9月12日(現地時間)、AppleはApple Watchの最新モデル「Apple Watch Series 4」を発表しました。これまでとは何が違うのか、何が新しくなったのか? 発表された内容から新モデルの注目ポイントに迫りたいと思います。

Apple Watch誕生以来の大きなリニューアル

Apple Watchは2015年4月に発売された初代以来、その本体サイズはほぼ変わることはありませんでした。しかし今回、誕生から初めて本体サイズが大きくなったのです。

  • 38mmモデルは40mmに、42mmモデルは44mmに大型化。一方で厚みは薄くなり、フィット感の向上が期待されます

  • 本体サイズが「少し大きくなった」のに対し、画面サイズは「ぐっと大きくなった」というのが特筆すべきポイント。縁がかなり狭くなりました

これに合わせて画面サイズも30%以上拡大。これ、Apple Watchを使い込んでいる人ほど注目度の高いポイントと言えるのではないでしょうか。その理由は、表示できる情報量の増加です。

Apple Watchは文字盤のデザインを多種多様な中から選択し、カスタマイズして使えるのが大きな特徴。カスタマイズの大事な要素となるのが、文字盤に常駐する情報小窓「コンプリケーション」の数や種類です。コンプリケーションについて詳しくは、こちらの記事をご参考ください。

  • コンプリケーションをたくさん配置した文字盤デザイン。ここでは、文字盤の内側に心拍数・ミュージック・ワークアウト・アクティビティ、外側にUV指数・気温・深呼吸・空気質指数が表示されています

  • 逆に、コンプリケーションを全く置かないシンプルな文字盤も。用途や気分に合わせて、複数の文字盤を切り替えて使うこともできます

画面の拡大によって、このコンプリケーションの配置数を増やした文字盤デザインが登場しました。コンプリケーションのデザインそのものも改良され、よりグラフィカルに情報を確認できます。iPhoneを手に取ってロック解除してアプリを開いて確認していたものが、Apple Watchをチラッと見るだけで済むかも。最も自分に近い情報端末としてApple Watchの存在がますます大きくなりそうです。

各種センサーも進化。心電図も取れるけど……

外見だけでなく、中身ももちろん進化しています。加速度センサーやジャイロスコープでは、これまで難しかった落下や転倒を検知できるようになりました。検知するとすぐに「大丈夫ですか? 救急に電話しますか?」と確認する画面が表示されます。さらにそのまま60秒間動きを検知しない場合は、自動的に救急に電話し、同時に緊急連絡先にメッセージが送信されます。

  • 転倒を検知すると、救急への連絡を確認する画面に。緊急連絡先はiPhoneの「ヘルスケア」アプリであらかじめ登録しておきます

光学式心拍センサーでは、心拍数の計測がバックグラウンドで行われ、しきい値より高い場合・低い場合にも通知が表示されます。また、新たに電気式の心拍センサーが搭載され、これまでできなかった「心電図」を取れるようになったことも大きな進化です。計測した情報はiPhoneの「ヘルスケア」に記録され、PDFの形で医師に送ることも可能です。

高性能なセンサーを搭載して計測するだけでなく、ユーザーの役に立つ形でその情報に対応する段取りまで設計してあるのがAppleらしいところ。日本の医療機関でもうまく活用する事例が生まれてくれるよう、期待したいところです。

気になるバッテリー性能は?

画面が大型化され、性能もアップしたとなれば、心配なのはバッテリー性能です。Apple公式のスペック表では、Apple Watch Series 3と同じ「18時間」となっているので、一般的に考えて起きてから寝るまでの間は大丈夫でしょう。

しかし、Apple Watch Series 3についてはスペックを超えて「丸2日は持つ」というのが多くの人の実感です。使い方にもよると思いますが、頻繁に通話したり朝晩ワークアウトを計測するなど、よほどヘビーでない限りは、スペック以上のバッテリー持続時間を期待していいでしょう。

  • Apple Watchから他の人のApple Watchを呼び出し、直接通話できる「トランシーバー」機能。watchOS 5で使用できます

この他、マイクやスピーカーの性能もブラッシュアップ。新しいOSによって、Apple Watch同士で直接つながる独自の通話機能「トランシーバー」が搭載されたり、Siriの呼び出しに「Hey Siri」という掛け声が必要なくなるなど、音声操作の有用性もより広がっています。

画面の大型化に加え、新しいOSではこれまで弱かったコミュニケーションの領域も強化する姿勢が見えるApple Watch。新世代としてユーザーにどんな変化をもたらすのか、期待されます。