世界からも注目を集めたい

--そうした意味では、2016年以降、キーワードの1つとして掲げてきた「海外」についても、いろいろと取り組みが進んできた印象があります。

鹿野氏:率直に述べれば、日本という市場は人口減で縮小しています。イベントは、ある種の投資ですので、費用対効果を考えた場合、縮小する市場に投資をするのは無駄だと考える企業がでてくるのはある意味当然でしょう。

縮小する市場に対し、売り上げの拡大を目指すにはどうするか。同じイベントに出展するにしても、海外のイベントに出展し、存在感を示し、その国や地域の人に対してアピールする方を選ぶという方法が考えられます。

今回のCEATEC JAPANは、「政策」、「産業」、「技術」、「海外」との連携、という4つの軸で進めていますが、決して日本市場だけをどうこうしようという思いでやっているわけではありません。海外の人たちにも、もう一度、日本を見てもらうという視点も含めた取り組みです。だからこそ、CEATEC JAPANに出展するということは、日本市場だけでなく、世界市場を見据えた出展であるということを感じてもらいたいと思っています。

とはいえ、海外に向けた展開は、1~2年やっただけで成果がでる、というものではないことも事実です。しかし、今、ここで一歩、世界に向けて手を伸ばさなければ、3~5年後に、世界から目を向けてもらえる展示会になれない。だからこそ、主催者企画として「Co-Creation Park」を用意し、アジアや中東など海外からの企業を一堂に会して出展してもらうようにしました。2019年は、もっと多くのスタートアップ~大企業まで、海外から参加してもらって、海外の市場性や日本の技術力を見てもらう機会を増やせればと思っています。

  • 年々参加国を増やしてきたCo Creation Park

    年々参加国を増やしてきたCo Creation Park。2019年以降もこの流れは継続する見込み

--先日のメディア向け説明会を伝えた記事では触れませんでしたが、あの場でも日程を変更した理由が海外にあることも強調していましたね。

鹿野氏:開催日程は、これまで10月の第1週でしたが、今回から第3週にずらしました。これは、10月1日から中国で大型連休である「国慶節」が、またドイツも10月3日が、同国でもっとも大切とも言える祝日「ドイツ統一記念日」がある関係で、勢いのある中国企業や、インダストリー 4.0の本場であるドイツの企業の人たちにも来てもらいたいということを意識して、計画的に変更をしました。来年以降も、時期としては10月第3週あたりの開催を考えていますが、2020年に向けて展示会を取り巻く環境が変化しているので、そこは柔軟性をもたせつつ、進めていきたいと思っています。

実はCEATEC JAPAN、開催前日に、各社のエグゼクティブを集めたレセプションを開催してきましたが、昨年は、海外出展者だけを集めたネットワーキングパーティも開催したのです。そういう意味では、今後、日本の出展者と海外の出展者が交流するようなパーティなども開催したいと思っています。

ただ、悩ましいのは、そういった場を作るだけで終わってはいけない、ということです。CEATEC JAPANが目指しているのは、年に1回、大きな打ち上げ花火をあげることではなく、コミュニティとして、サステナブルに出展者同士もつなぎ合わせていくこと。それも、マッチングさせるだけでなく、話し合ってもらった結果、そこから何かを生み出してもらうところまでです。とはいえ、我々は主催者ですから、そこまで踏み込んで、どうこうしてもらう、といったところまではできないので、そこはもどかしいところでもあります。

そういった意味では、あくまで個人的な夢ですが、展示会場に家を一棟建てて、IoTハウスということで、いろいろなメーカーの製品や部品が全部使えると、どうなるか、といったことなどもできれば面白いと思います。昔から、日本には、1つのメーカーの家電製品を買うと、そのメーカーのものばかりを買う、という傾向がありました。それがIoTでは違うメーカーを買いつつも、連携ができる、という新しい場が生まれることを体験できるのではと考えています。