スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「補聴器サポート」についてです。
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聴覚に問題を抱える人の助けとなる「補聴器」が、スマートフォンの周辺機器としての存在感を高めています。スマートフォンはつねに持ち歩ける大きさで、Bluetoothなどワイヤレスで音声信号を発信でき、ソフトウェアによる拡張性も備えていますから、補聴器の位置付けが大きく変わる可能性すらあります。
Googleは、Android端末でBluetooth対応補聴器をサポートする通信規格「ASHA(Audio Streaming for Hearing Aids)」を8月に発表しました。米連邦通信委員会(FCC)が定める補聴器に関する規格に準拠しており、オープンな規格として公開されています。
Google公式の開発者向けサイト「Android Developers Blog」によれば、ASHAはBluetooth LE(BLE)のみで通信するため消費電力がわずかで、しかも遅延が少なく音質に優れるとされています。規格の詳細も公開されており(リンク)、対応製品の増加が見込まれます。
一方iOSでは、iPhone/iPadの内蔵マイクが集めた音を補聴器に送信する「Live Listen(ライブ再生機能)」をすでにサポートしています。現在のiOSデバイスには、周囲の雑音を取り除き音声通話の品質を高めるノイズキャンセリング機能の一種が搭載されており、その成果を補聴器で利用できるというわけです。
iOS 11の現在では、Live ListenはMade for iPhone対応補聴器に限定された機能ですが、次のiOS 12からAppleの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」が対応機種に含まれると海外メディアで報道されており、Bluetoothイヤホンを補聴器的に活用する道も拓かれそうです。