マイクロソフトは11月5日-7日、都内のホテルで最新テクノロジと、企業の現場で起きているデジタルトランスフォーメーションの事例を紹介するカンファレンス「Tech Summit 2018」を開催。
このイベントの中では、元エバンジェリストで、日本マイクロソフト パートナー本部 パートナーテクノロジーストラテジストの高添修氏が講師を務める、Windows Server 2019の特徴を説明するセッション「Windows Server 2019 はどう進化したのか?」が開催された。
本セッションでは、Windows Server 2019の新機能の紹介と、これからのWindows Serverエンジニアが向かうべき方向性について説明した。
同氏は「時代が明らかに変わっている中で、ITの実装にも新しいアプローチが必要だ」として、今後、必要となるテクノロジとして、ハイブリッドクラウド、ハイパーコンバージドインフラ、セキュリティの強化、開発者向けテクノロジの進化の4つを挙げ、「この4つに対してWindows Server 2019はアプローチをしています」と語った。
高添氏はこの4つのテクノロジについて「社内にあるデータがなくならない以上、ハイブリッドしかない。また、スピード感を持った仮想化基盤にしていく上で、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)は重要だ。さらに、セキュリティをよくしていかなければならない課題に直面している。そして、インフラだけでなく、開発者のために業務システムをスムーズに新しくしていけるか、という点もインフラ側が支えていく必要がある」と語った。
Windows Server 2019では、この4つに呼応する形で、4つの柱で機能強化されているという。
一方で、同氏は従来のオンプレミスサーバとして機能も踏襲していることを強調。
「Active Directory、ファイルサーバ、Hyper-Vはこれまでどおり使えます。Windows Serverを企業の中で使っていただいているのであれば、これまで通り利用できます」と述べた。
また、これまで個別に立ち上げて利用していたWindows Serverの各管理ツールがWindows Admin Centerに統合された点もWindows Server 2019の大きな変更点だという。
「Windows Serverが進化するなかでいくつもの管理ツールを出してきましたが、若いエンジニアにWondows Serverは便利だといったとしても、直感的によくないと使ってもらえません。そのため管理基盤を見直し、Windows Admin Centerになりました。今後、進化を続けていきますので、完璧ではありませんが、すごくシンプルに管理できます」(高添氏)
また、Windows Admin Centerにはインサイトという、管理者に気づきを与える機能も搭載されており、たとえば、このままディスクを使い続けるとどれくらいでいっぱいなるといった予測を提示するという。
ハイブリッド機能
ファイルサーバ機能では、実データをクラウドに置き、社内のサーバをキャッシュとして利用するといった設定ができ、また、マイグレーションによって、サーバのハードを置き換える際、データを移行し、コンピュータの名前を切り替える機能も搭載されているという。
そのほか、Azureの管理機能と連動する機能も搭載され、Windows Admin Centerの画面でAzureのバックアップ、Azureの更新管理もできるという。
そのほか、Azureの仮想ネットワークへの接続機能も搭載された。
「Windows Server 2019はオンプレミスとクラウドをつなぐ橋渡し役としてメッセージを持っています」(高添氏)
さらに、Windows ServerをAzure上で使う場合は、CALが不要で、ライセンスの持込可能で、従量課金に対応するという。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
Windows Server 2019では、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)も提供する。高添氏は「業界をリードするパフォーマンスを提供し、2ノードのハイパーコンバージドインフラを提供します。また、ハイパーコンバージドインフラの管理もWindows Admin Centerの中に入れ、シンプルに必要なときに使えます」と、単に機能を追加しただけでなく、パフォーマンスも優れていることをアピールした。
同氏はHCI特化型のシステムとWindows Server 2019のHCIの比較について、「HCIは運用管理者にメリットがあるといわれているが、利用者に提供される仮想マシンの部分は変わらない。であれば、コストやスピード、サービスの立ち上げの早さの部分にこだわっているWindows Server 2019のHCIで十分だ。安かろう悪かろうではなく、業界をリードするパフォーマンスを出していく。Windows Serverのライセンスをもっているのであれば、あえてHCIを別途購入する必要はない、別のところに予算を使うべきだ」とコストメリットを強調した。
セキュリティ
オペレーティングシステムの保護では、100%ネットワークを守ることができないといわれれるゼロトラストネットワーク時代にあわせ、マイクロソフトの最新の多層防御システムを搭載しているといい、仮想マシンファイルの暗号化、適切な証明書をもっているHyper-V上でないと仮想マシンが立ち上がらないしくみを導入。Linuxにも対応したという。
アプリケーションイノベーション
開発者向けでは、LinuxのコンテナをWindows上で動かせるようにしたほか、Windows SubSystem for Linuxにより、Linux用のアプリをWindows Server上で動かせるようにした。また、Windows Admin Centerでコンテナの管理も可能だという。さらに、コンテナでは、Kubernetesの対応を強化しているという。
そのほか、OSのサイズもコンパクト化。
「コンテナでは、OSサイズが大きいと、大きなファイルをやり取りしなければいけなくなるので、Windows Server 2019のOSのコアのサイスを3.3GBまで絞りました。Nano Serverでは227MB以下にしようとしています」(高添氏)
また、GUIを搭載しないServer Coreを便利するための機能として、「App Compatibility Feature on Demand Server Core」(340MB)を提供。デバイスマンジャー、ブラウザ、イベントビューア、エクスプローラなどを動作させることができるという。