IVR、エクシヴィ、S-court、DUO、ドワンゴ、バーチャルキャスト、ミラティブ、Wright Flyer Live Entertainment、クラスター、クリプトン・フューチャー・メディア、SHOWROOM、ピクシブ、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの13社は「VRMコンソーシアム」を2019年2月に設立すると発表した。目的は、VRMの策定と普及。加入企業は随時募集していくという。

「VRM」とは、VR向けの3Dアバターファイルフォーマット。プラットフォーム共通のファイル形式で、対応しているアプリケーションであれば、異なるサービスでも同じアバターの3Dモデルを使えるというものだ。3Dの事実上の標準フォーマットである「glTF2.0」をベースに、人型モデルを取り扱うために必要な情報の拡張と制約を追加した規格。UnityでVRMファイルを読み書きする標準実装を提供しているが、プラットフォームには非依存で、ほかのエンジンや環境でも取り扱うことができる。

コンソーシアムの事務局を務めるバーチャルキャスト 取締役 COOの石井洋平氏は「今や、誰でも3Dアバターを作成、使用できる時代です。これまでは、複数のプラットフォームを利用する際に、アバターを自由に使える環境が整っていませんでした。そこで、プラットフォームに依存しないで、どこでも共通で3Dアバターを使うための標準フォーマットを作成しようと、今回VRMを提唱しました」と、VRMを提唱することになった背景を語った。

バーチャルキャスト 取締役 COOの石井洋平氏

また、今年に入って飛躍的に市場が拡大したバーチャルYouTuber(VTuber)の存在も大きく関係しているという。

「VTuberの普及によって、3Dモデルの知的財産権・VTuber自身の人格の取り扱いなど、新たな権利保護の概念も生まれました。演じる人の制限やキャラクターの設定など、細かいルールがある場合もあれば、自由に使っていいと自分の作ったモデルを配布するクリエイターもいるでしょう。アバターは誰のものかという新たな権利の概念を考える必要が出てきたのです」(石井氏)

その権利関係を明確にするため、VRMには「キャラクターを演じていいのは誰かという許諾範囲」や、「暴力/性的表現を演じることの許可」、「商用利用の許可」といったライセンス情報を内包することができるという。

コンソーシアムの会員制度としては、各コミッティーでの検討、OSSでのブランチ設定、理事会への上程など、VRM方針兼用に参画でき、議決権を持つ「正会員」、仕様・ガイドラインなどの策定情報について優先的に共有される「賛助会員」、各コミッティーへの参加、提言を行える「オブザーバー会員」の3タイプを設置する予定だという。現在は発起人13社に加えて、オブザーバーとして任天堂が参入を決めている。また、「glTF2.0」を開発しているアメリカのクロノスグループとも連携を進め、世界的にも標準化を進めていく。

VRMコンソーシアムのミッション(案)

VTuberは6000人を超え、2019年1月からはVTuberのアニメ化も決定しており、バーチャル市場はますます盛り上がりを見せる。見るだけだったバーチャルキャラクターも、今では自分で簡単に作れるようにもなった。これからさらにVR業界が発展していけば、誰もが第2の自分として3Dアバターを持つ時代がやってくるかもしれない。

(安川幸利)