スマホユーザーにとって欠かせない存在となったモバイルバッテリーですが、この9月に販売数量が急激に伸びたことが分かりました。大きな要因として、9月に台風や地震などの大きな災害が相次いで発生したことにあります。災害により長時間の停電に陥った地域が多く、「スマホの電源だけは確保したい」と考える人が続々とモバイルバッテリーの購入に走ったとみられます。

  • 9月に異例の売れ行きを見せたモバイルバッテリー。相次いで大きな災害が発生し、スマホ用の電源を確保したいと考える人が続々と買い求めたとみられる

「ポケモンGO」ブーム以来の需要に

調査会社のBCNが発表した、家電量販店やオンラインショップにおける販売動向調査によると、今年の9月は例年の9月に比べて約1.7倍もモバイルバッテリーが売れたことが明らかになりました。モバイルバッテリーは、お盆休みや正月休みに入る8月や12月、新生活時期にあたる3月によく売れる傾向がありますが、9月にこれほど伸びるのは異例といえます。

  • 2015年9月の販売数量を1としたモバイルバッテリーの販売数量指数の推移。2018年(赤のグラフ)は、9月に急増しているのが分かる。ちなみに、2016年7~8月(ピンクのグラフ)に急増したのは、かつての「ポケモンGO」ブームによるものだ

9月のなかでも、第1週に前年同期の2.5倍も売れたことが分かりました。9月の第1週は、9月4~5日にかけて関西方面を中心に大きな被害をもたらした台風21号が、9月6日には北海道で最大震度7を記録する北海道胆振東部地震が発生するなど、日本列島が立て続けに大きな災害に見舞われました。

  • 週ごとの販売数量の伸び率推移グラフ。9月の第1週に急増したことが分かる

これらの災害で共通しているのは、送電線の破損や発電所のトラブルなどにより、広範囲にわたり長時間の停電に陥ったこと。ライフラインとして重要な役割を持つスマホだけは使えるようにしておきたい、と考える被災者がモバイルバッテリーを購入したことで、販売数量の大幅な増加につながったとみられます。

2018年は、6月第3週にも前年同期の1.5倍も売れる特異な状況が発生していました。この際は、大阪市北部を中心に最大震度6弱の地震が発生した時期にあたります。

災害時、家族や会社と連絡を取ったり、災害や交通機関の状況をチェックできるスマホは、重要なライフラインの1つとなりました。いざという時でもスマホが確実に使えるよう、モバイルバッテリーを備えておくことは今後ますます重要になりそうです。

  • 厚さわずか5mmのモバイルバッテリーもある。スリムなビジネスバッグにもじゃまにならず収納できる(写真はフォースメディアの「モナリザ」、実売価格は税込4,980円前後)