたや便利な使いかたも出てきたので、それらを紹介していけたらと思っています。

  • 私は4台のKindle使い。Kindleにはカラー表示に対応したものもあれば、モノクロのもの(Paperwhite)も。モノクロのディスプレイにはE-インクが使われていて、液晶画面より目が疲れません

電子の売り上げが紙を抜いた!

最近、皆さんの周りでも電子書籍を読んでいるという人が、増えてきていませんか? なんと2018年に出版科学研究所が公表したデータによると、2017年に電子コミックス(単行本)の売り上げが、紙のコミックス(単行本)の売り上げを初めて抜いたのです。今やコミックスは、電子で読む人が激増しています。

  • コミック市場全体の販売金額推移(2018年出版科学研究所調べ)。電子コミックスの売り上げは年々、伸びているのがわかります

このことは私の周りでも「ついにこのときが来た!」と話題になりました。もともと電子書籍の市場ではコミックスが群を抜いて売り上げがよく、いつか紙を超えるのではと囁かれていたからです。ただそれは、あと2年〜3年先なのではという声もあったので、予想より少し早まったと感じる人は多いようでした。

なぜコミックスだけこんなに急激に状況が変化したのでしょう。

ひとつはスペースの問題です。マンガは長いものだと何十巻もあるので、紙で買うとかなり場所を取ってしまいます。けれど電子で読めばスペースは不要。もうひとつの理由は、コミックスに力を入れたWebサイトが多く、電子コミックス専門のWeb書店がいくつもあるからだと考えられます。シリーズで刊行されているコミックスの1巻を無料公開しているサイトもたくさんあり、コミックスを電子で読みやすい環境が整っているのです。

そもそも電子書籍とは!?

『電子書籍』といっても、そもそもどういったものが電子書籍なのかよくわからない、という人もいるかと思い、まずはオンライン辞書で意味を調べてみました。

「IT用語辞典バイナリ」では「書籍や出版物の情報をデジタル化し、印刷物の替わりに電子機器のディスプレイ上で閲覧可能なコンテンツの総称」とありました。つまりは電子機器で楽しむ読みもの、ということなのでしょう。

そして図書館情報学用語辞典には「音声や動画を含めたマルチメディアにすることが可能である」ともありましたから、文字を追うだけの紙の書籍よりも幅広い楽しみかたができそうです。すでに文字の色を変えたり、音楽や動画とリンクしたり、声で朗読したりするような本(オーディオブック)も出てきています。こうした試みは、紙ではなかなかできない、とても新しいタイプのものなのです。

紙の本と電子書籍、どう違う?

さまざまな可能性が広がっている電子書籍の世界なのですが、この連載では、電子書店で売られている本のことを電子書籍と位置付けていく予定です。

では、電子書籍は紙の書籍とどのようなことが違うのでしょう。実は、紙の書籍と電子書籍の内容は同じことがほとんどです。電子書籍の場合は、記載されたホームページのURLをクリックすればすぐにWebサイトにジャンプし、詳しい情報を得られる、ということもありますが、書かれている内容は同じ。なので、自分にとって読みやすい方式を選べばいいのです。

  • 私が手がけた本の紙版と電子版。内容はどちらも同じですが、紙で欲しいという人もいますし、電子で持ち歩きたいという人もいます

どんな人が電子書籍を読んでいるの?

インプレス総合研究所によると、有料の電子書籍をよく利用している層は、男女とも30代。30代男性の22.9%、30代女性の22.6%が有料電子書籍を利用していると答えています。また、10代と20代の女性は無料の電子書籍を合わせると、半数以上が電子書籍を経験済みです。一方で60代女性の有料利用は10%を切っています。電子書籍は文字の大きさを調整できるので、老眼の人でも文字を読みやすく、お年寄りとの相性もよいと思います。レクチャー次第で普及するのではないでしょうか。

  • 男性と女性の年代別電子書籍利用率(インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2018』)。電子書籍の利用者は男性のほうが多いと思われがちですが、女性と男性でそれほど変わらない現状があります

2018年の段階で、電子書籍の普及は人それぞれ。私のように電子書籍を月に何十冊もダウンロードしている人もいれば、電子書籍をまだ1冊も読んだことがないという人もいます。私は、今後は電子で本を読む人がさらに増えると考えています。なぜなら最近は「電子版のみ」で刊行される書籍も出ているからです。ボーンデジタルといって、デジタルでまず出版し、好評だったら紙の本も出版するという方法も増えてきました。

私が先日出した『無料も読み放題も! 使いこなせる電子書籍生活』もそうです。電子書籍のことを書いた本ですし、紙で出す必要もあまり感じませんでした。参照できるWebサイトのリンクを多く記載していたので、それをクリックして便利な電子書籍の世界を楽しんでもらいたかったのです。

どのようにして電子書籍を読んだらいいのか、よくわからない。そういう声も多く聞きます。次回は電子書籍でどのような本を読むと便利なのか、ということを紹介していく予定です。

■著者プロフィール : 内藤みか

山梨県出身・慶應義塾大学文学部卒(通信課程)・日本文芸家クラブ理事。著書80冊以上。2000年代にケータイ小説サイトでランキング1位を連発し、ケータイ小説の女王という異名を取る。脚本を担当したラジオドラマ『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)が文化庁芸術祭優秀賞受賞。『夢をかなえるツイッター』などSNS系への関心も強い。

近著は『数学しかできない息子が早慶国立大学に合格した話』(ぶんか社)、『無料も読み放題も! 使いこなせる電子書籍生活』など。