半導体市場調査会社の米IC Insightsは、2018年における専業ファウンドリ市場において、製造委託を行う企業を国別に見た場合、中国企業が占める市場規模が、前年比51%増と、大きく拡大する見通しであることを明らかにした。

これにより、専業ファウンドリ市場に占める中国企業のシェアは2018年では、前年比5ポイント増の19%となり、米国企業勢に次ぐ2位のポジションを獲得する見込みとなった。2018年の専業ファウンドリ市場は、前年比8%増の成長見通しだが、その成長分に相当する42億ドルのおよそ9割が中国勢からの製造委託の拡大によるものとIC Insightsでは分析している。

  • 専業ファウンドリ市場を地域・国別に見た際の市場規模

    専業ファウンドリ市場を地域・国別に見た際の市場規模。2018年の専業ファウンドリ市場は前年比8%増となる見込みで、そのけん引役となっているのが中国勢となる (出所:IC Insights)

近年、中国ではファブレスIC企業が続々と誕生しており、それに伴って、ファウンドリサービスに対する需要も増加。2017年の専業ファウンドリの中国勢による市場規模は前年比26%増の約75億ドル。2018年は、そこからさらに同51%増という高い伸びを見せるものと予想されている。

中でも専業ファウンドリのトップ企業であるTSMCがもっとも顕著に売り上げを増加すると見られている。TSMCの中国勢による売り上げは、2017年に前年比44%増と大きく伸びたが、2018年はさらに同79%増の67億ドルへと拡大することが予測されており、TSMCの2018年の売上増加分のほとんどが中国勢からのものになると見られている。そのため、同社の全売上高に占める中国勢のシェアは2016年の9%から2018年には19%へとほぼ倍増する見通しとなっている。

ちなみに、直近の2018年第2四半期のTSMCにおける中国勢が売上高に占める金額は約18億ドルで、2017年第3四半期(約9億ドル)と比べると、1年経たずして倍増していることがわかる。同社の調査では、この売り上げの伸びの多くが、仮想通貨市場向けのASIC需要の増加によってもたらされたもので、IC Insightsでは、中国国内で設計はできても、それを製造できる先端プロセスを用いて製造できるファウンドリがないため、TSMCへの製造委託が増加しているとしている。

  • TSMCの中国勢からの売上高の四半期ごとの推移

    TSMCの中国勢からの売上高の四半期ごとの推移。6%や23%という数字は、TSMCの全売上高に占める中国勢の比率 (出所:IC Insights。TSMCの資料に基づきIC Insightsが作成したもの)

なお、TSMCは、2017年から仮想通貨採掘向けの売り上げを伸ばしてきたが、同社によると2018年下半期にはこの分野からの収益の減少が見込まれるという。さまざまな仮想通貨の価格が下落していることが背景にあり、ASICに対する需要も減速しているためで、TSMCとしても、乱高下する仮想通貨市場からの売り上げについて、長期的な成長計画の中には盛り込んでいないとしている。