スマホに対応したタイムライン

前段で述べたようにWindows 10はスマホ連携を強化してきた。バージョン1709(Fall Creators Update)では「設定」に「電話」が加わり、Continue on PCをインストールしたiPhoneや、Microsoft LauncherをインストールしたAndroidとの連携を実現している。

この時点ではPCで閲覧したWebの続きをスマホで閲覧し続ける程度にとどまったため、注目する読者諸氏も多くないだろう。だが、Microsoftはデバイスの垣根をなくすることを目指しており、その方針はブレていない。本バージョンではタイムラインをスマホで閲覧し、電車などの移動中や客先訪問前など、書類の確認や簡易的な編集を可能にしている。

  • PC版のタイムラインではアプリケーションベースの履歴も現れる

  • Android版のタイムライン。Microsoft EdgeやGoogle Chromeの閲覧履歴が並ぶ

ただし、スマホ向けタイムライン機能は使えるのは、本稿執筆時点でAndroidのみ。Microsoft Launcher 5.x以降が必要となり、ベータ版の申し込みが必要。iOSについては今後プレビュー版を公開すると述べているが、10月上旬にTest Flight経由でリリースしたiOS版Microsoft Edge 42.6.1では未実装だった。

さて、ドキュメントの編集やWebページの閲覧を記録・参照するタイムラインだが、ポイントとなるのは対応するアプリケーションである。WordやExcelなど一連のMicrosoft製品はともかく、WebブラウザーもMicrosoft Edgeの利用を求められるため少々使いにくい。

そこでお使いのWebブラウザーがGoogle Chromeなら「Chrome Timeline」、Mozilla Firefoxなら「Timeline Support」をインストールし、Microsoftアカウントでサインインすればよい。同期内容については、首を傾(かし)げざるえない面もまだ見受けられるが、連携という1点においては今後に期待したい機能の1つだ。

スマホ同期は誰得機能?

そのスマホ連携という観点では「スマホ同期(Your Phone)」の存在も注目株だ。こちらもAndroidが先行しており、「スマホ同期管理アプリ(Microsoft Launcher)」とMicrosoftアカウント経由で連携すると、スマホ上の写真やSMSをPC側から操作可能にするというもの。Windows 10 Insider Previewリリース時は不安定だったが、同じサブネットマスク内のネットワークに接続したPC&スマホで試すと、ようやく接続できた。

  • 「スマホ同期」からスマホ接続を行うと確認を求められる

  • 参照できるのはスマホで撮影した写真のみで、スクリーンショットは表示されなかった

  • SMSの送受信はもちろん、画像データもシームレスに扱える

さて、多くの読者は本機能のメリットに疑問を感じていることだろう。かく言う筆者もメインデバイスはiPhoneのため、上記機能から利便性を感じていないのが正直な感想だ。加えて国内では有償のSMSよりも無償のIMを使うシーンが多く、利用をはばかることも多いだろう。

あくまでも想像の域を超えないが、主軸をPCではなくスマホと考えれば、Microsoftがスマホ同期に注力するのは合点がいく。社内外の書類作成は最終的にPCで仕上げるものの、コミュニケーションはもちろん、データの送受信もスマホ経由で行う場面が多い。だからこそ、スマホ側でもPCと同等のデータ送受信を可能にする仕組みを持たせようとしているのだろう。

個人的には後に実装予定のミラーリング機能は注目株だと考えている。Microsoftの説明によれば、PC上のマウスやタッチ操作でミラーリングしたAndroidを操作できるという。既存アプリを使うと接続可能らしいが、標準機能といて提供されるのは利便だろう。ただし、同機能は独自のAirPlayを用いるiPhoneには提供されないそうだ。

  • 今後は複数のスマホ接続も予定しているが、現時点ではリンク済みスマホを削除しなければならない