VMware クラウド プラットフォーム ビジネス担当上級副社長 兼 ゼネラル マネージャ マーク・ローマイヤー氏

ヴイエムウェアは11月12日、AWSのベアメタル上でVMware SDDCを実行できるサービス「VMware Cloud on AWS」の東京リージョンでの提供開始、「VMware Cloud on AWS」におけるディザスタリカバリや仮想デスクトップに関連した機能強化を発表した。

2017年8月に北米で提供が始まった「VMware Cloud on AWS」がいよいよ東京リージョンから提供されることになる。同サービスにより、オンプレミスのVMware環境をパブリッククラウド上にシームレスに移行すること、オンプレミスの環境と運用を統合すること、AWSのネイティブなサービスを利用することが可能になる。

ローマイヤー氏は「VMware Cloud on AWS」の代表的なユースケースとして、「データセンターの拡張」「ディザスタリカバリ」「クラウドのマイグレーション」「次世代アプリケーションの利用」を挙げた。

「ディザスタリカバリ」については、VMware Site Recoveryによりセカンダリーのサイトを構築し、VMware Cloud on AWSとオンプレミスに加え、複数のVMware Cloud on AWS間でもデータを保護することを可能にする。今回、VMware Site Recoveryがサポートできる仮想マシン(VM)の数がSDDC当たり1000台(2倍の規模)まで拡張され、Dell EMCのVxRailとVMware Site Recoveryを組み合わせたフェールオーバー機能が新たに提供されることになった。

「仮想デスクトップ」としては、VMware Cloud on AWS向け VMware Horizon 7により、仮想デスクトップとアプリケーション向けの統合的なハイブリッド クラウド環境をスムーズに構築できる。

今回、Horizon Enterprise Suiteがサポートされたことで、Instant Clone、App Volumes、User Environment Managerが利用可能になった。例えば、インスタントクローン機能に対応したことで、1台当たり平均1~2秒で仮想デスクトップを配信することが可能になったほか、基本イメージの共有によりストレージ利用量を最大で80%削減できるという。加えて、ユーザーがログオフ時にデスクトップへのパッチ適用が可能になっている。

  • 「VMware Cloud on AWS」における仮想デスクトップの利用イメージ

「クラウドマイグレーション」としては、VMware Hybrid Cloud Extensionの機能であるVMware Cloud Motion with vSphere Replicationが利用できるようになったことで、ダウンタイムを発生させることなく、数千規模のVMをライブマイグレーションが行える。また、VMware vMotionを用いてSDDCやアベイラビリティー ゾーン(AZ)の間、それら全体にわたりアプリケーションをライブマイグレーションすることもできる。

また、VMware NSXのマイクロセグメンテーション機能により、EAST-WEST方向のアプリケーションのトラフィックを詳細に管理することが可能になった。

そのほか、技術サポート「In-Product Support」も新たに提供されることになった。同サービスにおいては、サポート担当とのチャット、サポート依頼の管理、コミュニティによるサポート、インテリジェントな検索など、VMware環境からサポート担当やリソースにアクセスできる。

  • 「In-Product Support」の内容

VMware 最高経営責任者(CEO) パット・ゲルシンガー氏

記者説明会には、VMware 最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏も参加し、同社のクラウドビジネスの戦略について説明した。同氏は、同社のクラウドビジネスの戦略の柱として「ハイブリッドクラウド」「パブリッククラウド」「次世代アプリケーション」の3つを挙げた。

「ハイブリッドクラウド」については、クラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」によって、プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジにおけるアプリケーションの実行を実現する。VMware Cloud Foundationは、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、セキュリティが統合されたプラットフォームとなる。

「パブリッククラウド」については、マルチクラウドの実現に向け、ネイティブな利用を実現する技術の開発を行っている。ゲルシンガー氏はその具体例として、CloudHealth Technologiesの買収を挙げた。CloudHealthはマルチクラウドの管理プラットフォームを提供しており、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformの料金や利用状況などを単一の画面から管理することを可能にする。

「次世代アプリケーション」についても、ゲルシンガー氏は「クラウドネイティブな開発において、Kubernetesの重要性が増している」と語り、同社がグループ企業のPivotalが「Pivotal Container Service」としてKubernetesを提供していることに言及した。

そして、Kubernetesの推進に向け、今年11月に「VMworld 2018 Europe」でKubernetesのコンサルティングやトレーニングを提供する「Heptio」を買収したことを発表した。