auが今夏スタートした「auフラットプラン25 Netflixパック」(月額5,000円~)は、「auフラットプラン20」(月額4,000円~)に+5GBと、有料動画配信サービスのビデオパス、Netflixがワンパッケージになったプランです。

Netflixといえば、大ヒットドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」をはじめ、注目度の高いオリジナルコンテンツを多数配信する動画配信サービス。大容量プランと組み合わせることで、スマホでもたっぷり動画コンテンツを楽しめるというわけです。

  • auフラットプラン25 Netflixパック。データ利用料とNetflixコンテンツ利用料が込みで月額5,000円から(2年目以降は6,000円から)

ただひとつ気になるのは、モバイル環境で本当にストレスなく見られるのか、大容量の動画コンテンツでネットワークが混雑しないのかということ。そんな疑問を抱いていたところ、米ロス・ガトスのNetflixキャンパスにて、同社のモバイルへの取り組みを紹介するプレスツアーが実施されるというので、参加してきました。

モバイル回線での動画視聴、日本で高まる

リモコンに専用ボタンが設けられるなど、テレビやパソコンで楽しむサービスという印象も強いNetflixですが、最近はモバイルからの加入やモバイルでの視聴が急速に伸びているそう。プロダクト担当バイス・プレジデントのトッド・イェリン氏によれば、アジアの中でも特に日本ではその傾向が強く、グローバルの平均と比べ、スマートフォンでコンテンツを視聴する人の割合が高くなっているといいます。

  • グローバルと日本でのデバイス別の利用の割合。日本ではユーザー登録、視聴のどちらも、グローバルに比べてモバイルの比率が高くなっている

そこでNetflixでは、モバイル環境下でのユーザーの視聴行動を分析して、アプリをデザインするとともに、ビデオのエンコード方法を徹底研究。動きの少ないシーンと動きの激しいシーンで、それぞれベストなエンコード方法を選んでカスタマイズするなど、ワンショットごとの細かなチューニングを行うと同時に、コーデックにも最新の手法を用いることで、「画質を向上させつつ、従来比64%ものサイズダウンを実現した」と、ビデオ・アルゴリズム担当ディレクターのアン・アーロン氏は説明しました。KDDIの「auフラットプラン25 Netflixパック」では、25GBで約100時間の動画再生が可能としていますが、この数字もこれらの最新エンコード&コーディックによるものです。

  • 左がタイトルごとにエンコード方法を最適化していた従来の映像。右はショットごとにエンコード方法を最適化した最新の映像。写真ではわかりづらいが、右のほうが髪のディテールなどの再現されている(クリックで拡大します)

データ容量をできるだけ節約

コンテンツ・デリバリー担当バイス・プレジデントのケン・フローランス氏によれば、人気のコンテンツは各国のISPサーバー内にコピーを置いて、ユーザーにより近い場所から配信することで、読み込み時間の短縮や低遅延を実現しているとのこと。またコンテンツごとに複数のプロファイルが用意されていて、ユーザーの視聴環境にあわせて最適なビットレートでの配信が行われています。

  • Netflixは現在、世界190の国と地域でサービスを提供しているが、新しいコンテンツが公開されるとそれが各国のサーバーへ一斉にコピーされ、そこからさらにユーザーにより近いISPサーバーにコピーされるしくみ

さらにこのビットレートは「ユーザーが自分で上限を設定することも可能」と、プロダクト・イノベーション担当ディレクターのキャメロン・ジョンソン氏。「モバイルでは映像のクオリティを担保しつつ、いかにストレスなく視聴できるかはもちろん、データ容量を節約できることも重要」といい、コンテンツの配信方法だけでなく、ユーザーが見たいコンテンツをスマートフォン上でより素早く快適に見つけるための工夫や、そのために最近アプリに実装された新機能についても紹介されました。

スマホの狭い画面は特にビジュアルを意識

Netflixではユーザーの好みを解析して、個々のユーザーごとに表示するコンテンツをレコメンデーションしていますが、それだけでなくコンテンツのアイコンとしてどのビジュアルを表示するかも、ユーザーごとに変えているそう。特にテレビに比べて画面の狭いスマートフォンでは、このビジュアルに徹底的にこだわっていて、オリジナルコンテンツでは10パターン以上を、実際にユーザーにテストしたりもしているそうです。

  • スマートフォンの狭い画面でのレコメンデーションについて解説する、プロダクト担当バイス・プレジデントのトッド・イェリン氏

  • オリジナルアニメの「NEXT GEN」では、12パターンのビジュアルが用意され、ユーザーがどのビジュアルを好むかテストした。結果はクリエイターが予想したものとはかなり違っていたという

新着情報をSNSのようにチェックできる機能も

このほかアプリでは、ユーザーが普段スマートフォンをどのように使っているかという分析や、世界各国で実施されているユーザーインタビューを反映して、随時機能改善を行っているとのこと。

たとえば今iPhone向けのアプリでは、縦画面でスワイプしながら次々にコンテンツをチェックできる、縦型のプレビュー動画が用意されているほか、Android向けのアプリには新着コンテンツをSNSのタイムラインのようなフィードでチェックできる「まもなく配信」といった機能も提供しています。

さらにAndroid向けには、ユーザーがオフラインで視聴する際のダウンロードや、コンテンツの削除を自動化する「スマートダウンロード」といった機能も実装。これは、たとえばシリーズの第1話をダウンロードすれば、Wi-Fi接続時に続きのエピソードが自動的にダウンロードされ、同時に視聴済みのコンテンツが削除されるというもの。

iPhone向け、Android向けでアプリの機能が異なるのは、新しい機能をより速くローンチするために一次的な差異が生じているだけで、これらの機能は近い将来、両方のアプリに実装される予定だそうです。

  • スマートフォンアプリのユーザーインターフェースについて説明する、プロダクト・イノベーション担当ディレクターのキャメロン・ジョンソン氏