米Appleは1月2日 (現地時間)、2018年のホリデーシーズンにあたる2018年10月~12月期 (同社2019年度第1四半期)の売上高見通しを下方修正した。中国市場でiPhoneの販売が低迷。加えて、いくつかの市場で新モデルへの買い換えが同社の予想に達していない。中国市場の減速や米中貿易摩擦の影響もあって、2018年の中頃からスマートフォン市場に成長停滞の兆しが見え始めており、市場の成長を牽引してきたiPhoneを主力製品とするAppleの10月~12月期が注目されている。そうした中での下方修正発表になった。同社は2019年1月29日に2018年10月~12月期の決算を発表する。

  • 「iPhone Xs Max」と「iPhone Xs」

    「iPhone Xs Max」と「iPhone Xs」

2018年11月1日に2018年度第4四半期決算 (2018年7月~9月)を発表した際に、Appleは10月~12月期のガイダンスを売上高890億~930億ドル、粗利益率を38%~38.5%としていた。2日に公表した新しいガイダンスは、売上高が840億ドル、粗利益は約38%だ。2カ月前に公表したガイダンスがすでに市場の予想を下回る慎重な内容で、11月から12月にAppleの株価が下落する一因になっており、今回の下方修正で市場の先行きへの警戒感がさらに強まっている。

  • 売上高:890億~930億ドル → 840億ドル
  • 粗利益率:38%~38.5% → 約38%

Appleは2カ月前に、10月~12月期について新興国市場を課題の1つに挙げていたが、同社の予想を上回る減速となり、特に中国経済の収縮がiPhoneの売上高に大きく影響し、MacやiPadといった他の製品にもマイナス影響が及んでいる。ただし、デバイス販売について中国市場の不透明感は増しているものの、実際に使用されているインストールベースのデバイス数は前年を超えており、また同市場のサービス売上は過去最高を記録する見通しだという。

iPhone売上高の減少の大部分は中国市場の影響だが、他のいくつかの市場で新モデルへのアップグレードが予測に達しなかったことについては「為替変動」「端末購入補助プログラム利用者の減少」「iPhoneバッテリー交換プログラム」などの影響を挙げている。

iPhone以外の製品については、2カ月前の予測通り、前年同期比約19%増の伸びを達成できる見通しを示した。近年成長著しいサービスの売上高は108億ドルを超えて、再び過去最高を更新する。Apple WatchやAirPods、MacBook Airは需要に供給が追いつかない状態で、特にウエアラブルは前年同期比で50%近い伸びになるという。

Appleは、2018年10月~12月期決算の発表から、これまで決算データに含めてきたiPhone、iPad、Macの販売台数を非開示にする。世界のスマートフォン市場が飽和に近づき、人々が手にするスマートフォン向けにアプリやコンテンツを提供するサービスの影響力が年々増している。業績を示すデータとして、販売台数がかつてほど適切なデータではなくなってきたことへの対処と同社は説明している。